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[副業]DJとして活躍する田中直明(DJ NaoAki)のパラレルキャリア

田中 直明(DJ NaoAki)のプロフィール

文系の大学院を経て、2015年にWEB系のITベンチャー企業に就職。ゼロからプログラミングを学び、2年半で独立。フリーランスのSEとして主に大手企業のWEBアプリの開発やデザインを手がける。その傍ら、2018年4月からDJとして活動開始。デビューから3ヶ月で「BEST OF JAPAN 2018」で日本のクラブランキング1位を獲得した渋谷のWOMB、4ヶ月強で日本最大のナイトクラブageHaと、デビュー直後から有名クラブに出演し注目される。プレイジャンルはEDM、HOUSE、POP、TRAP/DUBSTEP、HARD DANCEなど幅広い好みをもつ。人に刺激とエネルギーを与える選曲とプレイスタイルが魅力。過去にWOMBのメインフロア、渋谷のVISION、東急プラザ銀座屋上の「キリコテラス」などに出演。


全く興味がなかったDJに、一瞬で魅了されて機材を購入

-どうしてDJになりたいと思ったんですか?

もともと、DJなんて全然興味がなかったんですよ。僕は高校まで野球部でどちらかというと硬派なタイプだったし、人前でしゃべれないほどシャイだし、そもそもクラブイベントにも馴染みがありませんでした。お通しとか何か食べるものを提供するわけでもないのに、ただ入るだけでエントリー代というものをとられるし、イカつい男にいきなり「ボディチェック」と言われて体バンバンやられるし、中に入ればドリンクは高いし、タバコ臭いし、音楽がうるさくてろくに話もできないし、オールだとすぐに眠くなって帰りたくなるし、次の日は寝るだけでつぶれるし、「何が楽しいんだろう」って思ってましたね(笑)。それが、2017年9月に友人から「クラブ初心者向けのイベントだから」って、あるイベントに誘われて。最初は警戒していたんですけど、初心者がぎこちない踊りで馬鹿みたいにハシャいでるのが楽しかったのと、出会ったDJがものすごくかっこよかったんですよ。こんなに人を高揚させて楽しませて、すごいなって。すぐにそのDJに「教えてください!」って頼んで、翌週には彼の家に行って教えてもらいました。機材に触ってみたらやっぱり楽しくて、その日のうちに機材を購入。彼から「続けるなら安物よりちゃんとしたのを買った方がいいよ」と言われたので、11万円くらいのものを買いました。いずれ、DJとしてデビューしようと決めたので、必要な投資だと思いましたね。

-どんな風に練習してたんですか?

ちょうどその時、勤めていたIT企業を辞めてフリーランスのSEとして独立する真っ最中だったのでかなり忙しかったんですよね。なので、せっかく買った11万円の機材は4か月くらい放置してしまいました(笑)。フリーランスとして軌道に乗り始めた2018年の年明け位から、練習を開始。人に教わったのは2回くらいで、後は一人で自宅練習。でも、それだけだとつまらないので、ホームパーティを開いて友達に披露していましたね。
そのうち自宅だと物足りなくなって、3月半ばに新宿歌舞伎町のDJバーBUMPというハコのDJブースを借りて練習することにしました。まだお披露目するほどの実力じゃなかったので告知はしていなかったんですけど、知らない女の子がふらっと来てくれたんですよ。まだ練習も1, 2か月くらいだったのと、自宅と機材が違うので音楽を止めたり、逆に流したりして間違えまくったんですけど、はじめてお客さんを前にプレイできてすごい楽しかったですね。

少しずつDJの知り合いを増やし、津田沼のレストランでDJデビュー

-どうやってデビューしたんですか?

プロボノとして関わっていたNPOにDJをしている人がいて、「来週のイベントに出ない?」って誘ってくれたんですよ。その日がデビューのつもりで会場のDJバーに行ったんですが、自分の出番の直前で近隣の人から音がうるさいとクレームが出て、警察沙汰になって、その日のイベントが中止になってしまったんです。デビューできずショックを受けていたら、来ていたDJが「今度別のイベントあるから来なよ」って誘ってくれて、そこからいろいろなDJや、クラブイベントを主催する立場のオーガナイザーの人とのつながりが広がっていったんです。
そこで会ったうちの一人から誘われ、4月に津田沼にあるレストランでDJをすることになりました。クラブではなくDJブースのあるレストランで出番をもらったんですが、とにかく夢中で汗だくになってプレイしましたね。必死だったし楽しかったので一瞬で終わったような気がしたのすが、最後に「これからもDJをやりたいな」と思ったのはよく覚えています。

-その後、どうやって出番をつかんだんですか?

DJって、出演するにはオーガナイザーからブッキングされなきゃいけないし、自分が主催するにも他のDJを手配しないといけないし、知り合いがいないと出番をつくれないんですよね。なので、色々なクラブに遊びに行って、DJやオーガナイザー数十人と知り合いました。
4月後半には、いいなと思ったDJにも出演してもらって、自分のバースデーパーティを企画しました。この日もうまく繋げないトラブルがあり焦ったんですが、会場が盛り上がって手ごたえは感じました。普段は20人くらいのハコに50人が詰めかけてくれて、忘れられない誕生日になりましたね。しばらくはそのバースデーパーティを目標に自主練していましたが、その後はデビューした津田沼のレストランの出演が月に3回あるくらいで、地道に経験を積みながら次のチャンスを探していました。レストランやDJバーだけでなく、早く普通の大きいクラブでも回したかったですし。
そうしたら、新宿のDJバーで知り合ったDJが「君のDJめちゃくちゃいいね!今度表参道のクラブでイベントやるからおいでよ。むしろ出ちゃう?」って誘ってくれて、都内のクラブでプレイするチャンスがやってきたんですよ。小さな出番であっても何でも引き受けて、会った人とのご縁を大切にして、外に出て自分の活動をSNSなどで発信したり、人に知ってもらうのが、チャンスをつかむためには大事だと感じましたね。


デビュー3か月弱でクラブランキング1位のWOMBでプレイ

-今は日本有数のクラブでも活躍していますが、転機はなんだったんですか?

