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ちび太の旅立ち

この記事は流産に関する内容です。センシティブなテーマでもあるので、触れたくない場合は、読むことをお控えください。


ちび太との別れ

ドロっとしたものが股の間から出た感覚があった。ちび太が私の外に出た、と思った。本当かわからないけど、そう感じた瞬間だった。
ドロッと出てきたものは人間ではない。心拍も確認できていない。ただ、トイレの汚物入れの中に入れ、燃えるゴミとして処理されることに戸惑いと悔しさを感じた。
だから記録として残しておくことにした。ちび太がいたこと、ちび太が私にもらたした、この感情を書き残す必要があると思ったからだ。

前提

私たち家族は、第2子を授かるため昨年の12月から不妊治療をしている。AMH検査の結果、卵子の数が少ないことがわかり、この半年でタイミング法→人工授精→体外受精のステップに取り組んだ。今回は人工授精3回後、初めての体外受精。その結果、妊娠。ちび太は誕生したものの、妊娠後の第1関門である心拍確認のフェーズで今回の出来事が起きた。

豆知識:AMH検査とは?

AMH検査は、血液中のAMHの濃度を測ることができ、AMH値から発育過程の卵胞の数(量)を推測することができます。つまり、卵子がどの程度残っているかを推測する指標として用います。AMHは月経周期には依存しないため、採血によりいつでも測定可能です。
(中略)
なお、AMH検査の結果は卵子の数を推測するもので、卵子の質と関係ないため注意が必要です。

はらメディカルクリニック 
AMH検査とは?検査の目的やAMH値の平均値、卵子の質を保つ方法を紹介

ちび太が旅立った意味

今回の体外受精で起きた一連の出来事はまた別の機会に書く(はず)として、今の私の気持ちをまずはここに残しておきたい。

私は今回、自分に都合の良い「輪廻転生」を頭の中で作り上げた。そこには鬼も、地獄もない。善人、悪人、動物や虫であっても、次の生をスタートさせることに各々、試行錯誤をしているイメージ。ちび太もこの世に生まれるチャンスを得たのだけど、今回はちょっとうまくいかなかっただけ。だから、ちび太はゴミとして処理されて終わるわけではないし、これでお別れでもない。

ちび太は私の中にいる間、この世は結構良いトコロだと思えたに違いない。美味しいご飯、美しい自然、面白い本、楽しいおしゃべり、愉快な姉と頼りがいのある父、マイペースな母。なかでも、野村萬斎さんとパイプオルガンとのコラボレーション「ボレロ」を一緒に鑑賞したときは、「なんだこの美しい音色と舞いは⁉」と魅了されたに違いない。「今回はダメだったけど、もっかい、この世に生まれるために頑張ってみっか」。ちび太はそんな気持ちになっているはずだ。この世に生を得るためのモチベーション。ちび太は今回それをゲットして、一旦、神様のもとへ旅立ったのだ。私はそう思うことにした。


ちび太の記録

4月5日:採卵(母、麻酔にやられる)
4月15日:受精結果、レベル1の良質な子が残る(ちび太誕生)
5月8日:移植(ちび太、母の中に戻る。これはいつか書く)
5月17日:血液検査にて妊娠判定(ちび太、着床完了)
5月31日:徐々に出血が増える(母、不安)
6月2日:ちび太、大きくなっていないと言われる(母、号泣)
6月5日:ちび太、心拍確認できず
6月7日:ちび太、旅立つ

damacoの日記

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