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団塊ジュニア世代は「人は掃いて捨てるほど居る」感に呪われている

私は1972年生まれの団塊ジュニア世代です。同世代の人たち、中でも経営者と話すと「いまだに呪われてるな」と思うことがよくあります。「人は掃いて捨てるほど居る」という考えに呪われているのです。
事業を考えるとき、需要を取り込むことばかりに熱心で、実際に事業を回す人手をどのように調達するかを考えない人がザラに居ます。

でもそれは仕方ない面もあると、同世代の私は思ったりします。そのように考えてしまうのは、私たちの成長してきた過程に原因があるからです。
ということで、団塊ジュニア世代のこれまでを見てみます。


団塊ジュニア世代の成長過程

思えば私たちは、子供の頃から人にあふれていました。
小学校は1クラス50人弱で、最大で1学年10クラス以上ありました。校庭にはあふれる児童を収容するためのプレハブ教室があちこちに増設されていました。
中学、高校も似たような状態でした。
大学受験は志願倍率約2倍。今のように私立大学の半数が定員割れする状況とは雲泥の差です。

そもそも私たち団塊ジュニア世代は、文字どおり団塊世代という日本史上最大の人口ボリューム層の子どもたちです。
団塊世代が1学年あたり約250万人に対して、私たち団塊ジュニア世代は約210万人でした。日本史上2番めの人口ボリューム層ですね。
2024年1月時点での18歳人口が約106万人ですから、約2倍の多さです。

団塊ジュニア世代の成人前後

そんな私たちが成長し、何とか厳しかった大学受験を乗り越え、就職時期に差し掛かったとき、すでにバブルは崩壊していました。就職氷河期に入っていたのです。
1990年代中盤、企業の新卒採用数は、2,3年前と比較して、比喩ではなくケタ違いに減らされていました。ゼロになった企業も少なくありません。有名大学出身でも、上場企業どころか不人気ブラック業種からの内定もままならない状況でした。
「ほんの2,3年上の先輩たちは売り手市場であちこちから内定をもらっていたのに…」そう感じた人は少なくないでしょう。

こうして団塊ジュニア世代は社会人になりました。
かくいう私も、どうせ普通の就職活動をしたってろくな就職口は無いから冒険してみるかと考えて、歩合制セールスの世界に新卒で飛び込みました。そのあたりのことを以前noteに書いています。

その後の不遇

その後も1999年の労働者派遣法改正が影響大でした。
ポジティブリスト→ネガティブリストへの変更で人材派遣可能な業種が爆発的に増やされたことにより、より一層非正規化が進みました。
(ポジティブリスト:〇〇、△△の業務だけは人材派遣OK
ネガティブリスト:〇〇、△△の業務以外は人材派遣OK
つまり、限られた業務しか人材派遣NGだったのが、限られた業務以外は人材派遣OKになったわけです)

まあ、上の世代が逃げ切りのために、当時の若手世代=団塊ジュニア世代を切り捨てちゃったんですね

という中で私たち団塊ジュニア世代はこのように言われ続けました。
「人材なんて掃いて捨てるほど居る」
「お前の代わりなんていくらでも居る」
「どんな仕事でも働けるだけ幸せだと思え」
で、結果として団塊ジュニア世代はそうした考えが染み付いて離れなくなった=呪いとなったわけです。

需要を取り込みさえすれば良いと考えている

しかし世の中の状況は変わりました。
労働人口は減っていき、今や人手不足により供給制約がかかるようになっています。今年のお正月、これが原因で営業しなかった大手外食チェーンの店舗を目にされた方もいらっしゃるでしょう。

でも、まだ自分の意識を変えられない団塊ジュニア世代の経営者って多いんです。
経営者になっている人って、「人は掃いて捨てるほど居る」と言われながらも頑張ってのし上がってきた人たちが特に多くて、「状況がどうあれ為せば成る!」と考える人もやはり多いわけです。
それだけにこれからのことを考えると、同世代ながらタチが悪いなと思ってしまいます。

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