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年末年始で読んだ本~マンガ編~

たぶん私は一般的な人よりもマンガを読んでいる。以前もnoteに書いた通り、毎月10万円以上マンガに費やしている。

そんな私がこの年末年始もたくさん読んだマンガの中から、山下達郎さんのサンデーソングブックの「棚からひとつかみ」みたいな感じで適当に挙げてみます。
一応おすすめできる、かなと思います。


『葬送のフリーレン』(山田鐘人・アベツカサ)


今さら私なんぞがお勧めしなくてもいい、押しも押されもせぬ人気作品ですが、まずは王道のみなさんにおすすめできる作品から。

「魔王を倒した後の勇者一行の物語」という設定が新しいとも言われます。しかし、私は多くの異世界モノも読んでいますが、その設定自体は特に目新しくはないと思います。
世の中には信じられないくらい多くの、掃いて捨てるほどの異世界モノがあり、バリエーションがあるのです。「その後の物語」くらいで新しがってはいけません。

むしろ、その設定も含め、登場人物たちがステレオタイプすぎるほど超ありきたりな手垢の付いた描かれ方でありながら、すごーく泣き笑いさせることがすごいと思います。こんなにありふれているのに!
つまり、変に目新しさを狙うよりも、制約のある中での表現のほうが面白くなるという感じでしょうか。

また絵がとても素晴らしい。日頃、クズ扱いされるようなタイプのマンガまで読み漁っている身としては、ここまで背景が細かく描かれることに感動します。(近年、背景がほぼ空白のままというマンガ、とても多いんです)

色々と書きましたが、『葬送のフリーレン』は日頃マンガを読むことのない人でも楽しめる作品です。

『姫ヶ崎櫻子は今日も不憫可愛い』(安田剛助) 

次は、あまりマンガを読まない人が読んでもそれなりに面白いのですが、マンガ、特にラブコメを理解している人には楽しんで頂けるのではないでしょうか。

これ、要は世の中に掃いて捨てるほど数多あるラブコメ作品(大好物です)をパロディにしているのですね。
パロディというのは元ネタ、この作品の場合にはラブコメのお約束を知っていたほうが当然より楽しめます。そういう意味で読み手を選ぶかなと若干思います。

ハイスペックでありながらも負けヒロイン属性の主人公が、何とか勝ちヒロイン属性の登場人物に負けないよう奮闘する完全なコメディです。コメディだから、読みては登場人物たちを突き放した立場で笑っておけばいいのですが、主人公に感情移入してしまうわけです。その辺りがたまりません。

あと「藤稔姫」というパワーワードがすごかったです。

この作者さん、『となりの信國さんは俺のことが好きな気がする』という、どちらかと言えば普通寄りのラブコメも書いていらっしゃいます。こちらも面白くておすすめです。(普通の人にはこちらの方がいいかも)

『違国日記』(ヤマシタトモコ)


これは良い。とても良い。名作です。
でも、どうなんでしょう、一般的な知名度が今ひとつな気がするのでご紹介してみました。

両親を交通事故で亡くした高校生(事故当時は中学3年生)が、それまであまり面識のなかった小説家の叔母と同居生活をはじめる物語。

私からの説明はここまでにしておきます。
先入観は不要、とにかく読んでほしい名作です。

『新米姉妹のふたりごはん』(柊ゆたか)


たしかに『違国日記』は名作なんだけど、ちょっと読み疲れしちゃうのも事実です。
そんなときでも驚くほどスルスルと読めてしまうのがこの作品です。

確かに本格的名作みたいなものと比較すると軽いかもしれない。「こんなのある訳ないでしょ」とツッコミも入りやすいでしょう。

しかし、この作品はそういったことを忘れて読ませてしまう「マンガの魔力」に満ちています。いいんですよ、現実離れしていても。マンガなんですから。

一応あらすじらしきものは、両親の再婚によって突然姉妹になり、海外勤務の両親が不在の中同居生活をはじめる。最初はぎこちない2人も料理を通して…みたいな感じです。

この物語、嫌なやつが1人も出てきません。いいんです、フィクションの中にまで出てこなくて。そんな人、現実世界で辟易してますから。
という感じで逃避させてくれます。
そして何より尊い。尊いんです。それでいいんです。

王道におすすめするものも他にいくつもありますが、変化球含めて紹介してみました。
ああ、マンガのこと書くと楽しい。

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