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ドクトルジバゴ

学生時代からもう何度観ただろう。大好きな映画。3時間を超える長編だが数年に一度は観たくなる。

ロシア革命の時代、登場人物の誰もが翻弄されながらも精一杯生きている。

幼くして両親を失くし、医師として詩人として、荒波に振り回されながらも個人としての理想を追い続けるユーリ、母の愛人に手篭めにされ、革命に突き進む夫に捨て置かれながらも強く生き、ようやく出会えたユーリとの穏やかな生活を夢見たラーラ、革命の理想を追い続けるうち鬼と化していくパーシャ、夫の心が自分にはないことに気づきつつも家族を愛し守りながら生きるトーニャ、現実の波をうまく掻い潜り生き続けるコマロフスキー。

モスクワからウラルへの過酷な汽車の旅を終え、無人の駅に咲く花を見つけた時のトーニャの様子が、その後も続く過酷な状況がわかっているだけに切ない。印象深い場面はいくつもあるが、このささやかな描写がなぜか心に残る。

時代とそれに翻弄される人々を、変わらぬ姿で悠然と見下ろすロシアの山々と凍てつく大地。美しいだけに憎らしい。人間って、時代って、なんてちっぽけで弱くはかないものなのだろう。「ラーラのテーマ」とともに、それでも強く生きていかなくちゃ!と思わせてくれる映画です。



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