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【記事紹介】“米国情報関係者は指摘する。ウクライナは主要作戦目標を達成できないだろう”(ワシントン・ポスト紙 2023.08.17)

8月17日付ワシントン・ポスト紙の記事によると、米国当局者は、ウクライナ軍が現在の攻勢でマリウポリを落とすのは極めて困難だと判断しているとのことだ。

その主たる理由は、ウクライナ軍が重点(Schwerpunkt)形成に失敗した点にあると米側はみている。

ウクライナが攻勢前に米英と合同で行った図演において、ロシア軍防衛網の突破に際してウクライナ側に相応の損失が生じることが予見されたが、ウクライナはその犠牲を受け入れるだろうと西側関係者は考えていた。だが、実際にはウクライナは犠牲を減らす方向に切り替え、複数の地区での小規模部隊による攻撃に依存するようになった。その結果が、現状のゆっくりと徐々に進行する進撃になっていると記事は指摘している。

米国当局者によると、ペンタゴンは単一突破点への大規模戦力の集中をウクライナに対して「何度も」すすめたが、キーウは兵力損失を考えて、それとは違った戦略を選んだとのことだ。

このウクライナの判断が誤りなのか、戦術的適応なのかはともかくとして、ロシア軍防衛網を突破し、その先へと進むことは容易ではない。

軍事アナリストのロブ・リー氏は次のように指摘する。

ロシアには三重の主防衛線があり、さらにその後ろに要塞化された都市が存在する。ウクライナが防衛線の一つか二つを突破できるかどうかが問題なのではない。問題なのは、三重線すべてを突破できるかどうか、そしてトクマクやそのさらに奥にある目標を奪還するというような、さらに重要な戦果を達成するための十分な戦力を、消耗してもなお、保持できているかどうかにある。

U.S. intelligence says Ukraine will fail to meet offensive’s key goal, The Washington Post, 17.08.2023

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