家庭裁判所における名前の変更手続き(複合姓)

家庭裁判所でできること:名字の変更、名前の変更 他

やむを得ない事情によって,戸籍の氏を変更するには,家庭裁判所の許可が必要です。
 やむを得ない事情とは,氏の変更をしないとその人の社会生活において著しい支障を来す場合をいうとされています。
 なお,父又は母が外国人である者(戸籍の筆頭者又はその配偶者を除く。)で,外国人である父又は母の氏を称する場合にも家庭裁判所の許可が必要です。

家庭裁判所「氏の変更許可」https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_19/index.html

複合姓とは、自身の名字と配偶者の苗字を2つ繋げた形の名字
**英表記すると名字は2つになる前提ですが、日本人の場合、日本語表記すると間にスペースもハイフンも入れられず、一つの長い名字になってしまう
→結論から言って超不便


概要


所要期間:短くて2ヶ月
費用:切手代と収入印紙 約2000円+交通費1−2回
*名字と名前だと、名前の変更の方が費用がなぜか若干安い。問い合わせの際は「うじの変更」
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_02_7/index.html

手続きの流れ

こちらのケースでは氏の変更(特に国際結婚における複合姓)について記載します。

①まずは家庭裁判所への必要書類準備・申立
・申立書の作成 

https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/file2/2019_ujinohenkou_r.pdf

*私の管轄は厳しく、「理由に納得できない」と再提出させられたので最初からたくさん書くと良い
*紙に手書きしてうっかりそのまま送ってしまった。コピーを取っておくと良い
・添付書類の準備:氏の変更の理由を証する資料、戸籍謄本
・切手と収入印紙は買うのがめんどくさいので、裁判所の売店で買ってくる
申立先は住まいの住所により管轄が異なるので調べる

②面談
③審判
④許可後、確定証明書を持って役所へ手続き

添付書類

氏の変更の理由を証する資料:申立書の他に、例えば通称ですでに別の名前を使っているなどを証明する資料を添付可能。長年使っているほど有利なんだそう。
私は追加で配偶者のパスポートの写しと、氏変更に同意している旨の同意書も持っていった。

1週間後TELあり、「追加資料を送れ」とのこと。
・不利益を被るより詳細な理由
・相手国にて複合性が認められていることを証明する民法の写しと翻訳

なんなら、なぜこの順番で2つの姓を並べることにしたのか、と言う理由まで書かされる。
東京で申請した友人は「自分の名前もキープしたいけど、相手の名前も名乗りたい♡」みたいなノリで余裕だったとか・・。地方は件数が少ない分厳しいのかもしれない。

面談

名前の変更をするには、提出書類が受け取られた後に家庭裁判所で面談をする必要があります。その後総合的に裁判官が審判をするとのこと。

書類再提出後、数日して「面談日時の調整を」とTEL。
面談は特定の曜日の特定の時間のみ受け付けているようで、すぐの時間が取れず、3週間後の日時で合意。
スーツの弁護士風な人しかいない中違和感満載で待ち、別室へ案内され30分ほど書類の内容を復唱するような面談を受ける。
一応提出した書類を手元に持っていると「これはですね」とすぐ説明できて便利

審判

1−2週間で審判の結果が簡易書留にて届き、「許可が降りたので、確定証明書が欲しければ書類に記入の上、収入印紙を貼って送り返せ」と書類が添付されています。
150円だったかとても中途半端な金額なので、200円分貼って「50円は放棄します」とした。

確定証明書

審判許可が降りた後、14日を経過しなければ確定証明書は送られてこない。
この14日は「不服の申し立て期間」で、仮に戸籍に申請者1人しかいなくても「法律ですので」待たないといけない。ちなみに14日は営業日なので、正確には届くまで3週間ほどかかる。しかも超重要な書類なのに普通郵便で・・。追跡ができないのと、最近では2日余裕でかかります。
戸籍・住民票の変更手続きは、確定証明書を持って役所にて行う。

参考資料

メモ

・書類は「書きすぎた」「添付しすぎた」くらいの方が良さそう
・委託できるサービスもあるようだけど、平日動けそうなら自力でいける(仕事を抜けるのは最低限、面談の1回)
・時間がかかるので、急いでいるとジリジリする


せっかく国際結婚なので堂々と夫婦別姓を謳歌していたのに、ある国のパスポート作成における子供の名字問題で仕方なく変更するはめに。
(日本では、子供には自動的に日本人の方の名字が引き継がれます。婚姻の際に日本人配偶者の名前オンリーに変えることも可能。ただしそれだと「あなた何人?」的な名前に見えるので嫌だったのと、半年過ぎてしまうともう役所では変更できない)

相手国は先進国ではないが、民法ができた頃から「名字は好きにしていい」という話。さらには2010年には改正があり「同性婚の場合の名字も好きにしていい」とあった。日本より数十年も進んでいる・・。
夫婦別姓の議論もそうだけど、色々とおいて行かれているなと改めて残念。
結局審判がすぐ降りるように「家族としての一体感」など理由として挙げたけれど、国際結婚は自動的に夫婦同姓対象外、空港でも家族別行動・・。
(お母さんが外国籍の友人は、いつも日本入国の時は家族が離れ離れで理解できなかったし悲しかったと言っていた)

「一体感」を理由に頑なに夫婦別姓を進めないなら、いっそ誰もが一体感を持てるようもっと徹底するべきだし、このまま中途半端に「一体感」と言い続けるなら全く納得できないのでもっと柔軟にするべき。夫婦別姓を許可したところで全員が別姓にするのではない。選択肢が欲しい。これは人権である。
私はもう3回変えたけど、それにかかる時間と費用もバカにならないし9割方女性の負担・・。おかしくないか。

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