大蒜

友達とテーマを決めて書いたりエッセイみたいなのを書いてみたり~

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マガジン

  • 真昼の遊霊

    • 63本

    学校の文芸部で書いた作品を掲載しています。各作品の製作制限時間は10分です。さあ、続きを書きましょう。

最近の記事

私は考える〇〇である。

『人間は考える葦である』とはよく言ったものだが、私は葦とも言い得ないような人間であるように思う。ふと気になって葦について少し調べてみたのだがあれは非常に成長が早く、地中に残った地下茎からも発芽するほど繁殖力も高いそうだ。 それに比べて私はいかほどのものだろうか。何をやっても成長速度は並みかそれ以下、新しく得たはずの知識や技術は露のように私の中から零れ出ているような気がする。もし私の心身の一部が地中に残っていたら私はそこから芽を出せるだろうか。それだけの可能性を持ち合わせてい

    • ピンクの夕焼け

      春先だろうか、夕焼けが赤く染まるのではなくあたり一面ピンク色に見えるときがあるだろう。私はあれがあまり好きではない。こんなことをいうと厨二病臭くて嫌なのだがあのピンク色の夕焼けはどこか平和ボケした別世界に飛ばされたような感じがして、普段見る夕焼けの何かが終わっていくような哀愁が感じられないのだ。 どうしてあんなピンク色の夕焼けになることがあるのかはわからないがあのファンタジーじみた夕焼けはどこまでいっても広がっていて影に隠れることはおろか影の存在すら許されていない感じがする。

      • 有り余る暇

        今年度も半分終わってしまいましたがいかがお過ごしでしょうか。 僕は学校にも行けず、バイトもできずでただただ引きこもっています。 唯一の楽しみといえば大学の友人と電話をしながらゲームをすることです。 こんな生活を送っていると元気なつもりでもやっぱり精神衛生によくないんですかね。なにもやる気が起きなかったり好きなはずのゲームも楽しくてやるというよりは何もやることがないから惰性のような感じでやってたりするんですよね。 美味しいごはんを食べて友人とお酒を飲んで、また遊ぶためにバイトし

        • 好きなにおい

          誰しもが「好きなにおい」と聞いて思い浮かべる匂いがあると思いますが僕の場合それはパン屋さんの匂いです。菓子パンの甘いにおいとカレーパンや揚げパンの少し油臭いにおい、小麦の焼けた香ばしいにおいが混ざったあの空間に満ちている匂いが好きです。 昔からパン屋さんの匂いが好きだったんですけど決定的だったのは『焼きたてジャぱん。』をアニメで見てからでしょうか。出てくるパンがどれも美味しそうで自分も将来パン屋さんになろうと思っていた気がします。 よく香水の匂いで昔の恋人を思い出すといったよ

        私は考える〇〇である。

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        • 真昼の遊霊
          63本

        記事

          煙草

          タイトル通り煙草について書きます。 こんなのを書くくらいだからもちろん僕も喫煙者なんですけど、煙草っていいですよね。なんとなく口とか手が寂しいときに丁度いいから「ニコチン切れた~」とかっていうのはないけどなんとなく気づいたら吸ってるんですよね。 大学入った時は煙草の匂い嫌いで絶対吸わないと思ってたんですけど、サークルの先輩と話すのに喫煙所ついていくうちに、これだけ副流煙にまみれてたら普通に吸ってもそんな変わんないかなって考えるようになって気づいたら喫煙者になってました。同じ感

          林檎のお話

          あかい。まるい。おおきい。うまい。「あまおう」である。はたしてこれは本当にイチゴを指す形容詞なのだろうか。あまおうを知らない人にこの単語で連想するものを答えさせたらそのほとんどが別な果物を答えるのではないかと私は思う。林檎である。これこそあかくてまるくておおきくてうまい、あまおうであると、私はそう思うのだ。むしろあまおうが指すのは紛うことなき林檎そのものではないか。僕は紅玉を丸かじりにしながらそんなことを考えていた。

          林檎のお話

          実家の匂い

          風が吹いた。その風はどことなく懐かしい香りを孕んでいた。 私は今日久方ぶりに実家に帰ってきた。最後に顔を出したのはもう6年も前のことだろうか。 前回の帰省は両親と共に食卓を囲み他愛もない話をして実家を後にした。最後に見たときに比べ遥かに老衰している両親を見ると心がチクりと痛んだのを覚えている。両親は少し寂しそうな表情で 「頑張るんだよ」 と私を送り出した。頑張って生きてほしいのは両親のほうだというのに。これが私が最後に見た両親の姿だった。 葬儀の準備のために実家に帰るとそこに

          実家の匂い

          迷子の迷子の大学生

          ただ立ち尽くしている。ここは交差点の真ん中。前進すればいいのか後退すればいいのか、右折すればいいのか左折すればいいのかまったくわからない。どの道を選んでも合っている気もするし同時に全部の道が間違っているようにも思える。迷い続けて十余年。私はどこで道を間違えたのだろうか。今日も明日も明後日も、どこまで行っても正解がわからなくてなんとなく、なんとかなるかなといった具合で進路を決める。なんとかなると思って進んでいるのにどうしてだろう肩の荷がどんどん重くなっていく気がするのは。今日も

