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映画:感想『コーヒーが冷めないうちに』(※ネタバレあり)

「何度でも 許されていいから」
この映画の主題歌はYUKIの♪トロイメライ。
公式パンフによれば、YUKIちゃんが原作も映画もご覧になって描かれた曲だそうです。この映画の主題、ぴったりだなぁと、早速、iTunesで購入して聞いております。

最近見た映画の予告編で必ず、この映画の予告が流れていて、第一印象は「あー、泣ける系なのね。」という印象を持っておりました。
そこまで気になっていたわけではないのですが、どうしても吉田羊とコーヒー好きの血が騒いでしまい…。本命で観たかった映画の字幕版が朝夜しかなかったので、ということもあり、次点的に観た次第でしたが。

まんまと泣きまくりました。

謳い文句は「4回泣ける」でしたが、たぶん、4回より多く泣いてしまいました。

原作は、本屋さん大賞でタイトルを見てはいましたが、読んだことはなく、映画がノー知識での入口となりました。
原作には出てこない数ちゃんの彼氏や、多少展開が違うようですが、原作者さんが伝えたかったもの、は、きちんとまとめた脚本になっている、とパンフレットにありましたので、おそらく原作ファンの方でも大丈夫なのではないでしょうか。(笑)

1本の映画の中で、4組のエピソードが語られます。
皆が皆、その過去に何か取り返せない後悔や、今は手に入らない希望を持っていて、未来を変えられたら、あの頃に言えたなら…そんな気持ちを持って過去に踏み込みます。

絶対誰にだって、大なり小なり1つくらいはある、「あの時にああしていたら」「あの時に言えていたら」…現実は、少しでも過去に踏み込めるなんてあり得ないので、その点では完全にファンタジーなんだけど、そうではない点は…

起きてしまった過去は変わらない。でも、未来は変えられる。

字面だけ見たら少年漫画みたいだけど(笑)
実際、それぞれの登場人物は、小さな後悔や願望をもって、ひとときの過去に踏み込んで、そして、未来を変えるきっかけをつかんで帰ってくる。

聞けなかったこと、言えなかったこと、過去に行っても結局聞けなかったこと、隠されていた真実や気持ち、そして決意する新しい未来。
それぞれのエピソードで明かされる本当のこと。それを名優たちが純粋に演じているので、気が付いたら話に引っ張り込まれて、感動しちゃう。

それでもやはり、ストーリーの最初から気になるのは、謎の「幽霊」と、数ちゃんの抑えた感じ。

幽霊は、割と隠すこともなく数ちゃんの母親と分かるし、数ちゃんの抑えた感じの陰には母親との何か関係性があるからだろう、ということも分かる。そういう意味では、ストーリーの流れや伏線の張り方は、定番といえば定番だけれども…気付いたら感情移入しまくっている後なので、どうにか解決してほしいと願うようになる。他の人は未来に進めたのに…って。

だから、まさか未来のミライの如く、娘の未来(みき)ちゃんが来てくれた時に、ヨッシャー来た!それだけで未来が拓ける可能性…わずかなハラハラと、大きな感動。

お母さんを帰せなかった原因が自分と知ってショックを受けるけれども、反面、お父さんに会いに行った、私は捨てられ裏切られたわけではなかったという事実も理解する。お母さんの命もすでに限られていたことを知る。

「あなたは大丈夫だから。大好きよ。」お母さんのこの言葉で、数ちゃんがどれだけ救われたのか…。それ以上のことを言えと言われても言えない、でもそれだけに全てが含まれている。

真実を知って、お母さんに大切な言葉をもらって、そして自分を「許せた」数ちゃんが、初めて、…それまでは「嫌ではない」とかって表現しかできなかった数ちゃんがついに発する「大好き」の一言。本当に、キラキラしてて素敵だった。

有村架純と、石田ゆり子の演技が光ってたなー、と。

そして、やはり吉田羊のコミカルだけど深みのある演技も秀逸。
妹は結局救えなかったけど、妹の夢と一緒に生きることは出来る、そんな未来を選択した姉ちゃんは、サイコーに格好いい!

ストーリー全体としては若干ベタ感はあるけれども、その構成と展開、全てのストーリーの集約の仕方、そしてきれいな言葉が、すごく、観終わった後の爽快感や感動に繋がって、心地よい映画でした。

日々に疲れている大人が、喫茶店に入るくらいの気持ちで入って、観て、癒されてほしい、そんな映画です。


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