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浪曲って、エンターテイメントとしても実用的学習としてもすごくいい

話芸っていいですよ。
落語、講談、浪曲、いろいろありますが、どれも好きです。

単純にエンターテイメントとして聴いてもとても面白いですし、自分がプレゼンや講演したりするときのための学習としてもたいへん役に立っています。

今は、Apple Musicなどのサブスクでも聴けるので、ぜひ試してみてください。「敷居が高い」なんてことはありませんよ。

とはいえ、話芸を聴くのはやっぱり生、ライブが良いんですよね。
ということで、今日は浪曲を聴きに(観に)行ってきました。

玉川奈々福連続公演「浪曲徹底攻略シリーズ~清水次郎長から忠臣蔵まで~講義と実演」全3回、今日はあの広沢虎造さんで一世を風靡した『清水次郎長伝』。
浪曲師が当代きっての人気者 玉川奈々福さん、曲師が名手 広沢美舟さん…広島では滅多に聴けない貴重で豪華な機会です。


■ 浪曲ってなに?


浪曲というのは、浪曲師(語って、役を演じて、歌う人)と曲師(三味線と掛け声で浪曲師と掛け合いをする人)が舞台でセッションを行う芸のことです。

浪曲師は客席を見ながら演じるのに対し、曲師は浪曲師を見ながら即興で次の合いの手を挟み込んでいくのです。このやり取りがスリリングなんですね。

落語と講談は1人で行う話芸なので、この2人で行うというのが浪曲の特色です。

また、途中で歌が入るというミュージカル的な要素もあります。

■ 浪曲ってジジ臭くない?


無いです、絶対。
食わず嫌いは損をします。一度聴いてみると良いと思います。

こんな感じで、Apple Musicでも配信されています。

■ 今日の感想


今日は有名な『清水次郎長伝』を演じられる前に、演目の解説もしっかりと入るという面白い構成でした。

この解説の中で特に頷いた点を2つほど。

①一席の中で物語が展開せず、場面転換がない
これは浪曲全体ではなく、『清水次郎長伝』特有のものです。
次郎長伝の中でも有名な『石松三十石船』なんて、ヤクザオタクの江戸っ子と森の石松の2人が船の上で話をするだけです。

しかも大した話じゃない。
ヤクザオタクが、「清水次郎長は立派だが子分も立派だ」と言ったことに対し、「自分の名前が出るだろ、絶対!」と期待する森の石松が、「1番の子分って誰?」と尋ねると、ヤクザオタクは「大政」と答えるわけです。

がっかりする石松。
「じゃあ2番は?」「3番は?」「4番は?」「5番は?」と、自分の名前がなかなか出てこないことにヤキモキする石松。
「もー、そうじゃないじゃん!大事な人のこと忘れてない!?」かわいくキレる石松。

って、おいラブコメかよ!

延々とこういう大したことじゃない話が続くわけで、こう言ってしまうと「本当に面白いの?」と疑念を持たれるかもしれませんが、面白いんですこれが。

何と言うかシットコムみたいなものです。『やっぱり猫が好き』とかを、知っている人は思い出してみてください。ああいう感じです。

②そこはかとなく香るBLみ
これは次郎長伝だけではないのですが、侠客の親分子分、侍の主従という関係性って、何というかBLみがあるという玉川奈々福さんのご指摘でした。

はい、あると思います。

デキてるでしょ、あんたたち。

■ 学習視点で考える


話芸のエンターテイメントとしても、浪曲師と曲師の即興セッションとしても楽しめるのですが、やはり職業病なのか自分が話すときに参考になることも観察してしまいます。

玉川奈々福さんのような上手い人とそうでもない人との違いは何か?
テクニックは色々あるでしょうが、私から見ると自信を持っているかどうかが大きいように見えます。

玉川奈々福さんは興に乗ってくると「どうだ!」という感じでグイグイ観客に迫ってきます。
そうでもない人の場合には、どこか観客の顔色をうかがう気配を感じるのです。

それはそうと、この浪曲徹底攻略シリーズ、4月、5月も広島で開催されるので、ぜひとも都合をつけて行きたいと思います。

玉川奈々福さんといえば、この著書『浪花節で生きてみる!』はおすすめです。
浪曲という超アナクロな世界に入り込んだ女性が、名曲師 沢村豊子さんと出会い、会社員との掛け持ちという「死んじゃうかもしれない」くらいハードな時期を経て人気者になるストーリー(だけではないですが)。読み物として面白いです。


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