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Arti + Mestieri『Tilt』の重力 - プログレッシブ・ロックの真髄を味わう名盤を紹介

■Arti + Mestieri / Tilt - Immagini Per Un Orecchio
■収録曲:1.Gravità 9,81(4:07) 2.Strips(4:41) 3.Corrosione(1:25) 4.Positivo/Negativo(3:39) 5.In Cammino(5:31) 6.Scacco Matto(0:57) 7.Farenheit(1:16) 8.Articolazioni(13:52) 9.Tilt(2:35)
■パーソネル:Gigi Venegoni(g) Beppe Crovella(key) Marco Gallesi(b) Furio Chirico(dr) Giovanni Vigliar(vln) Arturo Vitale(flt) Gianfranco Gaza(vo)
■カバー・アート:Rita Visdomini
■リリース:1974年

そろそろイタリアモノも載せましょうかね。

などといってみて、Duolingoのイタリア語を最近サボってるのを思い出してしまいました。
La mia vicina è timida. Il mio vicino è simpatico.....
Quanto costa questo maglione nero? Costa 500 euro....
ヤバっ、呪文を始めなければ忘れそう♪

そこで、イタリア繋がりで、イタリア系の暑苦しいジョージ・クルーニーの顔を思い出し、2014年のアカデミー賞で監督賞、視覚効果賞、撮影賞、音響編集賞、録音賞、編集賞、作曲賞の7冠を獲得した英国映画、アルフォンソ・キュアロン監督の「ゼロ・グラビティ」を思い出しました。

そしてさらに、当時、この映画を観て、本当のタイトルは無重力(zero gravity)ではなく重力(Gravity)だったことが判ってプチ・びっくりしたことを思い出し、重力で思い出したのがこのアルバムの1曲目でした。振りが長すぎ!

アルティ・エ・メスティエリ(Arti e Mestieri)は、フリオ・キリコ(dr)を中心に1973年に結成されたイタリアのバンドです。リリースした主要なアルバムとしては、1974年にリリースされたこのファースト・アルバムの他、1975年のCiro di Valzer Per Domani、1976年のQuinto Stato、1981年のAcquario、1985年のChildren's Bluesの5枚、そして1990年に突然発売された1974年(すなわちこのティルト発売時)のライヴなどがあります。

Artiは芸術家、Mestieriは職人の意。eはAnd。バンドの名称が示唆する通り、このティルトに収録された曲はいずれも、卓越したテクニックとセンスによって彩られた素晴らしい物ばかりです。

優美なバイオリンの音色と、その背景で展開される手数の多いドラムを聴けばわかるとおり、バンドの音の基礎となりかつそれに強烈なテンションを加えているフリオ・キリコのドラムには鬼気迫るものがあります。ロールを多用したスネア・ワークが大きな特徴です。

フリオ・キリコのドラムを聴くといつも、プログレはドラムが核なのではないかと思うのですよ。ギターやキーボードはそこそこ頑張れば色々弾けるようになると思うのですが、ドラムはメロディー楽器に比べてよりセンスが出るのではないでしょうか。メロディー楽器が頑張って技巧的に弾いていても、ドラムのビートが単調では「らしく」聴こえないんですよね。

フリオ・キリコ、マーク・ポートノイ、フィル・コリンズ、ビル・ブラッフォード(最近ではブルフォードですね)、カール・パーマー。彼らは、名前を書いただけで、クセのあるビートが聴こえてきます。また、アラン・ホワイトって見逃されがちですが、シンバルのタイミングなどかなりいけてます。めっちゃ盛り上がったところで、素人ならバシャバシャ叩きたいところを叩かないとか。

ティルトは発売後数十年を経過しているにも拘わらず、何度聴き返してみても何ら色褪せることがない稀なアルバムの一つです。キングがユーロ・コレクションの帯に載せていたとおり、まさに「イタリアの奇跡」です。

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