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気持ちが復活し、バイタリティがあり余っているので、図書館でランダムに選んだよくわからない本を詳しく読んでいる僕

どうしようもなく動けない状態にありました。生活に支障が出るほど、すべての物事に対して行動する気力が出てこない状態が続いていたのです。行動しなければという罪悪感だけが膨れ上がって、正直チェックメイト状態でした。こんなこと人生で初めてでした。

1週間前から回復してきて、いまはほとんど以前の健康状態に舞い戻ってきました。回復のきっかけはほんの些細な事でした。他の人からすると「そんなことで?」と言われるような事です。おそらく些細な事をした本人も同じ気持ちかもしれません。しかし僕にとっては、最初の0から1にするその気力がなかったのですから、ともかくかなり重要な事だったのです。直接お礼を伝える手段が無いのでここに感謝の気持ちを置いておきます。
ありがとう。



気力が湧いてくるとこれまでの何も動けなかった時間を取り返したいという逸る気持ちが僕をよく分からない行動へ移します。普段の作業は当然として、それ以外の時間でどうすれば日常を面白く出来るかと考えました。その結果として僕は今、図書館の本棚からランダムに本を選び、それを僕にとってはありえないほど詳しく読みこむということをやっています。その方法は次の通りです。

はじめに図書館の本棚の数を自分で数え、それぞれの棚に番号を割り振ります。ルーレットを行い、出た目に応じてランダムにひとつ本棚を決定します。

そして本棚の前で目をつぶり、手探りでひとつ本を取ります。

以上。

本を手に取り目を開けたとき、近くに居た人と一瞬目が合いましたが、お互いすぐさま目線を逸らしました。どちらも何も悪いことをしていないのに、お互いが何か悪いことをしたような緊迫した瞬間でした。こんな出来事ですら「充実」、「満足」といった気持ちを実感しているのですから、今の僕は無敵です。

そんなこんなで僕がランダムに選んだ本はこれでした。


ランダムに選ばれた本

タイトルを見たとき、何とは言いませんが僕は持ってる男だなと思いました。それと同時に、やらせを疑うレベルの引きに少し怖くなりました。ただ、気楽に読める小説ならよかったのにと考えたのも事実です。目次を見たところ、中身はなかなか難しい内容の世界史の本で今までこのようなジャンルは触れたこともなく、本当に読めるのかと思いました。しかし、本のタイトルを見ると何故かその気持ちが和らぎました。

目次をサッと見た後、本棚の前で序文の数行を読みました。以下では、実際にどのように読んでいるのか、僕の読書における頭の中の様子をほんの少しだけ見てもらいたいと思います。

序文のはじめ(このページはサンプルとして公開されていることを確認済み)

序文のタイトルは

『アナール』創刊の経緯と「アナールの精神」

下ネタでないことを願わずにはいられませんでした。

創刊ということは『アナール』という雑誌があるということなのでしょう。そしてそのジャーナルの精神について序文にまとめられ、これから語られるのだと解釈しました。

そして、タイトルの後にはこう続きます。

マルク・ブロックとリュシアン・フェーヴルは一つの学派としてアナール派を創ろうとしたのだろうか。

E・ル=ロワ=ラデュリ著、A・ビュルギエール監修、浜名優美監訳、
「叢書『アナール 1929-2010』歴史の対象と方法 I 1929-1945」(2010)

さっそく我々に語りかけてきました。この文から読み取れるのは「アナール派」というものが存在しているということです。マルクさんとリュシアンさんがアナール派創始に重要な役割をしたということも推察されます。また、争点は二人がこの学派を創ったのは意図的かどうかということも分かります。

そんなことよりも僕は、この一文を(非常に申し訳ないのですがそんなことは絶対ないと百も承知で)どうしても高度で知的な下ネタに感じずにはいられませんでした。とても悔しいです。これは全て私の薄学ゆえのことです。もっと知的になりたい気持ちがより一層増しました。

序文は以下のように続きます。

二人が1928年に何人もの人に手紙で雑誌創刊のプロジェクトについて述べた言い方を見ると、それは疑わしい。

E・ル=ロワ=ラデュリ著、A・ビュルギエール監修、浜名優美監訳、
「叢書『アナール 1929-2010』歴史の対象と方法 I 1929-1945」(2010)

すぐ答えが出ました。

著者の考えとしては、二人は意図してアナール派を創ってはいないようです。こういう歴史の本や伝記を読んだときいつも感じるのですが、個人的なプライベートの手紙を後世の人に詳しく見られるなんて、有名な人も大変だなと思います。

著者が二人のプライベートな手紙を見て考える雑誌創刊プロジェクトの目的は次の文に書いてありました。

二人の説明によれば、主な隣国のレベルから見てフランスに欠けている社会経済史の雑誌を創刊することによって何よりもまずフランスの
遅れの穴を埋めることがその目的である。

E・ル=ロワ=ラデュリ著、A・ビュルギエール監修、浜名優美監訳、
「叢書『アナール 1929-2010』歴史の対象と方法 I 1929-1945」(2010)

「フランスの遅れの穴」とは何でしょうか…

「フランスの遅れの穴」とは何でしょうか!?

僕には意味深なダブルミーニングにしか聞こえませんでした。

僕の悪い癖なのですが、本を読んでいると話の本線に関係のないツッコミばかりして脱線してしまい中々ページが進みません。今回のこれも「絶対狙ってる、意図してこのキラーフレーズを使用してる」と勝手な決めつけのもとツッコまずにはいられませんでした。ラデュリさんには重ね重ね申し訳ないと思っています。

本線に戻ると、なるほど、『アナール』は当時の国際情勢を俯瞰しフランスが対外的に劣っている穴を無くす目的、一種の富国策として創刊するべきだと二人は主張していたということらしいです。たった3行ですが、当時の様子や『アナール』にまつわるバックグラウンドが伝わってくる良いイントロダクションに感じました。


ここから先も読み進めており、もう少し先に進んでいますが、1. 長くなってしまう事、 2. 著作権侵害の観点上サンプルページとして公開されている箇所の一部でとどめておくべき事等からここら辺で一度止めておきます。興味のある方は手に取ってみるのもありかもしれません。アフィリエイト記事ではないので安心してください。

もし万が一僕の読書の過程を知りたい人と言ってくれる人がいる場合、今度は著作権を気にしなくていい古典的名作でやりたいと思います。

自分の知らない世界の本を読むのはそれなりに楽しいのでみんなにもおすすめしたいです。

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