【ネタバレあり】「愛を読むひと」と「ダンサーインザダーク」を見た


最近暇なのでよく映画を見ている。
基準も取り留めもなく 何となく目に留まったものを見ていくだけなのですが、続けざまに見た映画  その登場人物にある共通点が印象に残った。

「ダンサーインザダーク」のヘルマ
「愛を読むひと」のハンナ

この2人はそれぞれ法廷に立ちそれぞれ終身刑・死刑の判決を言い渡され、最終的には死の運命を辿ることになるのだが、

2人とも判決が覆る事実があるのにそれを証言しない。


ヘルマは失明者であることを
ハンナは非識字者であることを明かせば 死刑、終身刑という最悪の刑罰は免れたはずなのだ。

正直両方とも(特にダンサーインザダークは)視聴中、呆れと怒りが混じってやきもきした気持ちになった。
バ、バカなのか…?もっとやりようがあるだろ…と心無いことすら思った。

それぞれが秘密を隠した理由

しかしそれぞれにも、秘密を隠すはっきりとした理由がある。

ヘルマは"息子が自身の失明することを知ったら目に障るから"
判決を受けてからは"こっそり医者に渡した息子の手術費用を世間に取り上げられないよう隠している"状態なのだが(死刑判決受けてる時点で絶対そっちの方が目に障るけどね?!)そうなる前から周囲に対して目が悪くなる病気のことを先の理由で隠しているのだ。そのせいで職場に迷惑をかけたり事故に合いかけたりしている。
本人の中でしっかりと理由があるにしても、また、本人にとっての最重要事項が息子の手術である(そしてヘルマは自身のことを二の次に扱う)という描写が多いのでそのひとつとも受け取れるが、見ているこちらとしてはやや納得いかない。

ハンナに至っては、"恥ずかしいから"
これらしい。
そんなか…?と思い、この時代のドイツでの識字率を調べてみたら90%ほどだったので 確かにみんなが当たり前にできることができないのは恥ずかしいと思うかもしれない…のかな?
なお非識字者に対して差別があったのかと思い調べてみたが、英語とかの難しい資料ばかりでよく分からなかった。

このように、私はこの2人が自身の弱みを周りに隠す生き方を選んだのを、孤独が報われなくて寂しい結果だと思ったり、謎のつよがり、プライドが高い と思うのだった。


2人が命に変えても守りたかったものとは


はい。
このように2人の意図や気持ちが一切分からなかった私だが わからないなりに頭を捻り2人が生活、周囲、世間体、自身と引き換えにしたものはなんだったのかと考えた。

私が2人に対してもうひとつ共通で感じた印章がある。
毅然としていて周囲に依存しない、信念のある人間だということだ。
ヘルマもハンナも誰かに頼り生活するわけでもなく、生き方に真摯に向き合う強い人間だ。

両方とも1970年代あたりの映画(と思われる)なので、周囲を頼ることの出来ない社会だったという時代背景があるのかもしれない。


私はといえば、と自身の
有難いことに周りの優しさや、生ぬるい社会に頼りきっている現状を振り返り、ぐぬぬ…と思わざるを得ない…。
私はこの2人を見て、自身の生活ぶりを反省したのだった。
社会や周囲に甘えすぎず、この2人が命に変えても守った尊厳を失わないように、誇りを持ち、周りを愛し強く生きていくぞ。

おわり。

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