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「魅惑の心理」マガジンvol.54(防衛機制とは何か?)

受け入れがたい状況、危険な状況に直面すると、自分自身の心を守ろうとする無意識的な心の動きがあります。不安な気持ちを弱めようとしたり、置き換えたり、転化したりしながら心を安定した状態に保とうとします。それを防衛機制と呼びます。防衛機制には不健全なものが多いのですが、中には健全なものもあります。防衛機制を知ることは自分の心の弱さを知ることにもつながるのです。冷静に状況を分析して最善策を見つけるきっかけにもなりますし、自分の成長にも活かせます。また不健全なものから健全なものにスライドをするヒントにつながり、性格改善にもおおいに役立ちます。友人、家族、職場の人の防衛機制を知ることで、人間関係改善の方向性が見えます。防衛機制を知ることは人を知ることなのです。世の中に不安が蔓延する今だからこそ知りたい話でもあります。では今の世の中に当てはめながら、代表的な防衛機制を紹介していきましょう。

[目次]
・抑圧
・合理化
・投射
・置き換え
・昇華
・否認
・反動形成
・同一化
・退行
・摂取

○抑圧

自分の悪口を言われている現場に遭遇したとしたらどうしましょう。そんなときは聞かなかったことにして心の奥に閉じ込めることもあるでしょう。これは不快なものをなかったことにしようとする心の働きです。心の奥に感情を閉じ込めてしまう心理行動です。「抑圧」は防衛機制を代表するもののひとつ。自分の陰口などは表層で考えると辛いので、その辛い感情を深層に送ってしまうのです。「抑圧」は心を守る大事な機能でもあり、単に悪いとも言えません。辛い災害の記憶は無かったことにして立ち直ろうとします。個人差はありますが、多くの人に機能するものです。無かったことにして気にしなくなってしまい、最終的には忘れてしまいます。

今の状況でいうと「外出禁止」という話を聞くと辛いです。自分は自由に外に行きたい出て遊びたい。外出すると「自分の命が危険」「他人の命も危険にさらす」可能性がある。実際、自分の住んでいるエリアではクラスターが発生した。そんなことを考えると辛いので、悪いニュースを無かったことにしてしまいます。忘れて過ごそうとします。現状を変えたくないので、リスクを小さく見積もる訳でもなく、不快な情報そのものを深層心理の奥に送ってしまいます。抑圧はこのような防衛機制です。

その他、様々な防衛機制を説明していきましょう。

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