見出し画像

感受性貧乏が中島らもの『今夜すべてのバーで』を読んだ話

中島らもの名作今夜全てのバーで
依存性に寄り添ってるように見えて、アル中の味方にも見えて、周りを大切にすることによって自分を大切にすることを覚えることにも見えて、

内容はアル中の中年が入院して退院するまでの話。
幻想と現実を行き来しながら、周りの患者、医師、自己と対話を重ねる中で、葛藤しながら自身と向き合ってく。
中島らも自身のほぼ実話。アルコールだけではなく、ドラッグや暴力の描写も凄まじい。

特にタナトスの話が印象深かかった。
生きたい本能と死にたい本能が共存してるってのはなんだかしっくりくる。

そんな普段蓋をしてる感情を流してきて心地よい闇に落としてくれる。文章が淡白なのが、また良い。

そんかこんなだが中島らものユーモアと優しさが心を前向きにしてくれるし、ラストは凄く爽快なのでぜひ読んで欲しい。
きっと読んでよかった一冊になると思う。


ここからは中島らも自体の話↓

中島らもの特に暗い作品を読んでいると現実がどうでも良くなることが多かった。
ドラッグをやった後みたいな至福感と優しさに包まれながら心にぽっかりと空いた穴をまさぐって、文体にプカプカ陰鬱に漂っていたくなる。神秘的で美しいかと思えば、全てを壊してぐちゃぐちゃにしたり、優しく寄り添ってきて泣きそうになるような文章だったり、何冊読んでもよくわからない人だが、一時期狂ったように彼の本を読んだ理由は彼の文章がもたらす安心感に惹かれて、影を追っていたのかもしれない。




この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?