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銀行とのコミュニケーションを円滑にする財務諸表の活用ガイド

こんにちは。ゆーがたです。

ぼくはSNSマーケティングと財務の分野で
中小企業向けに戦略的な支援を提供しています。
ありがたいことにこれまでに100社以上の企業様とお付き合いしてきました。

もう少し具体的に言うと、SNSを活用した顧客の中小企業様のプロモーションや顧客獲得戦略をお手伝いや、
財務面でも企業の持続可能な成長になりたいと思い、財務の分析、事業計画の策定、資金調達、経理の合理化、コスト削減等をお手伝いしています。

中小企業のビジネスが上手く回れば、その地域の経済やその地域に住む人たちを元気にすることができる。
ぼくは、自分が持っているノウハウや経験、人脈を生かして中小企業を支援し、経済や地域に貢献したいと考えています。

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ぼくの分身がとても喜びます。

さて、今回は財務諸表についてまとめてみました。
企業が資金調達する上で財務諸表は欠かせません。財務諸表が示す数字は(粉飾等がない前提で)事業の力を示すものであり、そこがスタートになるからです。
財務諸表の基礎的なポイントに加えて、銀行員の視点から見た財務諸表の読み方についても触れています。

中小企業の多くが資金調達として利用するのが銀行借入です。
銀行員がどのような視点であなたの会社を見るかを学ぶことで自社の財務諸表の作り方や見せ方が変わると思います。ぜひ、参考にしてください。

なお、中小企業の資金調達について全般的な内容を確認されたい方は過去の記事をご覧ください。

読んでほしい人
・中小企業の経営者および財務担当者
・自ら起業し借入を検討している方
・企業向けにコンサルティングをされている方

読む必要のない人
・財務について既に精通している人
・資金調達に関心のない人

では、本編へどうぞ


財務諸表の基本的な読み方

財務諸表には、企業の経済状況を確認するための大切な情報が詰まっています。しかし、専門的な知識がないと読み解くのは難しい。

今回の記事では、その基本的な読み方について理解を深めていきます。
財務諸表を読むことがより簡単にできるよう、具体的な解説を行っていきますので、ぜひご覧ください。

財務諸表とは何か

まずははじめに、財務諸表とはなんでしょうか。
会社の数字ということはわかると思いますが、もう一段踏み込んで説明するとなんでしょう。

答えは、企業の財政状態や経営成績を示すための報告書。
これらは、企業が公表する「決算書」や上場企業の場合は「有価証券報告書」などが含まれます。

具体的には、「損益計算書」や「貸借対照表」、「キャッシュフロー計算書」などが主なものです。

特に、投資や融資の際には、これらを解析しながら投資判断を下すことが一般的です。

企業の財務諸表をしっかり読解して、利益が上がっているか、負債は増えていないかといった点を把握しておけば、投資・融資の成功にとても役立ちます。ぜひ、覚えておいてください。

損益計算書の理解

では、損益計算書について解説します。
損益計算書は、企業が一定期間(通常は一会計年度)において発生した収益と費用をまとめ、最終的な損益を示す書類です。
よくPLと呼ばれるものです。

収益と費用から、大きく「営業利益」、「経常利益」、「当期純利益」の3つの利益を求めていきます。

それぞれ説明しますね。

営業利益は、企業の本業による収益と費用から計算され、企業の基本的な収益力を示します。この営業利益が黒字か赤字かがその企業の実力を図る上で大切です。

次に「経常利益」です。本業とは関係のない収益と費用、例えば投資した株式からの配当金や借入金の利息を営業利益から差し引きしたものが「経常利益」です。企業全体の収益力を示します。

さいごです。「当期純利益」は、経常利益から一時的な損益や損失を算入した後の純利益を示します。
これらを理解することで、企業の収益力や業績を読み解くことが可能になります。

貸借対照表の理解

貸借対照表(バランスシート)もまた、企業の財務諸表の一部であり、企業の財政状態を示します。

具体的には、企業の「資産」「負債」「純資産」を一覧したものとなります。資産は企業が所有する財産、負債は返済の必要がある負担、そして純資産は資産から負債を引いた純資本を指し示します。

これら3つを理解することで、企業がどれだけ収益を出し、その収益をどのように使ったのか、そして企業が健全に資金を運用しているのかを理解することができます。
このバランスシートを読み解く能力は、優良企業を見抜く上で欠かせないスキルとなります。