          迷子の迷子の大学生

          鬼女伝説

          こんな話を聞いたことがあるだろうか。平安時代、長野県にある戸隠山では紅葉の季節になると何処からともなく現れる女がいた。彼女の素性を知る者はおらず、或る者は彼女は山賊であると言い、また或る者は希代の医者であると言った。女に関する噂は無数に囁かれ、其のどれもが真偽の程を確かめる事ができないものだった。 或る時、一人の侍がその女の正体を知るために山に潜ったという。数日後、ぼろ雑巾のようになって帰ってきた侍が言うには女は「鬼」であった。侍は女を見つけると密かにその後をつけた。山道とい

          鬼女伝説

          味覚

          どうやら味覚も人に合わせて成長するようだ。 僕は苦いものが苦手で、ずっとビールもコーヒーも美味しく飲めずに過ごしてきた。それがどうだろう。23歳の夏になっていきなりどちらもすごく美味しいものに感じるようになったのだ。苦手意識をもっていたからそもそもそんなに飲まなかっただけで、本当はもっと前から美味しく飲めたのかもしれない。どうして苦みに強くなったのだろう。 十中八九間違っているし、ロマンを求めすぎだとは思うが年を重ねるにつれて苦い思いをすることが増えて苦み耐性がついてきてい

          元カノ

          別れてから全然会ってなかった高校生の時の元カノから急に連絡が来て家に泊めた。なにか精神的にきついことがあったみたいだけど何があったのかは話してもらえなかった。4年ぶりに抱いた彼女は付き合ってたときとは全然違くて、それはお互いそうなんだろうけどどこか虚しさを感じた。多分1番引きずってる人だからなんだろうな。 朝起きてどうしても気持ちが抑えきれなくて復縁を持ちかけてしまった。案の定断られた。「付き合うのは無理だし、そういうこと言ってると利用しちゃうよ。」彼女は言った。利用されて

          元カノ

          趣味「ウイスキー」の男

          趣味としてウイスキーを挙げられたらかっこいいと思うんですよね。 例えば友人を家に呼んで「今日どんなの飲みたい気分?」って聞いてそれに合ったウイスキーをサッって出せたら「出来る男」感あると思うんですよ。 ほんとにただただそういう格好つけ方をしたいがために僕は今ウイスキーについて勉強してるんですけど、これがまた楽しいんですよね。ウイスキーって一口に言ってもスコッチ、バーボン、ジャパニーズと色々種類があるし、その中でも細分化されるしで、調べてて底がないというかなんというか。

          趣味「ウイスキー」の男

          スタイリングチェアの上の僕

           カランカラン。僕の入店を告げる鈴の音が店内に響いた。 「いらっしゃいませー!」 店内に入ると眩しい。ひたすら眩しい。店員さんも他の客も皆キラキラしていて僕は自ら入ったものの、なんだかいたたまれない気持ちになった。誘導されるがままに僕は椅子に着いた。いつもならそんなことは考えないのだが、僕はその日に限ってふとこんなことを考えた。「美容師さんを怒らせたらどうなるのだろう」と。  美容師さんは仕事として人の髪を切り、愛想よく話しかけてくれてこそいるものの、こちらの態度次第で

          スタイリングチェアの上の僕

          生存競争

          雷管の弾ける音が僕の頭の中に響いた。どこがゴールかは知らされずとも何故か理解している。周りの同族には負けられない。負けたら自分の生まれてきた意味が見いだせない。夥しい数の同胞が我先にとゴールを目指している。僕は負けじと一目散に直線を駆け抜ける。コーナーを曲がった先がゴールだ。僕は何かに吸い寄せられるようにコーナーを曲がった。その視界に移ったのは母性の象徴としか言いようのない球体である。僕は一着だった。これだけの母性を感じさせる球体だ、僕の頑張りを認めてくれることだろう。僕は悠

          生存競争

          冬・夜

          2月某日の夜更けである。やたらと冷たく乾燥した空気の中で男は一人あてもなく歩いていた。どうやらそこは街灯もコンビニも多くない田舎町のようで暗闇の中、男の持つスマートフォンの光だけが異様に明るく見える。胸ポケットから煙草を取り出し灯をつけると男は何かを思い出したかのように空を見上げる。その視線の先にはシリウスが煌々と輝いている。「あれは何座だったかな。」そうつぶやくと男は煙草の煙を燻らせながらまたふらふらと歩き始めた。

          冬・夜

          〇ァミリ―〇ート

          身長170㎝、体重58㎏、23歳、顔は中の中で彼女いない歴は2年、バイトはコンビニ店員。これが僕のプロフィールである。なんというか漫画でいうならザ・モブといった感じだろう。モブにもモブなりに思うところはあるし、自我をもって生きているということを漫画を読むときに考えたことはあるだろうか。僕は一話の中でセリフがあるかどうかくらいのモブに非常に感情移入してしまう節がある。主人公の親友でもなければ、ヒロインと結ばれることもない。そんなモブが成功する作品があってもいいじゃないか。彼女が

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