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コミュニティが続く、ただ一つの理由

 コミュニティを長らく運営している。ソフトウェア開発とその現場のためのコミュニティ(任意団体)で、主な活動は勉強会を開催すること。2008年の6月21日からだから、もう12年を越えている。勉強会の回数はまもなく300回に到達する見込みだ。参加人数は約7000名。

 12年というのは、私が所属してきたどの組織よりも長い。おそらく、もう自分の人生において打ち破ることはできないように思う。これだけ長いこと運営していれば、人生のレベルで様々な影響がある。

 自分で会社を立ち上げたのも、仕事の仲間を得たのも、コミュニティによるところが大きい。コミュニティを通じて多くの人との出会いがあり(また多くの別れもあった)、まさに自分の関係人口の中心を担うような存在である。

 自分の人生を並走するような存在があると、過去との比較がしやすい。12年前の自分と、今の自分。コミュニティを立ち上げたときの環境と、今の環境。そのときに周囲に居た人物や状況と、今私の周りにいる人達と状況。

 まさに様変わりしている。12年前の私はSIerにいて、いち組織のメンバーで、ちょっと変わった言動はあるが、何者にもなれていなかった。まさか自分が大勢の前で話したり、本を何冊か書いたり、会社を自分でつくったりするなんて全く想像もしていなかった。

 12年の間に自分が積み重ねてきたことは、決して一人ではやりきれなかったことだ。それはこれからも同様だろう。願わくば、この先もコミュニティに関わる人達それぞれの人生の糧となるような存在に、このコミュニティがなってくれればと思う。そのために、このコミュニティを残し続けたい。

 コミュニティが続く理由は一つだと思う。コミュニティにはgive and giveが欠かせない。そうした姿勢を基本としつつ。コミュニティの活動で何らか相手に感謝を感じたとき、相手に直接恩返しして終えてしまうのではなく、貰ったものを次に来る人達にgiveする。恩送りだ。

 恩返しはそこで完結してしまう。恩送りは未来の時間に繋がる。それが続く限り、コミュニティも続く。

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