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しゃーないやん

「貴方の出身地はどこですか?」初対面の人に話しかける常套句がこれである。しかし筆者はこのように話かけられると戸惑ってしまう。親の仕事の都合で住居を転々とした為、どこが自分の出身地か判らないのである。
 でも黙ってしまっては相手に失礼なので、「関西出身です」と胸を張って答えるようにしている。確かに私の母語は関西弁(京都に近い)であり、いつも頭の中では関西弁で物事を考えている。それが自分にとって自然である。
 タイのバンコクは関西圏に雰囲気が似ていると筆者は勝手に思っている。特に大阪の都市部のように、少し自己中気味の考え方の人々、客を客と思わない店、騒々しい電車内(これはバンコクの方がマナーはよいような・・)、交通マナーの悪さ、良くも悪くも人々はお互いの個性を尊重し、自己をアピールしている。そしてその事を社会が受容している、そんな社会だ。
 筆者の経験上、そんな関西圏をストレス少なく生きるには2つの方法があった。先ずは自分がその文化性にどっぷりと浸かりベタの関西人になりきる事である。もしくは「そんなものさ」と何事も受容し、諦める事である。
タイ、特にバンコクで生活や仕事をすると非常に有形無形のストレスと向き合うようになる。言葉が通じないハンデもあってか、ちょっとした事でもタイ人スタッフの行動にイライラする事は多い。「何でこんな事もできないの?」貴方も一度や二度はそう思ったことはないであろうか?
 子育てを通じて思うのだが、出来ない子供に「何で出来ないの?」と言うことは逆効果になる事が多い。出来ないのなら出来るように教えるか、出来るようになるまで待つ。
 しかしここタイでは相手はタイ人、しかも大人である。文化の違いはあれど、ちょっと普通の日本人には耐え難いことが多すぎるのではないか。
 関西文化に慣れるようにタイ文化にどっぷりと浸かり、タイ人になりきる事が出来ればどんなに楽な事だろうと思うことがしばしばである。しかし、日本から派遣されている以上、駐在員の業務のペースやノルマはあくまでも日本と同様であり、これをタイ的にはしてもらえない。となるとタイ人になりきるのは難しい。
 「しゃーないやん」これは筆者が関西に住んでいた頃、よく耳にした言葉である。納得いかないが仕方ない時や、どうにもにっちもさっちも行かない時に、自分や他人を諦めさせる為に使う言葉である。
 多分貴方がいつまでも怒っていてもタイ人にはその意味すら分かられないであろう。ここはひとつ小さな事は「しゃーないやん」と口に出し、諦める事も大切ではないか。そうしないと貴方の心が傷つくだけである。
 「しゃーないやん」一度言ってみると、不思議と今までもやもやしていた感情がスッキリしたりする。前向きになる為にも一度この魔法の言葉を唱えてみては如何かな?

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