苦：今回は、毛沢東です。中国共産党の指導者で1949年に中華人民共和国を樹立しました。
　微：そうだな、2022年は人工雪で盛り上がった北京オリンピックの年だったしな。
　苦：また嫌みなことを。
　微：オレはスノーボードのジャンプ台が人工雪で盛り上がったと言っただけだぞ。
　苦：あの雪の下に何が埋められていたのかが、気になりましたが。
　微：あざとくウイグルの選手まで開会式に呼んで。香港では盛り上がってなかったけど、なぜ？
　苦：ボケにも限度があります。香港は民主化の最先端から弾圧の最先端、国家安全維持法で皆さん黙ってるんです。まあ、ロシアのウクライナ侵攻で世界の批判はそっちに向かってますが。
　微：あの冬の北京オリンピックは、香港・ウイグル・チベットからの強制労働で準備するんだろ？
　苦：悪口はそこまでにしときましょう。キミのLINEのログはすべて大連のサーヴァーに保管されているんですからね。恥ずかしいメールも、与太話も。
　微：いや、習近平国家主席は素晴らしいです。毛沢東同志と並ぶくらいに。
　苦：よほどヤバいネタ握られてるんですね。まず、「中共」という言葉から説明しますね。
　微：名古屋にあるスポーツだけの高校・大学だろ？
　苦：それは中京。中国共産党の略で、コミンテルンの指導のもと、1921年に陳独秀と李大釗らによって中国共産党が結成されます。
　微：ほいで1927年の上海クーデタで共産党内のコミンテルン派が壊滅して、農村で活動していた異端の毛沢東派が生き残るんだよな。それが現在の中国共産党の原点。
　苦：1949年に蔣介石が敗れて台湾に逃亡したんですが、日本とアメリカは台湾の中華民国を中国を代表する政府という姿勢を崩しませんでした。
　微：領土のほとんどは中国共産党というか中華人民共和国の統治下にあるのに？
　苦：中華人民共和国を認めず、「大陸側を中国共産党が支配しているだけ」「中華民国が正統な政府」と主張したい人々が意図的に使ったのが「中共」だったんです。ですから「死語」なんです。
　微：今の中国外務省の強気の発言も「私語」の域だな。
　苦：まあ、あそこまで堂々と言えたら凄いですけどね。話をもっと戻すと1924年に「連ソ・容共・扶助工農」のスローガンの下、第１次国共合作が実現します。
　微：それって、洗剤の「塩素強力混ぜるな危険」じゃなかった？
　苦：それは最近の日本の自殺ネタだろが！　国民党と共産党が対等に提携した1937年の第２次国共合作とは違い、中国革命の主役は国民党を率いる孫文であることを確認したんです。
　苦：孫文の「中国革命の主役は私だ」という自負をコミンテルンも認めましたました。そのため、国民党に共産党員が個人の資格で入党する形式を第１次国共合作は採りました。
　微：日本の閣僚も靖国神社参拝を「個人として」とはっきり言えばいいのにな。
　苦：個人として参拝したら意味が無いだろ、遺族票が欲しいのに。1925年に孫文が死去し、宋家関係で義弟でもあった蒋介石が後継者の地位を確立します。
　微：孫文がリンリン、蔣介石がランランだったな。
　苦：宋慶齢と宋美齢だよ!!　1926年に蔣介石は第１次北伐を開始します。しかし、都市部での共産党の躍進を見た蒋は共産党を怖れました。その組織力と地下工作の手腕を見てです。
　微：まあ、戦う前に決着がついていた例もあったしな。五・三〇事件でもそのパワーはわかってた。
　苦：イギリス・アメリカも蒋介石へ共産党潰しを指示します遂に1927年4月12日、蒋介石は背後から都市部に集中動員されていた共産党員を一斉に弾圧します。要するに逮捕即処刑です。
　微：注文から30分以内に処刑しなければ、料金は要りません、ってアピールしたんだよな。
　苦：それは宅配ピザだろが！　この上海クーデタで中国共産党は壊滅的な被害を受けます。しかし、コミンテルンに従わない反主流派は江西省で健在でした。
　微：厚生省ならボーっとしてたら、まず判別できないもんな。
　苦：菅直人ぶち込むんかよ!!　毛沢東は井崗山を拠点に農村に地主を追放した解放区を拡大していきます。そして1931年に瑞金を首都とする中華ソヴィエト共和国臨時政府樹立を宣言します。
　微：1991年のソ連の保守派による８月クーデタみたいなもんか？
