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とある日の、真夜中のゲイ。

コロ日4 8日目 
2022年10月17日(月)

「初代面でこんなこと言うのもあれだけどね、あなたの方がタイプ」と64歳のゲイに言われた。人生で初めて訪れたゲイバーだった。隣には大学時代の先輩がいて、その日ゲイだと告げられその足で2人で上野のゲイバーに連れて行かれた日曜の夜中12時。明日もバリバリ9時出社だが?

「爽やかでいいね」などと、まさかこんなレズな私がゲイにも需要があるだなんて思わなくて思わず笑ってしまった。というか先輩の前でマジでやめてくれ。先輩、なんかごめんなさい、さすがに64歳のおじいはしんどすぎるけどまあありがたく享受しておく。

「金吸えるだけ吸って帰ろう」「このくそじじい死ねば良い」などとおじとにこやかに会話しながら隣でスマホのメモ帳にそうタイプして見せてくる先輩。こわ。ゲイこわ。爽やかな笑顔の下のゲイの本気を見た。こうやってパパを作り奢ってもらうんですね、シンプルにすげぇと思って眺める無力な私。軽やかに繰り出される下品な会話が浜崎あゆみの歌声と共に私の耳をすり抜けていく。営業のなんたるかを垣間見た。私も頑張ろう。

きっと至る所でこうしてアピールしていかなければ、食い食われる世界なのだ。あまりにもハッキリしていて性に貪欲で、悲しくて、こんなにも潔い世界があったのかと思う。

もう上野に住んで4年くらい経つのに、私はなぁんにも知らなかった。今まで上野の面白さの半分も見えてなかったんだな、とここ最近飲みが増えてきて思う。社会人の方が、そう言う意味では世界が広がっていて面白いかもしれない。お酒を飲むことがこんなに楽しいと感じているのは初めてかもなどと思ったりする。大学時代はどちらかと言うと飲まされていて、飲み会のあのノリもあまり好きではなかった。クラブなどでのオールも別に好きではない。でも、今は自ら飲みに行っている。飲みの場を楽しめている。お酒に飲まれると言うより、お酒を使って社交している、これが意外にも結構楽しい。会社の接待とか(したことないけど)にはない楽しさである。

ところで64歳のゲイおじは、妻子持ちで4人の娘がいるが、小6から自分の性的指向を自覚していたらしい。同性愛は精神病だなんだと揶揄されるような時代を華麗に生き抜き、30代で界隈デビューしハッテンバヘ行き遊びまくったらしい。絶対娘気づいてるよね。こういう生き方もあるんだなとまたひとつ学びが増えた。世界は広いね。

色んな人がいるということに気がつけることは、最近の私の喜びである。まじで色んな人おる。自分が今まで正解だと思ってきた世界は、こんなにちっぽけだったと気がつく。少し一歩下がって周りを見渡して見れば、自分では想像もつかなかったような世界で、キラキラと輝いている人たちがいる。真面目に会社員をしているのがアホらしくなったりもする。どんな年齢の、どんな性別の人も、等しく何かに悩み苦しみながらもなんとか笑ってお酒を飲んで生き抜いている。こんな素晴らしいことが、この世にあるか?

みんな幸せになってほしいと切に思う。今まで出会ったどんな親切な人も、嫌な人も、好きな人も、昨夜路上で潰れて寝ていた女の子も、あのおじも先輩も、色んな性自認の人も、性的指向の人も、みんなに幸あれ。ほんとに、ほんとに。

2ヶ月ぶりの日記だったけれど濃い出来事に思わず筆が進んでしまった。無事に生きてます。

ああ、明日も仕事だ。
みんなに良い1日が訪れますように。

おやすみ。

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