見出し画像

湿痺(しつひ/しっぴ)って聞いたことあります?

中医学の湿痺は、体内に不要物な副産物である”湿”が蓄積し、気血の運行を阻害したため起こる関節などの痛みのことです。湿度の高い時期、湿度の高い場所に住んでる、湿がたまるような飲食をしてるなどによって引き起こされる痛みです。

体の部位の痛みは、痺(しびれ)という字を書いて【痺証(ひしょう)】と言います。痺証は、リウマチ様関節炎、慢性関節炎、坐骨神経痛、頚椎症、五十肩、痛風、神経痛、筋肉痛などの痛証を包括した考えです。

臨床のヒント

・リウマチ様関節炎は手の第2関節の腫れが見られます。第1関節の腫れの場合は老化が多いです。
・坐骨神経痛は、腰からきます。
・頚椎症は、首からくる手のしびれです。
・痛風は、熱です。親指から足に症状が見られます。胃の火がある事が多く、経過で腎機能低下に注意です。

痺証の種類

●風痺:ふうひ(行痺)風邪と寒湿による痛み。寒さで悪化し、痛む場所が移動します。
●寒痺:かんぴ(痛痺)寒邪による痛み。特徴は激痛。温めると緩和します。附子をよく使います。
●熱痺:ねっぴ 熱邪の痛み。熱邪の侵入か、風寒湿邪侵入後熱に転じたときに置きます。赤く腫れ、熱感をもち、発熱、口渇が見られることも。石膏や知母が入ったものを使います。
●頑痺:がんひ(久痺、骨痺)長期化した痛みです。気血の不足や肝腎が虚した事によるものです。

湿痺は、着痺と呼ばれています。湿邪は重濁粘滞性質なので、しつこく定着します。

これら複数に該当する場合も多々あります。風邪が寒邪と湿邪を伴って襲ってくる”風寒湿痺”はよく見られる症状です。寒くて雨が降ってる日に痛くなる痛みです。

湿痺の痛み

痛みは、気血水が詰まって痛む「不通則痛」(ふつうそくつう)と、気血水の不足で起こる、「不栄則痛」(ふえいそくつう)の2つのタイプがありますが、この場合は、湿が気血の運行を邪魔しているので不通則痛と考えます。ただし、湿があるということは、その分、気血の生産が低下してる可能性(湿困脾胃による気血の生化の低下)を考慮しなくては行けないので、不栄則痛の可能性も考えて対処します。不通則痛の痛みは強いです。刺されるような痛みとも言われます。不栄則痛は鈍痛です。さすりたくなるような重い、痛みです。


ここから先は

1,256字

スタンダード

¥500 / 月
このメンバーシップの詳細

この記事が参加している募集

仕事について話そう

サポートして頂いたお金で、新しい本を買ったり、講習会に参加し、知識を広げて皆様に必ずや還元します!!