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ポテチは三等分がいい

18歳の時、はじめて一人暮らしをした。
六畳一間のワンルーム。一階は人形屋さん。
夜更かししても、おやつを好きなだけ食べても怒られない。一人サイコー!いえーい!

ずっと一人暮らしに憧れていた。
友だちも近くに住んでいたし、もともと一人が苦にならない。特にさみしさを感じることなく、わたしは自由を満喫していた。

そんなうきうき一人ライフで、わたしは一度やってみたいことがあった。おやつの独り占めだ。
うちは三姉妹。おやつはいつも三等分。
わたしがぼんやりしている間に、妹たちがどんどん食べるから、ちょっと物足りなかったのだ。

スーパーで、大好きなピザ味のポテチを購入。
やったね、今日はこれぜーんぶわたしのだもんね。ドラマを観ながら、ポテチをちょびちょび食べすすめる。

ドラマに集中して手が止まっても大丈夫。
わたししか食べる人いないんだし。最初は喜んで食べていたけど、3分の2あたりで、だんだんお腹がいっぱいになってきた。

一袋って、意外と量あるんだなあ。
いつも3人で分けっこしてたから、気にならなかったけど。

実家の家族の顔が浮かぶ。
みんな、もう夕飯食べたかな。お父さんとお母さんは、ビール飲んでひと休みしてるかな。
妹はテレビでも観てるかな。

両親が用意したお酒のつまみを、わたしも妹もよく一緒になって食べた。
「そんなに食べたらすぐ無くなるでしょ!」と言う母の声がよみがえる。まだちょっとしか食べてないじゃん。もっと食べたいなあ。といつも思っていた。

念願叶って、好きなだけおやつを食べられるようになったのに。

テレビの音しかしない部屋で、残りのポテチを食べた。騒がしい実家の居間が妙に恋しかった。


メディアバルさんの企画に参加しました。
一人暮らし、懐かしいなあ。
皆さんが、楽しい一人暮らしライフを送れますように。

それでは、また明日。


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