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ラッシュの進化が詰まったアルバム「パーマネント・ウェイブズ」の秘密〜ラッシュの音楽的変遷

■Rush / Permanent Waves
■収録曲:Side 1 - 1.The Spirit of Radio(4:57) 2.Freewill(5:24) 3.Jacob's Ladder(7:26) // Side 2 - 1.Entre Nous(4:36) 2.Different Strings(3:48) 3.Natural Science (I: Tide Pools II: Hyperspace III: Permanent Waves)(9:17)
■パーソネル:Geddy Lee (vo, b,key) Alex Lifeson(g) Neil Peart(dr)
■リリース:1980年
■カバー・アート:Hugh Syme

Rush「パーマネント・ウェイブズ~永遠の波」です。
初めて聴いたラッシュのアルバムはこれでした。
音楽専科のレビューで見て即買い!
ラッシュはカナダのグループ。プログレッシヴ・メタルなる分野の先駆者的な存在です。近年、ドリーム・シアターに代表されるプログレ的な方向性を持ったメタル・ミュージックの隆盛により、そういった音楽の元祖のように祭り上げられてもいるようです。

彼らの音は、時とともに大きく変化して来ました。
最初は、かなりなハードロック志向でした。初期のツェッペリンを意識した感じなんだけど、実際に演ってるのは、ちょっと違った独特なハードロックって感じですかね。

その後、バイター・アンド・スノードッグや2112などの組曲的なプログレッシヴな作風による大曲を創り上げ、その後、それらの中で試みられた変拍子の用法やシンセサイザーの導入などを比較的短い曲の中に凝縮する手法に変わりました。このアルバムは、丁度そうした時期のアルバムです。
このアルバムと次作のムービング・ピクチャーは、そうした意味で、1970年代後半のハードロック・シーンが、少し大人な感じで進化した音とでもいうべきサウンドです。

ゲディ・リーのボーカルのスタイルも、初期にはロバート・プラントを意識した(ちょっと苦しそうな)シャウトスタイルでした。それが、特に、このアルバムから、少し力みがとれたちょっと大人なスタイルに変わりました。このおかげで、すごく聴きやすい音楽になりました。

ラッシュは、プログレ原理主義者的な人たちからは、どこをもってプログレと言うのか、ただのハードロックではないかと蔑視されていた感がありましたが、きっと、そういう人たちはギターにディストーションのエフェクトがかかった瞬間に拒絶反応を起こしてしまう許容範囲の狭い人たちなのだと思われます。ラッシュの音の中でも特にこのアルバムと続くムービング・ピクチャーズのギターの歪み具合がチューインガムを奥歯でぎゅっと噛むような感じで脳内にドーパミンを噴出してくれるんですけどね~。

ラッシュは、音楽の面白さとともに、ニール・パートの書く歌詞にも非常に重みがあります。前作まではアイン・ランドの小説にインスパイアされた2112を始め物語的なものでした。今作からは社会風刺的な側面も加味されました。それを象徴するかのような曲が冒頭のスピリット・オブ・レディオです。ラジオから届けられる素晴らしい無料の贈り物,音楽の自由を信じたいが、利益のための歌詞が書かれ、セールスマンの音がコンサートホールに鳴り響く・・・という内容です。最近じゃ、ラジオじゃなくてネットですかね。どこかの国の金太郎飴のような音楽を量産している人達やそれを聴いて悦に入ってる人たちに煎じて飲ませてあげたい音です。

5分足らずの曲なのに、見事に多段階に展開します。プログレ・スピリット・オブ...ですね♪

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