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[兼業]ちくちくCAFEを経営する清水正樹のパラレルキャリア

清水正樹 プロフィール

大学在学中にWEB動画マーケティング事業で起業。その後、株式会社オールアバウトに新卒入社、メディア運営・EC事業の立ち上げなどに携わる。2011年に同社より株式会社エンファクトリーがスピンアウト。現在では同社の取締役副社長、株式会社ロベリア
取締役、株式会社飼育係 代表取締役社長、合同会社flasco 代表。

ドライブ中の雑談がきっかけで、なりゆきでハリネズミとの触れ合いカフェをオープンすることに

ーどうしてちくちくCAFEを立ち上げたんですか?

実は、完全なるなりゆきです。長年シェアハウスに住んでいたんですけど、シェアハウスの仲間で山梨にぶどう狩りに行ったんですね。で、ドライブ中って暇じゃないですか(笑)。「特に話題もないな」と思いつつ黙っているもの気まずくて、ちょうど同乗者もビジネスをやっている人だったので、新規事業のブレストをはじめたんですよ。そしたら、「最近、ハリネズミちょっと流行ってるよね」「…やっちゃう?」という流れになったんです。それから、親がシルバニアファミリーが大好きで、実家に人形もハウスもたくさんあったんですよね。自分含めて男兄弟しかいないんですけど(笑)。シルバニアファミリーって、めちゃくちゃかわいいし、根強いファンも多いじゃないですか。そこで、「ハリネズミ」「ドールハウス」っていうファンが多くて可愛いものを2つかけ合わせたら最強なんじゃないかと思って、ドールハウスに入ったハリネズミと遊べる「ちくちくCAFE」を渋谷につくりました。雑談からすぐにビジネスをはじめるって想像しにくいかもしれませんが、もともと社内でも社外でも新規事業の立ち上げには慣れていたので、できそうと思ってからすぐに実行までのプランを立てました。

ーどうして渋谷を選んだんですか?

もともと、渋谷は仕事でも遊びでも訪れるホームタウンのひとつだったんですが、「人は多いけれど、実はおもしろい観光スポットってあまりないな」と思っていました。渋谷に来てできることって、食事か買い物かカラオケくらいで、もっとエッジのきいた体験型のスポットがあったらいいのにと感じてたんですよね。もうひとつ、インバウンドの外国人向けに面白いことをやりたいとも思っていたので、これまでやりたかったことが「渋谷で外国人観光客も楽しめるハリネズミと触れ合えるカフェ」の1点に自然とつながったんです。

ハリネズミの魅力はツンデレ?!お客さんの喜び具合が全力なのが励みに

ーハリネズミの魅力って何ですか?

単純に見た目も可愛いんですけど、ツンデレなのがいいですね。最初はあまり人に慣れないんだけど、地道に触れ合っているうちにだんだん手の上でエサを食べたり、寝たりするんです。基本的にキュートな顔をしているのに、たまにすごい不細工な顔になるところもいいですね。それから、思いのほか個性があるんですよ。いま「ちくちくCAFE」には40匹がいるんですけど、寝相が変な子がいたり、けんかっ早い子がいたり、昔は人懐っこかったのに最近反抗期になったのかなって子がいたり。

ー「ちくちくCAFE」をはじめて、うれしかったことは?

お客さんの反応がものすごくいいのがうれしいですね。客層は、6割が外国人で4割が日本人、女性同士かカップルが多いんですが、年齢は意外と幅広いんですよ。老若男女問わず楽しんでもらえて、「かわいい!」「ワオ!」みたいな嬉しい悲鳴が毎日飛び交っていてます。ここまで全力のリアクションをもらえるビジネスもなかなかないかなと思いますし、そんな体験をつくれたことが励みになります。
それから、カフェのスタッフは心底ハリネズミが好きな人ばかりなので、「大好きなハリネズミと一緒に仕事ができて本当に幸せ」とを聞くと、そんな場をつくれてよかったと思います。
あと、王様のブランチに出演するのが人生の目標だったんですけど、「ちくちくCAFE」を紹介してもらって出れたので、夢が叶ってうれしかったです(笑)。

ノウハウのある人を連れてくれば、未経験のジャンルでも成功する

ーハリネズミビジネスのノウハウがないのに、どうやって成功させたのでしょうか?

