第146回 調子に乗る娘

今日、ちょっと驚くことがありました。

娘がマグネット・ブロックで少し複雑な形を作りました。箱型の立体に嘴の様な形の四角錐がついたものです。パパが大好きな「宇宙船」だそうです。

わたしも妻も驚いて、娘を褒めました。

わたしにとっては第一子ですから、子育てで初めての経験ばかりですが、4歳の娘があんな形の立体を作れるとは思っていませんでした。

おそらく妻も、歳の離れた妹たちを見ていた経験から、4歳児として能力的に発達が早いと感じたのでしょう、満面の笑顔で褒めていました。

嬉しい驚きでしたが、娘はすぐに調子に乗るのが玉に瑕で、その後小一時間、ブロックで作品を次々に作りましたが、最初の驚きはこちらには無くなって、褒め言葉もおざなりなりました。

娘が言う「最高傑作」がこれでもかと私達に披露され、最初に勝るとも劣らない賞賛を求めているのは分かるのですが、ちょっとインフレ気味の「傑作」に笑顔が強ばりました。

妻は良く、「調子に乗るのはパパ似」と言います。それは否定しません。褒められて伸びるタイプなのです。でも、人の賞賛と言うのは逓減するものです。芸術家の多くが、最初に世に出た作品を超えるのに苦労するのはそのためです。そこから自分を乗り越えることのできたものだけが、価値のあるものを作り出せるのです。その時の賞賛こそが本物です。

おそらく娘は今回の様な経験を何度も人生でしなければなりません。自分では前の仕事を超えたつもりでも、他人から見たらそうでもない。褒められもしない。その時にどうするかが人生の分かれ道なんだと思います。

そのことを理解するのは、頭ではないと思います。そしてわかったとしても、どう行動するかは本人次第です。人間関係も大事でしょう。調子の乗るのはほどほどにしたほうがいい様な気がします。

娘の前途に幸あれと願ってやまない父なのでした。

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