　苦：全然違うよ！　共産党殲滅に執念を燃やす蒋介石はアメリカの援助で入手した戦車・戦闘機・爆撃機を使って執拗に共産党を攻撃します。つまり国共内戦です。
　微：内線だと通話料金かからないからね。
　苦：文字にしないとわからないボケはもういいよ！　毛沢東は瑞金をあきらめ、陝西省延安を目指します。1934年から1936年まで全長12,500kmを足かけ３年かけて踏破した長征です。
　微：それに「猿岩石」が同行していたよな。
　苦：それは香港からロンドンへのヒッチハイクだし、誰も覚えてねえよ。蒋介石は日本の侵略を蚊くらいに考えていましたが、共産党は内部から食い荒らす寄生虫のように危険視したわけです。
　微：満州から南下してきた関東軍を放置してな。昭和なら「志村、うしろ、うしろぉー！」って客席の子どもでも叫ぶぞ。
　苦：長征中も、毛沢東には有能な右腕がついていました。
　微：使えない右腕がもう一本生えていたそうです。
　苦：興福寺の阿修羅像かよ!!　後に中華人民共和国初代首相となる・・・
　微：周富徳だろ、中華料理の。脱税発覚後、テレビで見ないけど。
　苦：周恩来だろ！　1934～36年の長征中に毛沢東は共産党の指導権を確立します。本来上司だった周恩来は生き延びるためにNo.2の道を進みます。
　微：日本でのイメージは良いけど、中国ではあまり良くないよな。「遺体は灰にして撒いてくれ」って死体を鞭打たれることを怖れていたくらいだし。
　苦：1936年に共産党は陝西省の延安に到着し、そこを根拠に勢力を回復していきます。
　微：「集まれ！動物の森」を参考にしたそうです。
　苦：時間軸狂ってます。共産党員も加入と内部結婚で子どももできてどんどん増えていきます。
　微：ネズミ講かよ。
　苦：そして1936年12月の張学良による西安事件です。拉致した蒋介石に国共内戦停止と統一抗日戦線結成を訴えました。
　微：これも双方のボス根性が出ているよな。東北軍閥存続を条件に張学良に延安攻撃を命令し、方や事件解決に周恩来と宋慶齢を派遣して自分は動かない。
　苦：まあ、周恩来の方が蔣介石も話ができたでしょうし、実際、解放されてますから。
　微：プーチンなら話し合いなんてしないな。
　苦：そして1937年の周恩来会談を経て日中戦争で第２次国共合作が実現します。まあ、共産党側は党勢拡大メインでほとんど戦ってません。
　微：田中訪中の時のエピソードだな。「日本軍のおかげで共産党は拡大できました」ってやつ。
　苦：補給を軽視した日本軍は1945年８月にポツダム宣言を受諾、中華民国は戦勝国となります。南京虐殺事件や石井四郎率いる七三一部隊の生体人体実験やら、道徳的にも負けてましたが。
　微：でも今は中華人民共和国の方が凌駕してるな。
　苦：問題は満洲から朝鮮北部です。満洲重工業や朝鮮窒素などヤバい工場が残ってました。
　微：まあ、戦後に本土に撤退して水俣病を起こしながら知らん顔した「チッソ」の前身だしな。
　苦：1945年にソ連軍が満州を攻撃して来た時、関東軍と満鉄関係者は先に逃亡していました。
　微：『大地の子』の背景だな。
　苦：満蒙開拓団の民間人は日本に逃げ帰りましたが、多数の中国残留孤児の悲劇が生まれました。
　微：私も大学で同級生たちが先に卒業し、一人取り残されました。
　苦：それは純粋な意味で自己責任です。1946～49年の国共内戦に勝利した共産党は1949年10月１日に中華人民共和国の成立を宣言します。
　微：人海戦術が毛沢東の戦術だからな。
　苦：ソ連は同年にしぶしぶ中華人民共和国を承認します。
　微：スターリンは毛沢東を無視していたもんな。
　苦：1950年の両者の会談が勝負でした。毛沢東は積年の不信感を抱きながら交渉します。
　微：でも国家承認してくれて中ソ友好同盟相互援助条約を結んで支援してくれたわけだろ。
　苦：毛沢東は、「中華人民共和国もソ連に加盟する」と言ったとか。
　微：ユーラシア大陸規模での「軒を課して母屋を取られる」だな。
　苦：そうです。人口的にも中国語話者が圧倒的多数派になりますからスターリンからしたらたまったもんじゃありません。「中国はソ連に加盟しない」確約なんです。
　微：それで色んな援助も取り付けたと。
　苦：1950年が分岐点でした。朝鮮戦争が始まり、スターリンは朝鮮戦争支援を毛沢東に命じます。ソ連は東欧に専念する、そしてコミンテルンの理想を託すという名目です。
