見出し画像

「エンジニアリングで日本の国力を上げる」

TechBowl小澤です。起業して2年半。TechTrainを作って2年が経ちました。この2年間取り組んだ問題はたった1つです。

スクリーンショット 2021-04-26 21.13.44

「慢性的なITエンジニアの不足」は数年前から大きな問題になっています。経産省によると、2030年にはITエンジニアが50〜70万人不足するといわれています。約1年前からコロナが始まり、在宅・巣ごもりが増え、「手に職を!」という感覚でプログラミングを始める人も増えてきました。

スクリーンショット 2021-04-27 22.30.22

しかし、初学者からプロ(実務で活躍するレベル)までの距離は遠いです。また、その道が明確に可視化されていない(そもそも可視化できるのか…)がゆえに、プログラミング教育市場は玉石混交になっています。情報商材も一時期に比べてまた増えてきましたし、「モラルとは?」といったサービスもあり、ますますエンジニアを目指す人が迷走したり、企業から必要以上に厳しい目(というよりレッテルに近い)で見られ、息苦しくなるのでは…と懸念しています。誰でも最初は実務未経験です。一生懸命コードを書いて本気で頑張る人はとことん応援しますし、いいエンジニアになってもらえるようにもっともっとTechTrainというサービスを磨いていきます。(やばい、冒頭なのに終わりそうな書き方になってしまいましたので戻します。)

 私自身、7年半メガベンチャーでエンジニアの採用に携わる中で、「もっと世の中にプロのエンジニアが増えないと、ニホン、ヤバイ。」という危機感を感じ、「採用する/しない」の仕事から「育てて/増やす」を仕事にしようと決め、TechBowlを創業しました。世界中のエンジニアが集い、混ざり、化学反応が起き、面白いサービスや技術が生まれる「技術のサラダボウル」を作ります。

有名企業のエンジニアから実務が学べるオンラインコミュニティ「TechTrain」は2019年5月に開始して2年で、ユーザー数2,500名、累計面談数は3,000件を突破しました。U30(30歳以下)のこれからエンジニアを目指す方向けのサービスですが、レベル感も様々です。まだまだ数字としては小さいのですが、

スクリーンショット 2021-04-26 21.13.44

これについて、少しずつ見えてきたことがあるので、1度まとめてみます。

【この2年で取り組んだこと】

この2年間、とにかく多くの実験を繰り返しては失敗しました。
表にすると下記の通りです。実験、結果、理由、対策をまとめてみます。

スクリーンショット 2021-04-19 22.31.37

1.「各社のCTO・TechLeadメンター」と面談すれば、スキルアップするのではないか、という仮説。

■実験したこと

すごいエンジニアと面談すればスキルアップするのでは?という実験をしました。創業当初の話ですが、メンター、ユーザー双方Googleフォームに回答してもらった情報をスプレッドシートにまとめ、すべてアナログで面談のペアリングをしていました。技術だけでなく、出身・趣味等できるだけ共通項を増やしてペアリングを300件ほど行いました。

■結果

ほぼスキルアップしません。面談の満足度はほぼ100%でしたが、肝心のスキルアップにはほぼつながりませんでした。

■うまくいかなかった理由

初心者は「わからないことがわからない」ので、質問が漠然とします。スキルが低いほど、技術に自信がないので、キャリア寄りの相談になります。せっかく技術力の高いメンターを揃えたのに、相談内容はコードレビューではなく、ざっくりしたお悩み相談。。メンターからも「コードレビューや技術の相談ならいいんですが・・」というモヤっとした声をたくさんもらいました😭スキルアップしないと意味がありません。

■対策

面談内容を12種類の中から選択できるようにし、質問のフォームを改善。書きやすくしました。強いエンジニアは「質問力が高い」。(質問が具体的、できた部分とできない部分を説明できる力がある、ともいえます。)


