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都知事選終了後のネット上における「不正選挙」論の危うさ

東京都知事選挙が終了した。55%の投票率、366万票の得票で、小池百合子都知事現職の圧勝であった。それはともかく気になったのは、ネット上で不正選挙がトレンド入りしたことだ。様々な反応があったが、直ぐに思い起こしたのはカルト集団オウム真理教だ。1990年当時の衆議院議員総選挙に25人が立候補して全員落選。国家陰謀による不正選挙であるとし、その後、先鋭化して暴力による国家転覆を目論み、地下鉄サリン事件などのテロ行為を実行した。状況は違うが、思考の方向がよく似ているので、ネット上でもそれを指摘する意見も見られた。要は、閉じた空間で他の思想を一切受け付けない集団が、教祖麻原により、洗脳され、凶行に及んだ。それは、更に過去の過激派極左集団の一連の事件を彷彿とさせるのである。


不正選挙という論調には、民主主義国家の民主主義手続きである選挙を完全否定し、暴力革命を最終手段とする極左の思想がかいまみえるのであり、ここではいわゆる左派の過去の歴史を振り返ってみよう。

旧ソ連の共産主義思想実現を目指す日本共産党は、革命での体制変換を目指し最終的に暴力革命も辞さないという思想である。1960年代の学生運動は、 元々は大学や教育に関する事柄に対しての反対運動や要求運動だったが、その後、戦争反対や安全保障条約改正など政治的な事柄に変化していった。 それら反対運動に乗じ、共産党が学生を取り込み共産主義思想の実現に利用しようとした。

全学連とは1948年に結成された全日本学生自治会総連合の略称で、結成当初は日本共産党の統制下にあった。その後、分離し、 2012年時点では日本共産党系、中核派系、革マル派系などの団体が、自身の団体を正統な全学連であると主張している。

この学生運動から派生した過激派が、赤軍派であり、日本赤軍、連合赤軍である。日本赤軍は、テルアブビ空港乱射事件、日航機ハイジャックダッカ事件など、海外でテロ行為を実行している。連合赤軍は、山岳ベースリンチ殺人事件、浅間山荘立て籠り事件を起こし、多数の死者を出している。

要は閉じた閉鎖的な集団で、異なる思想を一切受け付けないカルト洗脳集団であり、彼等が理想を追求した結果がこれらのテロ行為であり、集団リンチであった。オウムも全く同じで、閉じた閉鎖的な集団、麻原の思想以外一切受け付けない多様性の欠如、その結果が地下鉄サリン事件である。

現在の左派の論調をみると、反権力、反安倍、反原発、反戦平和、9条守れであり、1960年代の学生運動とうわべの主義主張はほぼ変わらない。しかも、目指す最終的な目標も同じで、現体制をひっくり返し、共産主義、社会主義への体制変換であると言うことだ。そうであるなら、最初に何故それを主張しないのか。暴力革命を起こしてでも実現すべき体制をまず主張し、将来のビジョンを示すべき。その上で、だから現在の体制は全否定なんですと言わないと。

末端の支持者は、反対するのは構わんけど、思考停止になってないか、多様性を一切否定してないか、反対の為の反対になってないか、代替案はあるか、他者の異なる意見を聞いたか。を振り返って欲しい。その上で実現する最終的な将来の体制は何かを考えて欲しい。不正選挙という国家陰謀論が出てくる事自体が、既に組織の不健全さを露呈している。俯瞰から自分を見る事も大事だし、過去の教訓から学ぶことも大切だと思うのですが、いかがでしょうか。

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