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【関東インカレ観戦ガイド】入門編〜1部2部? A標準B標準? 得点とは?〜

最終更新日:2023年5月9日

みなさんおはようございます、まつです。

今回は、関東インカレ(以下、関カレ)をより楽しむための特別企画として、関カレの基礎知識的な部分を徹底的に解説したいと思います。

駅伝のテレビ観戦から興味をもって、関カレの現地観戦に来る長距離種目ファンの方から、

「何で駒澤とか青学は強いのに2部なの?」

といった疑問の声がよく聞かれます。

関東インカレのルール周りのことを分かりやすくまとめたら、観戦初心者の方がより楽しめるのでは? と思い、今回の投稿をするに至りました。

この投稿では、
・関東インカレにおける「部」とは何か、どの大学がどの部に該当するか
・得点とは何か、どうすれば得点が入るのか
・参加標準記録とは? 1種目につき1大学から何名参加できるのか

といった点について解説していきます!

(※この投稿内の「1部」「2部」はあくまで男子の話ですので予めご了承願います。)

関東インカレの2部制とは?

まずは、駅伝から興味をもって初めて関カレを見に来る方がよく口にする「駒澤や青学はなぜ2部なのか?」の部分です。

ざっくりとした結論を言うと、

「短距離長距離、フィールド種目と満遍なく選手が揃っている大学のうち上位16校が1部、それ以外の大学が2部」

です。

2016年関東インカレ男子1部10000mより。16校の選手たちがスタートラインに並びます。

より詳しく説明すると、

1部:前年1部として出場した16校のうちの獲得得点が上位の14校と、前年2部として出場し、獲得得点で上位だった2校

2部:前年1部として出場した大学のうち、獲得得点が下位だった2校、及びそのほかの大学

これだけでは分かりづらいかと思いますので、2023年に男子1部として出場する大学を、2022年大会の得点の上位順に下記にまとめました。

===

日本大学(2022年1部総合優勝)
東洋大学
筑波大学
順天堂大学
日本体育大学
法政大学
早稲田大学
東海大学
中央大学
国士舘大学
明治大学
東京学芸大学
慶應大学
山梨学院大学
国際武道大学(2022年2部総合優勝)
大東文化大学(2022年2部総合2位)

===

2023年に1部で出場するのは、以上16大学です。

そして、2022年に1部として出場し、得点が下位だった駿河台大学と流通経済大学を含めた、1部以外のすべての大学が2部となります。


「1部の下位2校は翌年2部に降格し、2部の上位2校は翌年1部に昇格する」

この点については、ぜひ抑えていただきたいです。

1部上位校は優勝を、中位校は前年よりも上位を、下位校は1部残留を、また2部校は1部への昇格を、というように、各大学がそれぞれの目標に向かって競うのが関東インカレなのです。

陸上競技自体は個人種目ですが、チーム目標の達成を目指して、それぞれの大学が団結する姿を見られるのが、関東インカレの魅力だと思っています!

大学院生が出場する3部もありますが、1校あたりの参加人数が非常に少ないため2部の種目と一緒に競技が行われ、昇格・降格といったこともありません。

得点はどのようにつくのか? 

続いて、得点について解説します。
得点の計算方法は、1部2部ともに共通して下記のとおりです。

===
優勝:8点
2位:7点
3位:6点
4位:5点
5位:4点
6位:3点
7位:2点
8位:1点
===

とりあえず、「優勝したら8点入る」と覚えておけばいいかと思います。

8位に入れば1点入るので、短距離種目であれば決勝に残り、途中棄権せず走りきれば最低1点は入ります。

すべての種目でこのように得点が入るため、どの種目にも満遍なく力を入れている大学のほうが得点が取れます。

日本大学や順天堂大学などがその例で、この辺りの大学によって1部の優勝争いが繰り広げられます。

逆に、長距離種目がどれだけ強くても、長距離種目の得点だけで1部に昇格するのは難しいのが現状。
箱根強豪校の駒澤や青学が2部にいるのはそのためです。

ただし、駒澤大学は宇賀地強選手や髙林祐介選手が在籍していた頃、長距離種目の得点だけで1部に昇格したことがありますし、青山学院大学も1部に上がったことがあります。

なお、2022年に1部で総合2位となった東洋大学は93点を獲得しましたが、走幅跳の6点以外はすべてトラック種目での得点です。どんだけトラック強いんですか……。

1部残留争いも見どころの1つです。

2018年、最終日の5000m決勝で5点以上取らなければ2部降格決定という危機にあったのが、明治大学。
その5000mで、阿部弘輝選手が見事3位に入り6点を獲得したことで降格を免れた、ということがありました。

2018年関東インカレ男子1部5000mより。チームが危機的な状況の中、会心の走りでチームを救った阿部弘輝選手(明治大学(当時))。

なかなか得点まで追うことは難しいですが、1部校による残留争い、2部校による1部昇格争いに注目すると、また1つ楽しみが増えるかと思います!


1種目に出場できる選手は1大学3人まで

ここまで読んで、「長距離が強い大学は1種目に沢山の選手を出場させれば点数が稼げるのでは?」と思う方がいるかも知れません。
しかしながら、1種目に出場できる人数は1大学3人までと決まっています。

そして関カレには「標準記録」が設定されており、その標準記録を切っている選手しか参加できません。

更に標準記録には「A標準」と「B標準」があります。
例えば男子1部の5000mなら、「A標準=14分10秒00」「B標準=14分20秒00」といった設定になっています(※第102回大会の場合。標準記録は変更されることもあります)。

ここからが重要なのですが、1種目あたりA標準を切っている選手は最大3名まで出場することができますが、B標準の選手は1名しか出られません

前述の5000mの場合だと、14分15秒の選手、14分18秒の選手、14分20秒の選手、のような3名の組み合わせは出来ないのです。

2018年男子1部5000m決勝より。法政大学からは、坂東悠汰選手(A標準)と岡原仁志選手(B標準)の2名が出場(資格記録は2018年5月当時のもの)。

ただし仮にB標準の選手が3名出場できるルールだったとしても、B標準の選手が得点を獲得するのは非常に難しいのが現実ではあります。

ちなみに各種目で標準記録を突破していれば「1人が出られる種目数」には制限がないので、5000mと10000mといった掛け持ちも可能です。

短距離選手の中には100m、200m、4×100mR、4×400mRなどとリレー種目を含めて4種目も出場する選手もおり、そんな選手たちの頑張りも注目ポイントです。

近年の4日連続の日程では、かなりハードだと思いますけどね……。


まとめ


ここまで書いてきた中で重要な部分を改めて振り返ります。

短距離から長距離、フィールド種目と満遍なく選手が揃っている大学のうち上位16校が1部、それ以外の大学が2部

1部の下位2校は来年2部に降格し、2部の上位2校は来年1部に昇格する

・どの種目も優勝したら8点獲得できる

・1大学につき1種目に出場できる人数は最大3人

・1人が出られる種目数には制限はなく、標準を切っていれば何種目でも出場可能


こんなところでしょうか。
最後に補足しておくと、女子には女子の部が存在し、得点は男子の部とは別で集計が行われます。

私自身、今では関カレが本当に大好きなのですが、見に行き始めた最初2年くらいはルールを全然理解しておらず、今ほど楽しめていませんでした。

関カレを初めて見に行く方や、見に行ったことはあるけど分かっていなかった方たちにとって、少しでも参考になれば幸いです!

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!