みなさん、損益計算書は馴染みやすく理解しやすいので注目がいきがちですが、バランスシートを理解するとより企業状況を理解することができます。

銀行が注目する財務諸表のポイント

金融機関である銀行が、貸出先の企業選びに重視するポイントの一つが、財務諸表の分析です。

財務諸表には企業の経営状況や財政状態が反映されており、その分析を通じて企業が今後も安定的に返済していける可能性を判断します。

銀行が注目するポイントには、資産の部の内容、負債の把握、自己資本比率の理解が挙げられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。

資産の部の内容

企業の財務諸表における資産の部は、企業が持っている財産の全体像を示しています。

したがって、資産の部の内容や金額は、企業の経済的な強さを示す重要な指標となります。

銀行が注目するのは流動資産と固定資産の内容です。
流動資産は現金や売掛金、棚卸資産など、一年以内に現金化できる資産のことで、その規模は企業の営業キャッシュフローに影響します。
チェックしておきたいのは、長期に回収ができていない売掛金がないか、在庫が年々積み上がっていないか、同じく在庫のうち長期で売り物になっていないものがないかです。確認したら処理をしておきましょう。

固定資産は土地や建物、設備など長期間にわたり企業活動に役立つ資産です。その評価は企業の価値を判断するための重要な材料となります。
チェックしておきたいのは、帳簿上には計上されているけども使用はしていない土地や建物、いわゆる遊休資産がないか、長期貸付金で未回収になってるものがないか、本業に関係のない投資有価証券が増えてないか等です。
上記のような資産が膨れ上がっていたとき、あなたが銀行の立場であった時どう思うでしょうか。お金を貸したいと考えるでしょうか。

このように、資産部分は企業の財政状況を理解する上で不可欠な要素であり調達した資金の使い道を表す鏡だということを忘れないでください。

負債の把握

銀行が重視する財務諸表上のポイントとして、負債の把握も欠かせません。一般的に、負債は企業が未来に向けて支払うべき資金義務を示します。

そのため、負債の規模と内容をしっかりと理解することは、企業の将来性を見極めるのに大切です。

負債は、返済期間によって流動負債と固定負債に分けられます。流動負債は1年以内に支払うべき負債であり、その比率が高いと短期的な資金繰りに問題がある可能性を示します。例えば、仕入れの買掛や支払手形、当座の貸越が該当します。通常の運転資金の支払いに充てるものが多いです。

一方、固定負債は長期的な借り入れや社債を表すもので、その増減は企業の成長戦略や収益性を影響します。細部にわたる負債情報を把握することは、企業の健全性を判断するのに重要なのです。

自己資本比率の理解

銀行が財務諸表から評価するもう一つのポイントが自己資本比率です。自己資本比率は企業の耐久性を示す指標であり、その計算方法は総資産に対する自己資本(純資産の部)の割合から求めることができます。

この比率が高いほど、企業の財政構造が安定しており、経営の不安要素が少ないと判断されます。

一方、この比率が低いと財政的なリスクが高まるとみなされ、銀行からの融資を受けにくくなる可能性があります。

そのため、企業の財務健全性だけでなく、その信用力をあらわす重要な指標といえるでしょう。
これらのポイントを正しく理解し、適切に評価することが銀行にとって重要であり、企業選択に大きく影響しています。
※自己資本比率=純資産÷総資産×100

銀行の視点から見た財務諸表の読み方

金融機関として最も信用を重要視する銀行。
その視点から、徹底的にあなた企業の財務諸表を中心に分析をしています。
銀行は、金融商品やサービスを提供する際、顧客の信用力を厳しく評価します。
その評価の基準となるのが、財務諸表の数値。その数字一つ一つが企業の現状を物語り、信用力を可視化します。

では、銀行が重視する数値とは何でしょうか。それを探るために、まずは財務諸表の読み方から理解を深めていきましょう。

銀行が最も重視する数値

財務諸表の中で銀行が最も見る数値、それは「自己資本比率」です。
企業が危機に陥った場合、自己資本が逃げ道となります。そのため、自己資本が高い企業は銀行から信頼を得やすいです。

また、「営業利益」も重視されます。こちらは企業の収益力を示す指標で、継続的な収益を上げられる能力があるかを見るためです。さらに、企業が負っている「負債」も重要なポイントです。
特に短期間で返済が必要な流動性負債の金額は、企業の財務健全性を診断する上で重要な指標となります。
※流動性負債:1年以内に返済を要する負債を指します。買掛金、支払手形、短期借入金などが該当します。

銀行が評価する事業の安定性の確認方法

銀行が評価する事業の安定性の確認方法として、「財務比率」が鍵となります。その一つ、「流動比率」は現金に換算できる資産が短期間の債務に対してどれだけあるかを示す指標で、これが高いほど事業の安定性が認められます。