これまでのWEB領域での新規事業立ち上げの経験があったので、マーケティングや集客の算段はすぐに見当がつきました。ちょうど、シェアハウスのメンバーにデザイナーや内装デザインができる人もいたので、広報物のグラフィックデザインや、店内やドールハウスの内装も身内に頼めて、学園祭の出し物の準備みたいなノリでサクサク進めることができましたね。一方、実はハリネズミを飼ったこともなければ、接客業のバイトもしたことがなかったという問題もありまして(笑)。でも、自分が知らない分野は、得意な人を見つければいいんです。ハリネズミは飼育方法が特殊で温度管理なども難しいのですが、ハリネズミが大好きな人は非常に多く、すぐに100人近い応募があり、店長とアルバイトさん6人を採用して飼育や接客の体制を整えました。ノウハウがある人を適材適所に配置することで、自分はPRとマーケティングに集中できるようにしたので、自分個人としては立ち上げまでに100時間もかかっていません。限られた自分のリソースを重要な点に集中させるために、フォーマット化を進めて、自分がやらなくていい部分は人に任せるのは、特にパラレルキャリアでビジネスをする時には大事ですね。

ーハリネズミ触れ合いカフェ運営特有の、難しさはありますか?

ハリネズミをはじめとした動物カフェ業態は、店舗経営の中ではかなりやりやすいジャンルだと思います。飲食店舗の経営は、賃料や人件費などで固定費がかなりかかる上に食材の仕入れや廃棄などコストコントロールが難しく、マッサージや美容院のようなサービス業は1人のお客様に対して1名のスタッフがつくので、それもまた継続的に利益を出すのは意外と難しい。その点、動物カフェ業態は、食べ物は出せず飲み物もセルフサービスで仕入はあまりかからないですし、客数に対してスタッフが増えることもないので、集客さえうまくいけば成立しやすいモデルと考えてます。

難しさで言えば、ハリネズミの飼育自体が難しいですね。飼育方法も特殊ですし、温度管理もかなり繊細です。「鼻水が出てきた!」「うんちがグリーン?!」なんて異変が起こったりすることもあるのですが、そこは飼育に詳しいスタッフたちが動物病院協力のもと迅速に対応しています。店舗経営の肝はやはり人ですね。優秀な人たちをちゃんと集めて、チームワークが生まれて初めて、円滑な運営ができると実感しています。

―これから、「ちくちくCAFE」をどうしていきたいですか?

渋谷に1号店を出した後、沖縄本島の国際通りにも2号店もオープンしたんですよ。日本に居ながらにして別世界が味わえる沖縄が好きだったのと、立地の良い物件を持つパートナーが見つかったので出店を決めました。今後も、ハイペースではなくてもちょっとずつ店舗を増やせたらいいですね。

いいものだから売れる時代は終わり、最初から売れる仕組みを考えて

ー店舗経営をしたい人へのアドバイスをお願いします!

「差別化」と「集客の仕組み」を企画時点でつくるのはかなり大切ですね。「いいものを出していれば人は集まる」と思ってる人も多いですが、今はそういう時代ではありません。店舗やサービスが多すぎて、普通のものを提供しても何の差別化もできないんですよ。人が集まるのには必ずロジックがあります。どう個性を出して、どう集客するのかの見通しは最初に綿密に組み立てる必要がありますね。自分がいいと信じるものを、マーケティングなどを考えずにじわじわとお客さんが集まるのを待つというやり方もありますが、じわじわやっているうちにキャッシュが尽きてしまうリスクは大いにありますから。店舗経営は初期投資、月々の固定費共に相当なお金がかかります。特に経験の浅い方がパラレルキャリアからはじめてみるなら、いきなりでかい博打を打たずにできるものに、コスト構造を考えたうえで挑戦するのがいいと思います。

どんなテーマで店舗経営をするかについては、「目新しいアイデアなんて出尽くしてるよ」なんて思うかもしれないですが、町中に遊びに行ってすることの選択肢って、お茶飲むかご飯食べるかくらいなんですよね。カラオケやビリヤードもあるけど、好きじゃない人もいるしそればかりだと飽きちゃいますし。外で人と会ったときの楽しみ方の選択肢は、実は世の中的には豊富ではなくて、もっと新しい形が出てきてもいいと思います。「ちくちくCAFE」も、婚活パーティをしたりバー営業をはじめたり、さまざまな体験の提供もはじめています。これから何かはじめたい方は、面白い切り口がないかをフラットな気持ちでぜひ探してみてください。

文・編集:高村エリナ

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