アルバイトから得た教訓

 大学生の頃、居酒屋でアルバイトをしていた。

 ある日店長(40代)から急にグループLINEで「誰か○日、シフトに入れない?」と連絡が来た。私は入れそうになかったので、既読スルーをした。他の人たちも入れなかったのだろう、その連絡に誰も返信をしなかった。
すると、しばらくしてまた店長からメッセージが来た。
「既読がついているなら、入れるかどうかの返事をしてくれ」
「久々に不快なんですけど」
 明らかに怒っている。すぐにグループのアルバイトたちから「すみません、入れません。」と次々に返信がくる。
「入れる人だけ返信するんじゃないのかよ」「不快なのはこっちだ」と思いながら私も返信した。
 しかし、既読の人数と返信した人数が合わなかったからか次は、「既読無視をあぶり出したい」と送ってきた。
 狂っている。そんなことをして何の意味があるのだろうか。職場の雰囲気を悪化させ、自分の信用を落とすだけだろう。仕事のときにもイライラを表に出しており、キッチン台をグーで殴っている場面も見たことがある。ミスをしたり、能率が悪かったりすることにイライラする気持ちもわかるのだが、自分がスッキリしたいだけでこんなにも横暴な態度を取れるのかと驚いた。
 自分の立場が上のときは、不快の感情で下の立場のものをコントロールすることはやめようと誓った。というか、今でいうとハラスメントだ。

 年上の理不尽な態度を年下が飲み込まなきゃいけない場面は多くある。
私はそれが修行だと思って受け止めている。経験も知識もさまざまなスキルが足りていない未熟者だ。だから、指摘されたことに関して、少しでも非があれば謝るし、耐えるし、修正する。そして期限を設定して「いつかは解放される」といった心持ちで取り組む。その方が何かとうまくいく。
 居酒屋のアルバイトは、接客業で必要なコミュニケーション能力や臨機応変な対応力などを身につけることができる。さらに、たまに理不尽な行動が見られても、「どうせ卒業したら辞めるからな」と思いながら働いていた。すると、いつの間にか「レジリエンス(困難をしなやかに乗り越え回復する力)」も高まってきたように感じる。

 自分自身のレベルアップのためには、「飲み込む」ことも必要である。しかし、RPGの戦闘コマンドのように「にげる」の選択肢があればの話。無いと立ち直れなくなっちゃうからね。

 20代のうちは、「とりあえず飲み込んで、消化できない分は吐き出す。吐き出すものが多かったら逃げる」という戦略で社会に立ち向かっていこう。

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