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私たちは、生きている動物を食べている

※後半に生々しい写真がありますので、ご注意ください。

焼肉を食べるとき、そのお肉が生きて走りまわっていた時の姿を想像しながら食べたことがあるだろうか。私は、ベトナムに来るまではなかった。

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「故郷でお祭りがあるからおいで」と、ベトナム人の友達が誘ってくれた。せっかくなのでMyちゃんとふたりで行くことにした。今日は貴重なベトナムの休日だった。ベトナム建国時に大活躍した伝説上の歴代王「フン王」の命日らしい。

7,000VND(約35円)一律の破格のバスを乗り継ぎ、2時間ほどかけてはるばる友達の故郷へと向かった。(しかし乗った路線が運悪くお寺へ向かうものだったので、祝日の今日はお祈りに向かうベトナム人で激混み。乗車率は小田急線の車内並み。)

友達は大雨の中、パゴダを案内してくれたり、デザートのチェーをご馳走してくれたりした。「晴れていたらもっと面白いものを見せられたのに」と残念がっていた。

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ベトナム人は故郷に帰ると、親戚みんなを集めて食事を囲む。お酒を飲んでワイワイするのが大好きだ。ペットボトルに入った、かなりあやしい手作りのお酒を「モッ・ハイ・バー・ヨー!(1・2・3、乾杯!)」の掛け声で飲む。

みんなが、親切に食べろ食べろというもんだから、とりあえず出されたものを食べていく。Myちゃんの口からぽろっと言葉が漏れる。

「エリちゃんは、犬のお肉が食べられるのね〜」

!?

ベトナムでは犬の肉が食べられることを知っていた。旧市街を歩いていた時に、棒にワンちゃんたちがたくさんぶら下がっているのを見て、怖くなって走って帰ったのを思い出した。

私は、犬が好きなので食べないようにと注意してベトナム生活を送っていた。


しかし私は今日、ついに、ワンちゃんを、(うっかり)食べてしまったようだ。

手前の黒いお肉と、確か真ん中のチャーシューのようなものがワンちゃんのお肉。(先に言って。涙)

見た目はいたって普通の「肉」で、味も鶏肉と変わらない。


なんでも、田舎では犬やネズミの肉を特産としているところが多いらしい。田んぼの周りにいるネズミは、お米を食べて育っているのでとても美味しいと友達が言っていた。それでも昔に比べると、ベトナム人でも「え、あなた犬やネズミを食べるの?やめなさいよ」というような人も増えて来たという。



帰り道に、停留所でハノイ行きのバスを待っていた。やたらハエが多いなあと呑気に思いながら、その場で足をパタパタさせて待っていた。

目の前に当たり前のように用意されていた光景にゾッとした。


ずっとビニール袋だと思っていた隣に落ちていたものも、よく見ると何かがおかしい。

水牛の皮。木のそばには、袋に入れられた血が何の悪びれもなく置いてある。



そういえば、来る途中に撮った写真を思い出した。コイツじゃないといいんだけど。



ベトナムにいると、「生きている動物を食べている感覚」を、日本にいる時よりも感じる。

私はここに来るまで、日本でスーパーで綺麗にパックされて売られている肉と牧場でのそのそ歩いている動物たちを、なんだか別物のように感じていた。

日本に住んでいたとき。鶏と豚が殺される声で目を覚ましたこともなければ、「鶏を絞められますよ」と得意げに話す同僚もいなかった。食堂で出て来る鶏肉に、まだ毛が生えたままで「生々しいなあ」と感じながら食事をすることも、もちろんなかった。


ベトナムでは、それが日常にある。小さい頃から、家で飼っている動物を親が目の前で殺して、それを家族全員で丸ごと食べる。爪の先から頭まで。

日本で「生きていることを想像できる部位」を食べることがほとんどなかった。顔とか頭とか、鳥の足とか。


*


あんなに牛角の焼肉食べ放題が大好きだった私が、最近「できればあまりお肉を食べたくないなぁ」と思うようになった。ベジタリアンとか、ビーガンとか名前では聞いていたけど意味さえもよくわかっていなかった私が。

ちょっと、気になったので調べてみた。

ベジタリアン:肉・魚を食べない。
ビーガン:肉・魚・卵・乳製品・はちみつも食べない。

こんなにストイックな人たちのことだったなんて。


少しずつ、減らしていくだけでもいいのかも、なんて思った。「今日の夜、焼肉屋と精進料理屋さん、どっちがいい?」と聞かれたら、精進料理屋さんを選ぶ、みたいな。


ベトナムではこんなことを言っているけど、日本に帰ったら全てを忘れて大好きだった鳥貴族で焼き鳥を頬張っているかもしれない。「焼肉最高」と言って、叙々苑でニヤニヤしているかもしれない。


だって、日本の動物たちはあまりにも綺麗に加工されすぎている。


動物を殺すことは人間を殺すことと同じである。人間がこのことを認識する日はいつか来るだろう。−レオナルド・ダビンチ



〜本日の、思い出ぽろぽろ〜

3人でバイクは一応、大丈夫です。


ハノイ市よりもチェーが美味しいと言われて食べた。美味しかった。優しいお母さんで、おかわり自由だった。


お祭りの日に雨が降ったのは初めてだと言われた。雨女なのかもしれない。


友達の家。子供達が多すぎるため、別のお部屋で食べる。

一休さんのように可愛い坊やがいた。(念のため、写真はばあばに掲載許可をいただきました。)

Tシャツの後ろと前が逆!


今日もベトナムは平和でした。


いつも見てくださっている方、どうもありがとうございます!こうして繋がれる今の時代ってすごい