【超音波でがん細胞にアタック】キャビテーションでがん細胞を破壊するぞ

がん治療も最近は大分進んできたように見受けられて、がんサバイバーというワードを何度も見かけるようになった。
有効な治療法が増えてきたというのもあるだろうし、ここまで培ってきたデータが、新たな治験になって少しずついい方向に進んでいるんだろうと思う。

20年ほど前にがん治療の名医の話を聞いたことがあって、その医師は外科治療の人なのだけれど、切り取った部位の血管に残った血を絞り出してしまうのだという。それこそ、指で血管を潰すように溜まっている血を出してしまうんだとか。おかげで転移が無かったらしいというけれど、人聞きだから信憑性は不明だが、説得力ありそうな話には聞こえた。


アメリカ、ミシガン大学工学部の研究で肝臓がんを患ったラットが、非侵襲的な治療法の有効性を実証した。焦点式超音波を用いて、肝臓腫瘍の体積の75%を破壊することに成功した。この治療法はラットの免疫系を刺激して、残りの部分を除去することも可能であるとのこと。

ヒストトリプシーと呼ばれるこの治療法は超音波を非侵襲的に収束させ、標的組織を破壊する方法。
「ヒストトリプシーは現在利用可能なアブレーション/モダリティの限界を克服し、安全で効果的な非侵襲敵艦腫瘍アブレーションを実現できる選択肢です」とミシガン大学のバイオメディカルエンジニアは語る。

現在、この治療法で肝臓がんの人で使用されている。

この仕組みは、減量治療で脂肪細胞を非侵襲的に分解するのに用いられる方法と同じで超音波によるキャビテーションである。キャビテーションとは、液体の流れの中で圧力差により短時間に泡の発生と消滅が起きる物理現象。

超音波を治療部位に照射し、その振動でターゲットとなる組織内に小さな気泡を発生させる。気泡が崩壊すると、組織が破壊され腫瘍の一部が破壊される。

腫瘍全体をターゲットにできなくて、部分的な治療しかできない。ただし、治療を受けたラットの81%は退縮が見られたと研究者は述べている。比較対象として何もしていなかったラットは腫瘍の進行が見られた。

治療を受けたラットは11匹中9匹のラットの腫瘍が退縮を示し、その後の10週間も無腫瘍生存が確認された。

完全な消滅ができないにしても、延命手段としてはかなり有効なのでは。しかも放射線治療のように被曝のリスクがないので、どのタイミングでも何度でもうけることができる。

切開手術もないから、その日のうちに帰ることもできそう。いずれは主流の治療法になるかな。


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