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【 ZINE REVIEW 】 COLLECTIVE エントリー ㊴ TRIOXIDANE 『#1』(東京都豊島区池袋)

今回 COLLECTIVE がきっかけとなって ZINE を作ってくれたり、今までの作品をまとめるきっかけにしてくれたり、僕らのアクションに対して、リアクションをくれる人たちの存在がとてもうれしいです。友人に少し長い手紙を送るような感覚で、旅の日記をつけるみたいな感覚で、子どもの成長の記録をつけるような感覚でもいいかと思います。ZINE って本当に気軽に向き合っていいと思うので、もっともっと世の中の人たちが表現を自由に楽しんだり、あたりまえのことをあたりまえと思わずちゃんと発信したり、それは SNS の中だけで偉そうにするのではなく、もっと外へ外へ、フィジカルに自分のまわりで起こっているものごとを気軽に表現できるようになると、世界はもう少しだけ楽しくなるような気がしています。別に話すのが下手だって、文章が下手だって、なんだっていいんです。アーティストである必要はないのです。その人なりのやりかたで、素直に、表現されたものが世の中にもっとたくさんあるといいなあと思っています。紙で印刷することがとても大事なんだと気づく瞬間があるかと思います。

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超音速ジェット中におけるマイクロ波分光法によって検出される

今回紹介する TRIOXIDANE の ZINE も、いや、この謎のユニットTRIOXIDANE(トリオキシダン)自体が、この COLLECTIVE のために結成されたチームなんです。この、“三酸化水素“= “TRIOXIDANE” という言葉、ネットで調べても調べてもよくわからず、雲をつかむような感覚だ。「トリオキシダンは超音速ジェット中におけるマイクロ波分光法によって検出される」らしい。いや、別に難解なタイトルの ZINE があったっていい(ぺこぱ)。

原理主義的なパンクムーブメントから派生したアートワーク系 ZINE というようなザラッとした荒々しい肌触りの残る作りの1冊。この質感の ZINE が今回少なかったので、うれしい。印象的なのはその1枚1枚の写真の力強さ。誰かが残したメッセージというか、誰かの記憶の中に入っていくかのようなトリップ感のあるアートワークが並ぶ。最後のページに1枚の CDR がついていて、そこには、TRIOXIDANE のふたりが作成したと思われる30分強のアプストラクトな音楽が。ますます難解。いや、別にわかりやすくなくたっていい(ぺこぱ)。ちょうどこの音楽の感じ、どこかで聞いたことあるなって思ったら、余命半年を宣告された時に入った MRI の中の音に似てる。科学の力と、人間の「生きようとする力」がぶつかりあって摩擦を起こしているような、音。

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このコロナ禍で、「生きなくてはいけない」という事実を痛感させられたぼくらのサウンドオブミュージック。音楽を聴き終えて、もう一度ページをめくってみると、なんだか少し走馬灯のよう。死んでたまるか。誰かの記憶の中に入っていくかのようなトリップ感は、誰かの祈りの軌跡をみた時のようだった。たとえば隠れキリシタンが長年にわたって神社の裏に隠していたマリア像をみつけた時みたいな感じ。とか。僧侶が寝ずに山を登る、みたいな。やさしさと哀しみと、愛と、二律背反。

捉え方は各自、自由なんだなと改めて思わせる。夏の超音速ジェットに乗っかって、ビールの泡が脳内に作り出すマイクロ波を ZINE に乱反射させたとき、TRIOXIDANE の正体が見えてくるかも。HOOOH!


レビュー by 加藤 淳也(PARK GALLERY)


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作家名:TRIOXIDANE(東京都豊島区池袋)
TRIOXIDANEは「Collective」のために結成された特別チームです。
超音速ジェットのマイクロハ分光法によって実験的に観察されました。酸素-酸素-酸素-水素二面角は81.8°です。
https://instagram.com/trioxidane
【 街の魅力 】
たまにカメが道を歩いていることがある、高台
【 街のオススメ 】
① 西武デパートの屋上の空中庭園 ... 植物と魚に会えます。
https://www.sogo-seibu.jp/ikebukuro/roof_garden

② ミカド劇場 ... 東京都で一番古いストリップクラブです。
http://www.mikadogekijyo.com




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