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連載『on the road to eclipse』熊谷義朋

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2024年4月9日、カナダ、メキシコを含む北アメリカで見られる皆既日食。写真家の熊谷義朋が、皆既日食に向かうまでのアメリカ南西部の移動の記録を残していきます。 日本でも時々見ら… もっと読む
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記事一覧

on the road to eclipse #04 『Kingman gas station』 by 熊谷義朋(写真家)

車はカリフォルニアからアリゾナに入った。 2つの州には1時間時差があるはずだが、 カリフォルニアはサマータイムで、アリゾナはサマータイムがないので、 結果時差はなく、ただ高速を走っている間に州が変わっていた。 景色は思い描いてたアリゾナで、 永遠と続く砂地、岩山、ところどころの廃墟の繰り返し。 たまに急に街が現れてまた荒野に戻っていく。 旧道のルート66を通って、 キングマンという街に着いた。 ガソリンスタンドの横の売店によって、 見るからにお土産という感じがする、ルー

on the road to eclipse #03 『SKATE PARK IN SLAB CITY』 by 熊谷義朋(写真家)

サンディエゴを出た僕らは ブリアにお勧めされたスラブシティのスケートパークに向かった。 サンディエゴから東に車を走らせて、3時間。 だんだんと景色は単調になり、どこまでもまっすぐ続くような道路を越えると、スラブシティは見えてくる。 後から知った事だが ここは元々アメリカ海軍のキャンプがあった場所で 戦後、何もなくなった場所にキャンピングカーで暮らす人が集まりだし 徐々にここで暮らす人が増えていったらしい。 人口は流動的で、流れるようにやってくる人、出ていく人 ずっと暮らし

on the road to eclipse #02 『SAN DIEGO』 by 熊谷義朋(写真家)

ロサンゼルスをでた僕らは結局 空港で会った二人に会いに、サンディエゴまでやってきてしまった 南へ120マイル、車で2時間ぐらい うつくしいビーチや基地で有名な街で、映画「トップガン」舞台にもなったらしい 南に下るとメキシコとの国境があり、そこらじゅうでスペイン語が飛び交っていて 英語よりも耳にする量が多い 街全体にメキシコの風が軽やかに吹いてる気がした ロサンゼルスの空港で会ったふたりの名前はダーとブリア サンディエゴに向かうことが決まって急に連絡したのだが時間を調整

on the road to eclipse #01 『LOS ANGELES』 by 熊谷義朋(写真家)

3月25日、午後1時すぎ、カリフォルニア州のロサンゼルス空港に到着して まず思いだしたのは映画「ナイトオンザプラネット」のことだった ロスアンゼルスの空港からスタートする物語 タクシードライバー役のウィノナライダーが 車のサンバイザーに収納してるタバコを出して おもむろに火をつける感じが好きで なんとなく覚えていた 9時間のフライトの後のロサンゼルスの空港は 鈍色のベルトコンベアが無機質に流れており 映画のまんまの世界のようで 何か変な気分になってぐるぐると周りをまわって