スクリーンショット 2021-04-27 21.57.09

スクリーンショット 2021-04-27 21.58.38


2.「実務に近い課題(MISSION)」を準備すると、自然と強いエンジニアが増えるのではないか、という仮説。

ユーザーから「エンジニアを目指しているが、今すぐ自分でつくりたいものはない。なので、とりあえず作れそう、(かつ)みんなが作ってるTODOアプリを作ってみます〜」という声を多く聞きました。作ってて楽しいの?と聞くと、「うーん、そうでもないですけどポートフォリオを作らないとダメってよく聞きますし〜」という声も。作りたいものはなくてもいいのですが、みんなが作るから〜、とりあえずポートフォリオが〜という部分が個人的にはなんだかモヤモヤしました。そこで下記の実験をしてみました。

■実験したこと

企業のCTOや採用責任者と技術課題(MISSION)を共同開発し、実務に近い開発を体験させる。こんな感じで、各社のエンジニアや、メンター陣から出題してもらい、ユーザーは好きなものに挑戦できます。


スクリーンショット 2021-04-27 22.12.26

■結果

1,000人が挑戦して、クリアしたのはわずか130人。少ない。。。ただ、クリアした人は確実にスキルアップしていることがわかりました。そしてクリアする人の半数以上が週1ペースでメンターと面談し、コードレビューや進捗共有を習慣にできている人であることもわかりました。

■うまくいかなかった理由

弊社インターン生たちがユーザー一人ひとりにヒアリングしました。
・途中で忙しくなって、フェードアウトしてしまった。
・わからない時にたまに面談してた。週1ペースではなかった。

・自分の実力と企業が求める力のギャップが見えない、わからない。
という声が多かったです。そこでインターン生主導で、「1ヶ月集中開発キャンペーン」を実施。チューニングしたのは2つだけ。
①メンターと週1回絶対面談する。
②ちょっとした相談はメッセで聞けるようにする
結果、挑戦者の6割が1ヶ月で、8割が1ヶ月半でMISSIONをコンプリートしました。(達成率13%が60%…!!スゴイ!!!!!!)

■今後の対策

企業の求めるレベルを問題形式で出題し、実力との乖離を言語化・アドバイスする。
(具体的には)
・メンターとの定期的な面談ループを設ける(最初の3回はマストで設定し、面談ループを軌道にのせる)
・期限を設ける(人間お尻に火がつかないとやらない、逃げる)
・イベントとしても盛り上げる(乗っかりやすい)


3.「技術の俯瞰ができるマップ(Railway)と、自分の実力を照らし合わせることができれば、開発が加速するのでは?という仮説。

これが4月26日にリリースした実戦型開発ドリル「Railway」です。各言語、フレームワーク、ライブラリに関する情報も大量に検索できる時代ゆえ、「木を見て森を見ず」状態のユーザーが多いことがわかりました。極端ですが、「Vue.jsの本を買いました!これで私もフロントエンドエンジニア!」みたいな感じです。Vue.jsでもReact.jsでも、その手前に必要な技術の「素養」や「お作法」がきっとあるはずなのですが、面で学べない(学んだつもりになってるが)、自力でエディタ開いて実装しながら体系的に吸収する場がまだまだ少ないなぁ、と感じました。そこで総勢15名のメンターに協力してもらい、実務で必要な技術に絞った開発ドリルを作ってみました。

構想が決まったのは8ヶ月前。相棒の大木と2人で昨年夏にいったThe Saunaの薪サウナで整いながら、「どうしたらもっと楽しく開発できるのか」「もっと開発を加速させる武器を作りたいね」という話がきっかけでした。

聖地The Sauna。
サウナ、SUPをしながらああだこうだと今後について話しました。
TechBowlの合宿所として毎年(整いに)行くことに。

画像4

野尻湖で開発をするエンジニア大木氏。桟橋まで社員で埋める予定です
一緒に野尻湖にいきましょう。一緒に働きましょう。

iOS の画像 (1)


場当たり的な学習ではなく、実務に必要な素養に絞って、ドリル形式で進めるRailway。

スクリーンショット 2021-04-19 23.10.56


Railwayは電車の「路線図」をモチーフにしています。山手線や銀座線があるように、技術分野ごとに全体のMAPがあり、学ぶ順序やお作法があります。そこを俯瞰する情報が少なく、初学者が場当たり的な学習、インプットメインになるゆえ、一向にスキルアップしないのでは?という仮説をもとに作りました。あわせて4月から独自の判定基準でユーザーのスキルランクを5段階に分け、それぞれのランクにあったサービスを提供しています。Railwayは特にランク1・2(初心者)が楽しく、着実に、実務で使う技術に絞って開発を進めることができる画期的な開発ドリルです。ユーザー個人のスキルアップに加え、企業研修や学校での導入も試験的に始まっています。

