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学習評価やルーブリックが、普通科進学校でも教育困難校でもなかなかうまく機能しない

 新しい学習指導要領になってから、観点別評価ということが大きくピックアップされ、生徒にも通知されています。どの先生方も観点別評価について深く考えましたが、かけている手間の割には、うまくいっているとは言い難いというのが私の印象です。

学習評価とは

学習評価の基本的な考え方
 学習評価は,学校における教育活動に関し,児童生徒の学習状況を評価するものです。「児童生徒にどういったカが身に付いたか」という学習の成果を的確に捉え, 教師が指導の改善を図るとともに, 児童生徒自身が自らの
学習を振り返って次の学習に向かうことができるようにするためにも,学習評価の在り方は重要であり,教育課程や学習・指導方法の改善と一貫性のある取組を進めることが求められます。

国立教育政策研究所教育課程研究センターの資料より

私の所属している専門高校(どちらかというと教育困難校)の評価の現状

 「高校は義務教育ではないから、評価が低いこと(欠点や赤点)によって、進級や卒業に関わるよ。また、卒業後の進学先や就職先を選ぶときの推薦や校内選考の際に、評価が関係してくるよ。さらに、その数字はに数字として進学先や就職先に提出するよ。」なんて、半ばおどしの意味も含めながら、生徒に話しているのが現状なんだと思います。実際にそういう事実なので、私もそう話します。
 こうすると結局は、学習意欲の高くない生徒は、欠点を取らなければ良いというのが多くの生徒の目標になりがちです。実際にそうなります。評価のルーブリックを立てて示したところで、一番高い評価は不要なので、このあたりでいいやみたいな感じになりがちです。学習意欲の高くない生徒にとって、もちろん目標がないよりはあったほうが良いので、良いとも言えますし、それで曲がりなりにも最低限の学習をしている気もしています。

普通科進学校での評価の現状

 私は普通科進学校に勤務することはないのですが、先日進学校の先生とお話をして気づいたことを書いてみようと思います。

 学習の力のある生徒は、どのようにすれば点が取れるかある程度自分自身で把握できているので、評価をコントロールできるはずです。そうなってくると、学習評価やルーブリックに対して、例えば「大学進学のためにはこの程度やっておけば良い」とか、「受験に必要ない科目は全くしなくてよい」というような発想になる生徒もでてくるはずです。ある意味で賢い学習ができているのかもしれませんが、評価の考え方は、教育困難校と同じようなものです。

自らの学びのフィードバックのために評価を使っていこうという気になるかどうかが大切

 どの学校の生徒でも、評価を得るために学習をしてるという感覚があるように感じます。現実は確かにそういった側面はあるのかもしれませんが、そのような感覚は、VUCA(Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、 Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性))の時代に学びにはつながらないと感じています。

 自らの学びのフィードバックのために評価を使っていこうという気になるかどうかが大切だと思います。

 人生100年時代といわれる中で、生涯学び続けることは、社会を良くしたり個人が豊かに生活できたりすると思います。そのために有効に学習評価が使われるような感覚にしたいですが、何から手を付けてよいやらわかりませんし、そうなるにはとても時間がかかりそうな気がします。

#教育 #教師のバトン #学習評価 #ルーブリック #教育困難校 #進学校 #VUCAの時代

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