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ねぇ、ミルクチョコレート

あ、まただ。 もらったピンクのマドレーヌを笑顔で受け取って、明るくありがとうと言った。 いつもそう。お菓子。 常識的な現代人は何かのちょっとしたお礼とか手土産に甘いお菓子を選択するらしく、そんな常識人からもらった甘い甘いお菓子たちは私の部屋にどんどん大きな山脈を築く。 このマドレーヌも山々の一部となりそうだ。 私に渡してもどうせ誰も食べないのに。もったいない。 手の中のマドレーヌがなんだか寂しそうにこっちを見てる気がして申し訳なくなった。 うんざりだ。 甘いものは嫌い。

    • 恋しい日々

      拝啓  遠くの暑い暑い街にいるあなたはお元気ですか? 今日も自転車こいで電車に揺られて、あの素敵な笑顔で生活してるのかな? 今は7月30日、午後21時3分。今日はお休みだったので友達と素敵な池のある公園に行ってきました。 いつだったか2人であの池のボートのカップル達を馬鹿にしたけれど、乗ってみると案外楽しかったよ。 いつかもっと涼しい季節に2人で乗りたいな。あなたはひどく嫌がるだろうけど。 そういえば、ぶらぶら散歩しながら1人の友達がおもしろいことを言っていました。人はどれ

      • 忘れちゃってもいいよ

        忙しくなって、また友達ともたくさん会うようになったら、忘れちゃってもいいよ。 画面越しの彼はすこし不安そうにそう言った。 もちろん彼のことは忘れるわけがない。 というのも、そもそも彼は忘れられるのは似合わない。 あのカラフルなシャツ、変な趣味、カレーは2回もお代わりするし、私の家の鏡は割るし、低賃金で働かせるし、たくさんの置き土産を残していくし。 少しは立場をわきまえてから「忘れてもいい」など言って欲しいものだ。 それとも忘れるわけがない前提のユーモアか? 最も、彼を忘

        • ぬれない傘

          最近は雨ばかりだ。 私の家には傘が全然ないんだよなぁ。困るなぁ。 そんなことを思っていたら、一つ、高校からずっと持っている傘があることを思い出した。 すっかり部屋のインテリアになっていて、傘であることを忘れていた。 その傘は雨の日も晴れの日も傘として使われることはほとんどない。 部屋の中で久しぶりに開いた。やっぱりかわいい。 くるくる回しながら傘の模様を見てるうちに高校時代のある日を思い出した。 この傘は高2のときに母からもらった。 取手がパンダの顔でかわいい傘。 明るい紫

        ねぇ、ミルクチョコレート

          ちょっと思い出しただけだけど、忘れたくない君のゔぅ 

          返事の時のゔ? 振り返った顔、ちょっとえがお せなか 朝もちゃんとスキンケアしてる ヨーグルト毎回半分くれない 布団からちょっとはみ出してこっち見てる 照明暗くしてる 上裸はサービスタイム お腹の水路の定期検診 心臓の位置確認 その傷跡、戦場行ってきた? トイレ行く時の言い方 トイレ行きたくて切羽詰まってると手触っても抵抗しない おならききたがるけど、本当にするとやばっ!ってゆう lemonadeすぐ何回も聞いてくれてた さっきの話にちょっとはまってお風呂で流してた 君の顔が

          ちょっと思い出しただけだけど、忘れたくない君のゔぅ 

          exハニー

          ヨーグルトを食べるのよ。 彼女は遠くを見ながら僕にそう言った。 月が明るい夜だった。月明かりは舞い散る桜を美しく強調していたが、四月の夜はまだ寒くて僕は雪が降ってるみたいだなんて思いながら彼女の隣をゆっくりと歩いていた。 そんな美しい景色を気にも止めない様子で、彼女は丁寧に彼のことを話した。 ヨーグルトを食べるの。彼の真似っこよ。 お風呂あがりに照明を落とした部屋で。 3個か4個で100円くらいのかわいいやつ。 それを毎日一つずつ食べるの。 片手にはハーブティーがいいわね

          exハニー

          少女と衝動

          ある少年に出会った。 成人した男を単に少年と表現するのは少し憚られるが、彼は紛れもなく少年だった。 一見しただけで長年鍛えてきたのがわかるゴツゴツした背格好に、不器用で優しい眼差しを燃やす男だった。 そしてそのある種過剰な不器用さがその男を少年と表すにふさわしい初々しさを与えていた。 少女は彼を食べたいと思った。 その少年を食って食って、貪り食ってメチャクチャにしてやりたい。そう思った。 性的な意味で獲って食ってやろうと言ってるのではない(それはそれで楽しいかもしれないが)

          少女と衝動