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#逆噴射小説大賞と#小牧幸助文学賞と#OnePhraseToStory活動を通した文字数における気付きと覚え書き。

逆噴射小説大賞が800字。
小牧幸助文学賞が20字。
普段のOnePhraseToStoryが2000字。

『#逆噴射小説大賞』の期間中、参加者さんたちのディスコードでは「圧縮」という単語がよく出ていた。調節ではなく、圧縮。私はまだ「圧縮」をしたことが無い。少なくとも、自覚上は。ふだん、2000字の縛りで書いているとき、もちろん、多少の「調節・削り」はある。言葉を少しだけ変えたりもする。だが、その程度だ。圧縮という感覚は無かった。

つい先日、『#小牧幸助文学賞』に参加した。

20字の文学賞。過去に54字の物語もやっていたし、俳句は17字。そんなに苦では無さそう。そう思った。しかし、20字は物語を作るには短過ぎた。冒頭800字の逆噴射と違って『終わらせる』必要がある。少なくとも私はそう考えた。しかし、すぐにキャッチフレーズのようになってしまう。マンションポエムみたいになってしまう。

最終的に、1つしか形に出来なかった。20字で唸っている自分をそのまま物語化することにした。「20じゃ足りない」とゴネる私に対して、「いいや、20だ」と突き放す主催者(※あくまでイメージです)。単位が無いから、身代金とかギャラ交渉にも見える。単位が無いのが逆にマフィアとか業界系の隠語っぽい。1本とか、厚めの札束=レンガみたいな。よしよし、これで行こう。

「20!?冗談じゃない、せめてひゃ」
僕はそこで電話を切った。

30文字

30字。1.5倍も書いてしまった。しかし、どこを削ればいいのか。台詞部分を削ってみれば良いか。あとは絵力が欲しいから、電話を切るより直接銃で脅そうか。

「20!?せめてひゃ」
僕は銃口で彼の口を塞いだ。

24文字

よしよし、あと4文字か。…4文字。どこを削れば?「僕」とか「彼」は削れない。2人いる様子が成立しなくなる。銃口で口を塞ぎたい。うーん。

「20!?」
僕は銃口でそっと口を塞いだ。

20文字

20文字。やっぱり「彼」は削っちゃまずい。あと、20が効力を失っている気がする。うーん。うーん。台詞を言う側を交換して、相手側の台詞は「抗議」の2文字に置き換えてしまおう。主人公に何て言わせようか。20は言わせたい。でもあまり長くは話せない。説得とか説教なんて始めたらすぐに40字になる。

僕は抗議する彼の耳もとで囁く。
「20だ」

20文字

耳もとで囁く、というのは色々な雰囲気を纏った言葉だ。エロティックな香りもするし、緊迫感もある気がする。台詞締めにしたことで死刑宣告みたいな絶望感みたいなのも出た気がする。耳もとだから対面で、かつ距離が近いという描写にもなっている。これで行こう。

ということで投稿した。タグを間違えていたので、多分埋もれてしまったのは、まぁ…仕方ない。11月中に気が付いて良かった。そして、ふと気が付いた。なるほど、これが『圧縮』か。

もし、20字で単独完結して面白い文を書けたら。
それを40個並べて、それらがモザイクアートとかペルシャ絨毯のように一体として美しい模様を浮かび上がらせることができたら。
それで800字の逆噴射だ。20字を100個並べられたら2000字。
自分が書いていたのは「800字の文」とか「2000字の文」でしかなかったのかもしれないと、何とも言えない気分で反省をする。54字の物語もやっていたのに、気がつかなかった。多分、54字でも圧縮作業はしていたのだけれど、今回ほど困ったことは無かったのだ。

逆噴射の猛者の人たちは、なるほど。こんなことをしているのかもしれない。1文20字程度でそれを40個、しかも相互に意味を連結させて…?オチまで持って行く…?気が遠くなる。800字が果てしない量に思える。

…がんばろう。

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