都内の大きいハコでよく回している、巷では有名な女性DJの方がいるんですけど、その方といろんなイベントでちょこちょこ一緒になったんですね。僕はDJとしてではなく客として遊びに行ってただけなんですけど。そして、あるときに僕から「この大箱で出演したいんですけど、できませんかね……?」って言ったら、二つ返事で「OK」となって、イベントのオーガナイザーに紹介してもらいまして。それで出演することになったのが、2018年の日本のクラブランキングで1位になった渋谷のWOMB。デビューして3か月弱での大箱デビューでした。
後でなぜ紹介してくれたのか聞いたら、僕のプレイ云々というよりかは、SNSで発信していた活動の状況と、礼儀正しくて人を大切にしそうなところが決め手だったらしいです。DJってある種の接待業でもあるんですよ。お客さんをとにかく楽しませることを考えて準備して、プレイ中はもちろんプレイの前後もちゃんとお客さんを盛り上げて、楽しんでもらえるように最後のお見送りまでフォローするのが役目。後日のお礼メールも一人ひとりに出します。だから、人を大事にするってプレイと同様に大切なことなんですよね。WOMBの中では一番小さいフロアで回したんですけど、めちゃくちゃ楽しかったです。
WOMB出演を皮切りに、他の有名クラブのイベントにも呼んでいただけるようになり、例えば渋谷の最大規模級クラブのVISIONや、デビュー4か月強で日本最大のクラブ・ageHaにも出演しました。それが今年の夏のことで、この半年は本当にめまぐるしくて、とにかく夢中でDJに打ち込んできました。もちろん本業のフリーランスSEもちゃんとやりながらです(笑)

時間があればDJ活動、とにかく楽しいから忙しくても辛くない

-DJ活動にどれくらい時間を使ってますか?

本業以外の時間はほぼ全部使っていますね。週に1,2回金曜や土曜に出演することが多くて、出演がない平日の夜と日曜は曲探しとセットリスト作成、SNSでの発信、集客、練習に費やしています。曲を探すだけでもかなりの時間がかかるんですけど、探すのが楽しくて飽きずにずっと探しちゃいますね。
出演までに準備するのが、誰かのバースデーパーティの準備をしてるみたいでワクワクするんですよ。「この人を本気で楽しませるぞ!すごいサプライズ仕込むぞ!」ってコツコツ準備して、当日に喜んでもらえるのが何よりもうれしく。たまに、自分の選曲やプレイが良くなくて、フロアが空になって落ちこんだこともありましたが(笑)。でも楽しいことのほうが多いので、時間は費やしているけれどまったく苦痛じゃないですね。
本業がフリーランスのエンジニアですが、フリーランスだからここまでできるのはありますね。やるべきことをやっていれば、会社員と違って定時前に帰れますし。本業の生産性を上げれば上がるだけ、DJに使う時間が増えます。会社員時代は急な残業や急な呼び出し、飲みの付き合いがあってここまで時間が使えませんでしたから。

DJとして稼ぎたいなら、まずはファンを増やすこと

-ぶっちゃけ、どれくらい稼いでますか?

駆け出しの時よりは、ギャラというか自分のDJとしての価値はアップしましたね。自分がこれは絶対出たいと思ったイベントならノーギャラで出ることもありますし、ギャラが出ても来てくれたみんなにおごりまくって大幅にマイナスになることもしばしばあります(笑)。いまは稼ぐための副業と言うより、ただ好きでやっている感じなので、ギャラはもらえても額にはそんなにこだわっていません。
DJとしてお金を稼ぎたいなら、ほかのDJより桁違いに集客できることは必要ですね。ファンの多さがギャラやステータスを決めます。あとは作曲したり曲をリミックスしてそれを広めるのも王道です。

DJは副業でやりやすい!音楽好きな人はチャレンジしては

-どんな人に副業DJをオススメしたいですか?

音楽が好きな人にはぜひ気軽にチャレンジしてほしいですね。好きな音楽を流して、みんなとワイワイ盛り上がって、ストレスも発散して、人の輪も広がって、いいこと尽くしです。洋楽好きはもちろん、J-POP好きやK-POP好きJAZZ好きでも、音楽なら何でもいいと思います。クラブに通い詰めてる必要もないし、年齢も性別も関係ないですね。定年間近の方がデビューしたりもしてますよ。そこから飛び抜けて売れっ子になるのは難しいかもですが、趣味で出演を続けるのは意外とハードルが低いんです。
ただ、のめり込みすぎると体を壊すのでほどほどに(笑)。クラブイベントってオールナイトが多いので、専業の人なら夜型の生活にすればいいけど、副業で高頻度で出演すると体力的に持たないですから。
日本のDJは、専業3%、副業97%くらいのイメージですね。DJ一本で食うのが難しいというのもあるし、稼ごうと思ってやってる人も少ない感じがします。それでもDJやりたい、続けたいと思うほどDJってやりがいあるんです。それは実際にやってみて感じてください(笑)

文・編集:高村エリナ

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