【人工骨頭にこの素材を】人骨に近い金属材料を開発してるぞ

人工骨頭を使っている高齢者の方に何度か会っているのだけれど、だいたいは転倒して大腿骨を折ってしまって、外科手術で入れ替えている。

大腿骨が股関節に収まっている部分は股関節の可動域を大きくしている代わりに、細い部分でもある。だから、ここにはたくさんの筋肉がくっついているわけで、それでも骨がもろくなるとやっぱり折れやすい。

人工骨頭をどのように置換するのかというと折れた寛骨臼をとりかえて、人工骨頭を削った大腿骨の穴に差し込んでいく。これで、ある程度リハビリすれば日常生活に戻れるのだけれど、たまに差し込んだ部分が金属やセラミックの人工骨頭の硬さ故にじわじわと大きくなっていく。

人工骨頭、いわゆるインプラントは骨とは材質が違うから、生体骨と強度もちがうので、力学的特性も大きく変わっている。インプラントが硬いから、柔らかい骨が萎縮して骨密度の低下や骨折のリスクが高くなるわけ。


東北大学、日本原子力研究開発機構、J-PARK、チェコ科学アカデミーの共同研究により、骨との高い力学的親和性と耐摩耗性を両立させた生体用金属材料を開発。

低いヤング率、高い耐食性と耐摩耗性に超弾性特性をそろえた生体材料は人工関節、ボーンプレート、脊髄固定器具などなどの応用が期待されている。

ヤング率とは材料を引っ張ったり、圧縮させた時に弾性変形した際、ひずみに対する応力に比のこと。つまり、何らかの力が加わった時、それに応じる力の程度。さらにいえば、力が加わった時に接合している他の物質に受け流せられたら、ヤング率は低い。セラミックや金属は引っ張り、圧縮に対してがっつり応じる特性があるので、接合している柔らかい骨には周囲まで力が流せず、接合部当たりで負担が大きくなる。みたいな。

つまり、骨のような生体部品に近いヤング率で作ったインプラントならば、骨萎縮を軽減できて、骨密度の低下や骨折リスクを減らしていけると言うこと。骨とかなり親和性の高い素材をもちいて骨折リスクがへれば、日常生活にも不安が減っていくだろう。

骨に近い素材が作れたので、これからはボーンプレート、歯科インプラントなどの応用も考えられるとのこと。素材が違うとやっぱり違和感あるんだろうなぁ。

でも、これができたのなら、骨延長手術でこの素材をあてがうなんてことも出来るかな。自分の足を長くして身長を伸ばすなんて。しかし、あれは相当痛いらしい。あと、高い。1000万くらいかかるそうな。


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