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恋とか好きとか分からなくなった話(3)

「私たち、付き合ってるんだよね?」

まさか、ドラマや漫画で見かけるありきたりな台詞が現実世界で出てくるとは思わなかった。だけど意味合いはドラマや漫画のそれとは全然違う。

ここ最近、よく会っている人がいる。電話もあちらの誘いで何回かした。電話は苦手だけど、無下にも出来ないので頑張った。その人とはいつもは飲みに行くのが定番だったが、この間の飲みはいつもと空気感が違った。なんだかグイグイ来るなと思ったから何かがありそうだと悟った。

夜、人通りの少ない公園。程よくアルコールが残ってる中で散歩。この先の流れを私は知っている。前の彼氏のときもそうだったから。

キスをされた。数回繰り返した。委ねた。悪い気はしなかったが私の中には恋とか好きとかの感情は少なかった。興奮とか性欲よりも「やっぱりな」の気持ちのほうが強く、冷静に客観視している自分がそこには居た。付き合う?といわれたから、流れで承諾をした。付き合うことになったらしい。

付き合うことになったけど恋愛感情が一気に湧いてくることはなく、今までと同じ。気づいたら恋人のことを考えているとか、会いたくなるとか、ドラマのような綺麗なものは現実にはなく虚しい。

「あなたに対して、好きとか恋とか相変わらず分からないのだけど、私たち付き合ってるんだよね?」

口には出してないがずっと頭の中に響いて消えない。

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