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なぜ臨床に哲学が必要なのか?

日々,臨床に携わっていると,答えが出せない場面にも出会うと思います。
「近い将来の死が避けられない状態の人へどうケアするか?」
「人工透析を継続するか中止するか?」
「施設入所か?在宅復帰か?」
etc・・・

おそらく,多くの人たちが悩む問題かと思います。
まさしく哲学はそうした問題に対して大きな力となります。

つまり,臨床における哲学の実践の一つは,
『意思決定支援』です。

さて,哲学という言葉はよく聞きますが,そもそも学校で哲学を教わることはほとんどありません。それゆえ,何か深いことを言ってようなことが,哲学っぽいことになってしまうように思います。
まずは,哲学の誤解を解きましょう。

哲学は絶対の真理を探究する方法というより,認識の普遍性,つまり,誰もが納得できる共通理解を見出していく開かれた思考です。

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このことから,臨床における哲学の実践とは,答えの分からない問題に対して,絶対の真理や正解を探究することではなく,皆が納得できる共通理解として見出していくことになります。

答えが分からない時だからこそ,正解ではなく共通の理解が大切なのです。
そして,その共通理解が,支援者と支援を受ける人を守ることにもつながります。


守るとは,予期せぬ事態を回避するということです。
例えば,影響力の強い人の独断が,支援者も支援を受ける人も想定してないような悪い結末を迎えてしまうことがあるのです。
絶対の正解を知る神のような人間などいません。まして,特定の人間を独裁者にしてはいけないのです。

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臨床哲学の実践は,特定の人間を独裁者にすることを防ぐ効果もあります。

答えなき問題に関わる時,独断は何よりも危険なのです。


【臨床哲学のまとめ】
1)答えなき問題に対して共通理解を探ることができる。
2)共通理解によって,支援者と支援を受ける人を守ることができる。
3)特定の人の独断を防ぎ,リスク管理することができる。

【参考文献】
・苫野一徳(著):はじめての哲学的思考
・竹田青嗣(著):哲学ってなんだ-自分と社会を知る-

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