今回のRailway公開に伴い、いままでランクに関わらず使えていた機能に制限をかけてしまった部分もあり、ユーザーのみなさんには申し訳ない気持ちでいっぱいです。ただ、TechBowlが目指すのは、「プロのエンジニアを育てて増やすこと」なので、トップアップに張ります。レベルアップするほど使える機能も増えるのでぜひ上まで這い上がってきてくれると嬉しいです。


この2年間で1つ言えるのは、「膨大な数の実験を繰り返してきた」ということです。現在では50社100名の各社のTechLeadやCTOクラスがメンターとして協力してくれていて、メンターレベルは世界でも稀に見るハイクラスなチームになってきました。メンターの皆さんとは最近週1ペースでzoom飲みをしてますが、「TechTrainは絶対必要だし、手伝うよ」「自分が学生の頃に欲しかったサービス。もっと頑張りましょうよ」といった力強い言葉を沢山もらうことができ、それが私の原動力になっています。

■今後取り組むこと

「エンジニアリングで日本の国力を上げる」

まだまだ「エンジニアリングで国力を上げる」という目標にはかすりもしていないですが、1歩1歩着実にエンジニアを育てて増やす為の課題は増えてきたので、ギアを上げ、ガンガン解決していきたいと思っています。

「教育事業ゆえ、時間もかかるし、儲からない」とは言わせない。
「儲かってるけど、全然使えるエンジニアは増えてない」というような会社には絶対しない。

浪漫と算盤。難しいですが、強くそう思います。

採用担当時代は「自社の業績貢献の為に会社にマッチする人を採る/採らない」という仕事でした。(これは天職だなぁといまだに思える程本当に楽しかったし、勉強させてもらったし、何より好きな仕事です。)

今は言い方選ばずいうと、「使えるプロのエンジニアを世の中に増やさないと日本ヤバい」という危機感を強く持っています。ただ作るだけでなく、作り込み、磨き込み、プロとして世界に通用するサービスを担う人材を育てて増やす。最終的に「エンジニアリングで日本の国力を上げる」を実現したいと思います。

最近、ユーザーから「TechTrain、なんで無料なんですか?怪しい…」という声を週に数件コンスタントにもらえるようになってきました。ポジティブに捉えるとそれだけ価値を感じてもらえている。ネガティブに捉えるときちんとサービスの中身を伝えきれていない。と捉えています。よくビジネスモデルを聞かれるので下記に記しておきます。

スクリーンショット 2021-04-19 23.42.11

ユーザーから面談時間を伸ばしたい等、課金プランの要望もありがたいことにいただいています。もちろん考えてないわけではないのですが、今は下記の点を意識しています。


エンジニアが集い、サラダボウルのように混ざり、さまざまな化学反応が起き、AmazonやFacebookのようなグローバルで支持されるサービスが生まれるエンジニアの為のオンラインコミュニティを更に拡大していきたいと思います。


一緒に働きましょう。野尻湖にいきましょう。

TechBowlではCOO候補、リクルーティングアドバイザー、エンジニア、学生アルバイトを募集しています。教育、人材領域に興味がある方、下記に共感いただける方、1度ラフにオンラインでお茶させてください!GW中も大歓迎です。

【エンジニア求人はこちら!】

スクリーンショット 2021-04-28 12.49.10


◯お問い合わせ先
https://twitter.com/zawamasa か info@techbowl.co.jp までご連絡いただけましたらすぐに返信させていただきます🙇‍♀️エンジニア・デザイナー・COO候補・営業・リクルーティングアドバイザー・学生バイト・すべて募集しています。

最後に

生みの苦しみを一緒に歩んでくれ、暗闇をもやもやしながら匍匐前進してくれたメンバーに感謝しています。みんなありがとう。TechTrain、更に大きくしたいので引き続きよろしくお願いします。


「エンジニアリングで日本の国力を上げる」



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?