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剣の軌跡

太宰治という作家が、焼け野原の中、様々な芸術に没頭していた頃、僕は生まれていなかった。仮面と道化は、よく文学部の論文で繰り返して引用される。彼は、芥川龍之介に憧れて、戦後すぐに25歳で、「天才」扱いされた。三島由紀夫が、24歳の11月24日から「仮面の告白」という自伝を描きはじめる。その瞬間に、太宰治の影は消えていき、今となれば「桜桃忌」だけが残っている。三島由紀夫の「憂国」は、現代の女性の憧れとなり、いつまでも消え去りはしない。女性は、古墳をみることに永遠の価値を見いだす。

それを信念に、「解釈」を踏まえてから論を「詩」の形で描いてみようと再構築を試みる。その為には、結末を最初に持ってくる必要があった。なお、私は、文学をかけるほどの自信がないので、世の中では誰にも知られていない詩人と再評価をされたい。

詩は、リズムで作られる。
雨の中の詩人のように、霧が隠れてパッと光が現れるような居心地で、文章を繋いでいく。どこまでも走る金木犀の香りが、ジグザグにうねる僕を狂わせた。「金閣寺」では、たばこを吸った少年の面影が見える。それは、何かを燃やした後の、一服だった。その心に邪念が飛び交っていたが、犯罪を芸術に変える試みは高く評価されるのだろう。紙一重の叡智とでも言える。刹那、黒い服を着た男の姿が、香港の神によって浄化される。性善説を信じて、生まれた母親の面影が薄れる中、悪魔の形相で命を繋いだメフィストとは?という問いに、そういった瞬間に、位相は忽ち、崩れだした。本という知識の霹靂は、途端に情緒を失った人のように、ザッと夢を裂いた。そこにあるのは、思い出しかなかった。太宰治の「思ひ出」は、女性に久遠の時を刻む。戦争は、いつも人をおかしくさせる。母性に集約される心に歌は存在しない。聞きたるは、自分という「在」が、驚きを隠せず混乱していく。その中に苦しみや悲しみは、強く残る。かのような感覚は、現在も進行して男のロマンに走る。その人は、勇者だった。勇者は、悪と対峙して、まるでメロディーを奏でる天の声のように、ザザッと獣を切り裂く。誰かが飛行距離で合図を出した。悩める夢は、過去に変わり、後に残るのは浄化のみ。勇者は、真っ直ぐに走っていく。型を覚え始めた少年のように。一気に物事は飛躍する。トドメを刺しに出かけた「奔馬」には、秩序が不安定だったことが集約されている。母性は、高く遠くから、それを撃ち抜きにかかる。忘れな草は、記憶だった。女性には、色んな位置付けがあり、誰からも好かれたい八方美人もいれば、乙女のような心を持った気高き志もあろう。そんな十字路の中心、つまり十字架の真ん中に存在しうるのを母性と叫ぶ。心臓は、時の恋であった。誕生を祝う女性に、そっぽを向いた兵士は、アンチテーゼを問いた。女性の男性への憧れは、夢に向かって進んでいる風のようだ。それには、若さの作用はあれど、殆どが努力によって進行する。将棋の桂馬のような面白みは、一瞬で作られた礎に過ぎず。舞は、綺麗な形で「表現」を示していた。果たして、「在」という問いに答えられるか?と悪魔は問う。自分が生きている証には、幻に憧れ、幻に去る。そして、もっと単純で、もっと複雑な現象を一瞬だけ人は、未来にみる。この瞬間の0と1の関係性が崩れたときに、自身の未来は途絶える。人は、成長をするような媒体を階層的に持っているのだった。歳をとってからの、好きすかれは若い頃に作られる。傍観者は問うだろう。しかし、そういう問いは、「人間の老化」について語れぬ。20才で産んだ子どもが、女性が40歳になった時に、娘は20才になっているのか?と。その結果は、定義があまりに曖昧すぎて理由にならない。従って、老化の意味を知る。もし人が、もしも自分がそういう立場であれば、自己を肯定できるのか?それ故に、人は花や草木になりたいと時のスパンを広げて、心理に映し出す。これが、美しさを表す指標となる。一方、黄金比はというと、それはたった今、観ている景色と重ね合わせた刻々としたる反応であった。いつまでも、美しくと伸びる影は、実存主義のフランツ・カフカの小説のように、ぷかぷかと浮いている感覚、つまり古典的な姿に憧れた男女の追憶であった。未来に憧れた男をロマンチックに見えて、古風な感じの女が愛する過去とは、その遺伝子を掴みたいと願う永遠のテーマへと形を変えていく。

何かに困っている女性が教えてくれた愛の歌は儚く、その脆くさい脈絡に目掛けて、勇者は走る。そして、無性に裂けた「夢」を導くかのように、男女はぴったりと抱き合った。その瞬間は、短くも長くもあり、コインをパッと投げた男が、白黒をつけられぬ「短い時間」に観た複雑な裏表の描写であった。それを恋といい、白黒がつけられて語られる「長い時間」を愛だと人は、涙を流してバトンを繋ぐのだろう。
ーー雨は、美しさに泣いた


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