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「chocoZAPは儲かるのか?」を検証してみた

猛スピードで出店攻勢をかけているchocoZAPですが、私の周りでは儲かる/儲からないと意見が二分されている感じです。どちらかと言えば、「あんなメチャクチャな出店していたら儲かるわけない」「どうせあのRIZAPのやることだから」みたいにシニカルに失敗を予測する(期待する)勢が多い気がする。
でも、そういう人たちの意見も特に根拠はないように思えるので、公開されている資料をもとに検証してみました。RIZAPグループは上場しているから基本的に情報公開されてます。全くのブラックボックスではないわけです。

今はまだ赤字


というわけでRIZAPグループの中期経営計画(2022年9月28日発表)と執筆時(2023年12月)で最新の四半期報告書及び説明会資料(2023年11月14日発表)を見てみました。
かいつまんで言うと、四半期報告書によればchocoZAP事業は現時点では赤字のようです。しかし、同時に「現在はまだ先行投資期間であり赤字は計画通り」(意訳)とも述べています。自信有りげな書き方です。
ではもう少し長期的視点での目論見を見てみましょう。中期経営計画によれば、2025年3月期から投資回収期間に入るとのことです。なるほどまだ赤字なのは想定内ということですね。

キャッシュフローは保つのか


当たり前の話だけど、けっこう多くの人にとって当たり前と感じられない話ですが、企業は赤字では死にません。企業はキャッシュ(カネ)が尽きると死にます。赤字だろうが黒字だろうがキャッシュが尽きれば死にます。赤字でもキャッシュが入ってくれば良いんです。このあたりが世間一般で理解されていない気がしますので念のため。
ということでキャッシュフロー計算書を見てみました。
2023年度第2四半期は、2022年度第2四半期とくらべて
営業キャッシュフローは倍増の2,295、
投資キャッシュフローはおそらくchocoZAP出店でかさんで△4,361→△5,246
ということでフリーキャッシュフローはマイナスなのですが、
財務キャッシュフローが△3,905→3,120ということです。
四半期末キャッシュフロー残高は、16,995→16,089と減少したものの持ちこたえていますね。(単位:百万円)
つまり投資先行で出たマイナス分は、借入などでカバーしたということです。これは成長期の企業にはありがちなタイプです。chocoZAP事業の動向次第なのでもちろん楽観はできませんが、今のところ資金ショートすることもなさそうです。

現状分析、将来予想

では足元の状況と将来数値を考えてみます。2023年11月14日時点で次の通りということです。
・会員数 1,010,000人(退会者は含まないアクティブ会員のみ)
・店舗数 1,160店
ということで、月間売上高は、会員数1,010,000人月額会費2,980円=30億980万円となります。
全体で見ていくとちょっと解像度が下がるので、店舗ごとに分解して見ていきます。
1店舗あたりの売上高は、30億980万円÷1,160店≒260万円ですね。

これに対しコストを考えます。
・家賃
広さ30~40坪がメインのようなので次のように想定します。40坪✕坪単価15,000円=600,000円

・水道光熱費
ざっくり100,000円
店舗運営の経験から、昨今の水道光熱費高騰を考慮して少し高めに想定しました。

・清掃費
汚いと悪評を聞きますが、クレンリネスを保つためには毎日清掃が必要と考えて次のように想定しました。
毎日3時間✕時間単価2,000円✕月間30日=180,000円

・広告宣伝費
会員獲得のためには必須です。RIZAPグループ資料によれば1年目は売上の31%、2年目からは9%ということです。
1年目 806,000円
2年目以降 234,000円

・一般管理費
本社費用、機器メンテナンス費用などですね。RIZAPグループ資料のとおり1年目56%、2年目以降25%を想定します。
1年目 1,456,000円
2年目以降 650,000円

コストはこんなところでしょうか。
以上のように想定すると、次のような1店舗あたりの月次収支になります。(減価償却は考慮していません)
1年目 △542,000円
2年目以降 836,000円

現在1,160店ですから、全店2年目以降も営業継続できたと仮定すると、次の収益性が期待できます。
1,160店✕836,000円✕12ヶ月=116億3712万円(年間)
中期経営計画の目論見通り2,000店舗出店すれば、次のとおりです。
2,000店✕836,000円✕12ヶ月=200億6400万円(年間)

結論


もちろん変動要素が大きいですし、ざっくり把握なので解像度は低いですが、将来的には年間200億の利益創出が期待できるということですね。そりゃ必死になって出店しますよね。
最後にもう一つ注目したいのは、常駐人員を配置する必要がないということです。今後日本は労働人口減少に拍車がかかり、人的に供給制約がかかることは明白です。(先日、木下斉さんのVoicyでも供給制約が取り上げられていました。)そんな中、省人化可能なこのモデルは面白いですね。一見安売りのように見えて、その実しっかり利益確保ができる。目論見通りならそうなりそうです。


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