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「モアザンワーズ」好きっていうよりいとしい

アマプラでオリジナル作品として9月16日配信開始された「モアザンワーズ」、全く基礎知識なしに、たまたま今日はこれだ!と言わんばかりにアマプラが推してきたので、クリックして観始めたら、これ、めちゃくちゃよかったですー。
何とも言えない間合い、曲、これがエモさなのか⁈
ここ最近韓ドラばっかり見て、もう観たいのがないのに惰性で観ていたら、何だかつまらんドラマに長い時間を費やしていることに虚しさを感じていたのだけれど、やっぱり日本のドラマや映画には独特の感性で私の琴線といいますか、心の奥底にある何かにそっと触れてくるものがあるんです。

この作品、絵津鼓さんのコミックが原作で、「モアザンワーズ」と「IN THE APARTMENT」の2作の話を一つにして、10話構成になっています。

同じ高校に通う、親友だった美枝子(藤野涼子氏)と槙雄(青木柚氏)。一緒に始めたバイト先で大学生・永慈(中川大輔氏)と出会い、3人はつるむようになる。ある日、永慈が槙雄のことが好きだと言い出し、2人は結ばれることに。
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京都を舞台に美枝子と槙雄が高校生のときから始まって、バイト先で知り合った永慈との3人の青春物語なんですが、何気ない会話、軽い感じで交わされる関西弁が心地よく、ワンシーン、ワンカットで撮られたらしく、結構ワンカットが長くて、その空白を埋めるのは役者に任されているのか、アドリブの普通の会話が続くような場面が結構あって、ドキュメントを観ているようでもあり、その人の素が出ているようなちょっとした緊張感もあって、観ている側にとっても不思議な感覚になります。

最初は美枝子のDVの話から、永慈が槙雄を好きになり、BL色が強くなって、BL免疫があまりない私にはどきどきする場面もあったのですが、永慈役の中川大輔さん、メンズノンノ出身で「仮面ライダーゼロワン」「ボイスⅡ」にも出ていたそうなんですけど、あんまり印象に残ってなくて、初めてよくよく見まして、男性を好きな男性の独特の雰囲気を自然にまとっていて、まだカミングアウトする前からそうだと思わせる柔らかいしぐさや表情をよく表現されてるなと思いました。全く嫌味なく、むしろ私もドラマの中に入って友達になりたいくらい、、、って誰目線や(^^;
実際もう中川大輔さんのファンになりました。

とにかく出ている俳優がいい。
めちゃくちゃメジャーじゃないけど、いい具合に実力派の若手俳優たち。
「ソロモンの偽証」、朝ドラ「ひよっこ」にも出ていた藤野涼子。
最初は誰か分からず検索して、えっと思った青木柚、朝ドラ「カムカムエヴリバディ」でひなたの弟役だった子です。こんなに演技うまかったん?全然別人なんやけどー(;'∀')
捉えどころのないねこのような槇雄を、もう槇雄でしかないその人を演じている。
永慈役の中川大輔さんは、さきに熱弁したとおり。
美枝子の母役のともさかりえ、永慈の父役の佐々木蔵之介、特別出演の大森南朋、上白石萌歌、斎藤工までちょこっとの出演でもめちゃくちゃ存在を示してくる。どの俳優も派手なことはないのに、若い俳優たちをがっつり支えております。

8話目「IN THE APARTMENT」のターンから、本格的なドラマに初出演ということで予告されてたEXITの兼近が登場。
そんなにうまくはないんだけれど、お笑い臭は全くなく、繊細な心情がちゃんと伝わり、おじいさんとのシーンでは、涙がこぼれてしまいました。
このシーンは、このドラマの中でもベストシーンに入るくらいに本当によかったです。

俳優たちの演技のうまさに圧倒され、エモさに心躍り、じわーっと広がる感動、、、心の中を揺さぶるんじゃなくて、細かくなでて振動させられる、そんな感じ?
全てが繊細なんですよ。

同性愛がテーマになっているから、感じ方は人それぞれだと思うし、私自身もこれまではちょっと苦手な部分ではあったのだけれど、観終えた今は、女とか男とか、好きとか、そんなんはもうどうでもいいんです。

好きっていうよりいとしい

兼近のセリフでしたが、おもいやりや慈しみ、ただただかわいいと思う気持ち、赤ちゃんを見て最初に感じる優しい気持ち、全ての人が愛を持って接することができれば、いじめや戦争がなくなって、世界は平和なのにね。

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