　微：それで国連軍という名のアメリカ軍に押し込まれた終盤に人民解放軍が義勇軍として参加し、今でも天安門に世界革命万歳の横断幕があるのか。
　苦：第三次世界大戦を避けるためでもありましたが、これが毛沢東に急進的な社会主義建設と原爆開発を決断させます。北朝鮮でもわかりますが、貧しい国が核開発をすると飢餓が発生します。
　微：それを避けたいんならソ連にケンカを売るなよな。
　苦：ホットドッグ食べて「平和共存」を言うフルシチョフが許せなかったんでしょう。
　微：平和共存は周恩来が1954年にネルーとの会談で言ってなかったか？
　苦：第三世界の国相手に言うのとでは次元が違います。まあ、先進国ではイギリス以外から中華人民共和国は無視され続けました。1972年のニクソン訪中と日中共同声明まで。
　微：お前に無視されるから、そのつらさ、よくわかるよ。
　苦：日中国交が回復した時、周恩来は「中国人民も日本国民もファシズムの被害者である」というアクロバット論理で戦争被害を水に流しました。
　微：いやいや、やっぱり中国は大国だな。隠していましたが、私、実は毛沢東主義者です。
　苦：本当かよ？　お前が『毛沢東語録』や『実践論』を読んでいるとこみたことないぞ。忘れ物するたびに教室にある他人の本をカリパチしているだけじゃねえかよ。
　微：はい、「何でも現地調達」が私の信条ですから。
　苦：意味が全然違うだよ！　お前は単に節操がないだけだろが。
　微：でも、所有権を否定するのが共産主義じゃねえのかよ。
　苦：それは土地などの経済的不平等を生み出す生産手段の話。盗むのは共産主義でもダメなの！
　微：ついでに告白すると、私はかつてスターリン主義者でした。
　苦：どういう意味だよ？　自分を守るために友人を売っているのは知っているけどな。
　微：高校入学から五カ年計画で大学入学を達成しました。
　苦：ただの二浪だよ！
　微：そして大学卒業までが第２次五カ年計画でした。
　苦：遊び呆けて留年しただけだろが！
　微：現在、就職に向けて第３次五カ年計画を発動したのですが、1979年にアフガニスタン介入でうやむやになりました。
　苦：それはソ連の話で、とっくにスターリンは死んでるよ！
　微：それはそうと、隠していましたが、私は実はマオイストです。
　苦：浅田真央のコアなファンなんです、なんて言うんじゃないだろな？
　微：ちがいます。小林麻央・麻耶姉妹のファンです。
　苦：半分予想できていたけどな。しかし、中国も1978年以降、「改革・開放」路線で猛烈な速度で経済規模が膨張し、今や中国抜きの世界経済は考えられません。
　微：21世紀、200近い国・地域の貿易相手国第1位が中国という現実。
　苦：昔から華僑や華人が海外で活躍してましたが、国民全員が今はもう、バリバリの金儲け一直線ですからね。世界各地にチャイナタウンできるし、ファーウェイは５G技術最先端だし。
　微：もう中国内なんてチャイナタウンだらけですから。そこまで来ています。
　苦：当たり前だよ!!　しかし、共産党も危険な綱渡りというか、何億人もの命を預かっていますから、ちょっとの舵取りが政権崩壊を招きます。
　微：そうだよな。晩年の毛沢東の政治運営って、飲酒運転同然だったよな。わざとぶつけているとしか思えないような事故ばっかり。
　苦：第２次五カ年計画とか、文化大革命とか見てると、そうとしか思えませんね。
　微：今の日本なら危険運転致死罪適用で懲役100万年判決出ても誰も納得するな。
　苦：中国の人口問題も、増えすぎから今は少子高齢化が深刻です。
　微：10年間隔で何千万人の人間を処分してきたツケだな。
　苦：しかし、農村部を中心に水面下に隠れた人口が何億人いるか。
　微：それより人身売買で外国から売られてきた女性の問題だろ。
　苦：話を戻すと、1966年からの文化大革命で権力の座に復帰した毛沢東は1976年に死にます。
　微：中国人民が「もうたくとうではなくて毛沢山(もうたくさん)だ」って言ったらしいな。
　苦：ベタベタだよ。
　微：その波乱の生涯が社会主義市場経済の中国でボードゲームになりました。
　苦：本当かよ、おい？
　微：はい、その名も『毛沢東すごろく』です。
　苦：お前が振り出しに戻れよ！(パシッ！)