boa viagem #002 「長時間移動の楽しみ方」 by 写真家・新多正典
丸2日かけてブラジルのレシーフェに向かうのがこれで5回目。
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伊丹空港へ向かうバス停までタクシーに乗った。
朝5時。
こんな時間にタクシーって走ってるんかなと思って大通りに出ると、むしろタクシーしか走ってなかった。
運転手のおっちゃんが気さくに話しかける人で、「ブラジルに行くんです」と伝えると案の定驚かれた。
「私は一生そんなとこに行かないだろうなぁ」
そう言われたとき、率直に共感してしまった…。
深夜2時に寝て、朝4時に起きた。
移動中、飛行機で好きなだけ寝てくれと思っても胸のザワツキが止まなくて目が冴えた。
4年前もこんなに緊張してたっけ?
思い出せない。
随分昔、飛行機が苦手だった。
恐らく一度も乗ったことのない母親の気質を継いだんだろうと思う。
それが今では往路だけで10時間以上のフライト×2をしているのだから開き直りの境地だし、むしろ楽しんでもいる。
機内ではずっと映画を観ている。
行きだけで多くは10本観たりすることも。
食事も2回から3回提供される。
ビールもワインもいくらでも追加できるから、映画を観ながら飲んだくれて寝落ちするのを待つ。
長旅の過ごし方はこんな感じ。
旅の目的地よりもこっちが楽しいんじゃないの?くらいに思う。
睡眠不足だけは積み増しされていく。
もはや寝てるか起きてるか分からない曖昧状態に陥っていき、これが非日常世界への通り道なんだろうと確認している。
日本からもっとも遠い国への移動を通した心身の順応時間。
つづく
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