また、「売上高営業利益率」は売上に対する利益の割合を表します。これが高いほど、高収益を維持する能力があると評価されます。

さらに「固定比率」も重要で、固定負債の返済に対する財源が十分にあるかを見るための指標です。

※流動比率=流動資産÷流動負債×100 おおよそ200%が目安です。
※売上高営業利益率=営業利益÷売上高×100 中小企業の製造業では4%目安です
※固定比率=固定資産÷自己資本×100 100%を下回る(自己資本が多い)状態が望ましいとされる。業種や事業状況によって異なるので注意

将来性の評価方法

銀行にとって企業の将来性を評価するためには、「投資利益率」や「成長性」が重要な指標となります。
投資利益率は、投資した資産がどれだけ利益を生んでいるかを示す数値で、これが高いほど将来性が評価されます。

また、売上高や営業利益の成長率を見て成長性を評価することもあります。特に新興企業やベンチャー企業などは、現在の安定性よりも成長性が重要視されることがあります。

企業のビジネスモデルや市場環境の動向といった情報を踏まえ、銀行はそれぞれの企業の将来性を独自に評価していきます。

財務諸表を読んで得られる情報

財務諸表とは、ある一定の期間における企業の財務状況を評価するための数値情報が記載されたものです。

それには収益状況、資産状況、キャッシュフロー状況など、多くの情報が包括的に含まれています。

この情報を解析することで、企業の財務健全性や収益力、経営効率、将来のリスクなどを探ることが可能です。

会社の財務健全性のチェック方法

会社の財務健全性をチェックする方法の一つとして、財務諸表の一部である「貸借対照表」の分析があります。これは、企業の財産と負債、資本のバランスを示す文書で、その差額が企業価値を示す一因となります。

具体的には自己資本比率や資本金の額などを確認します。
自己資本比率は企業が自己資本でどれだけの事業を運営できているかを示し、高ければ高いほど財務が安定していると判断できます。

また、「損益計算書」を見ることで、売上高や営業利益、純利益など企業の収益力を把握するのも重要です。

経営効率の評価方法

次に経営効率を評価する上で重要なのが、「損益計算書」や「キャッシュフロー計算書」の分析です。
企業がいかに資源を効果的に活用して利益を上げているのか、その基準となるのが営業利益率やROE(自己資本利益率)、ROI(投資利益率)などの金融指標です。営業利益率は売り上げに対する営業利益の割合を示し、ROEやROIは投資対象に対する利益の回収率を象徴します。これらの指標が高ければ高いほど、経営効率が良好であると判断します。

※ROE、ROIについてざっくり説明します。共に投じたお金に対する回収率を算出します。同じ1,000万円の投ずる事業が2つあった時、同じ期間でA案は100万円、B案2,000万回収できるものがあったらどちらが良いでしょうかという考えです。この場合、投じた金額に対する利益の回収率を計算するとA案は10%、B案は200%となりB案が効率が良いとされます。

事業リスクの判断基準

事業リスクの判断基準としては、「財務諸表」だけでなく「注記事項」「勘定科目明細」について確認することが大切です。
「注記事項」には、会計基準で定められた範囲を超えるリスクや重要な事実が記載されています。
「勘定科目明細」には、各科目の明細が記載されています。主要な得意先、仕入れ先、どの銀行から借りているか等が見えてきます。
これらを総合的に対比、分析し事業リスクを評価していくことが求められます。

財務諸表を活用した銀行との交渉術

財務諸表というのは、企業の経済活動を数字で示したもので、それらの数字を適切に読み解くことで企業の"体質"が見えることから、銀行との交渉において極めて重要なツールとなります。

銀行との交渉における成功のカギは、自社の財務状況を雄弁に伝えることにあります。このスキルは融資金額を増やすだけでなく、信用力を保つためにも不可欠と言えるでしょう。

銀行との融資交渉を有利に進めるためのヒント

銀行との融資交渉において最も重要なのは、丁寧な準備です。
具体的には、財務諸表や事業計画などを明確に示すことで、銀行側に対して自社の収益力や健全な経営状態をアピールすることが不可欠です。
また、信用力を評価する際、銀行は企業の過去の財務状況だけでなく、将来予測も重視します。そのため、将来のビジョンや計画を具体的に示すことで、銀行から信用を得やすくなります。

さらに、意外なポイントとして自社の弱点を誤魔化すこと無く明らかにするという戦略も一つです。
完全な企業など存在せず、弱点を認め、それをどのように克服していくかの方針を示すことで、企業の信用力に対する評価にプラスとなるでしょう。

財務諸表を基にした銀行との対話法

銀行との対話では、適切に財務諸表を活用することで銀行に対する信頼を勝ち取ることができます。具体的には、損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書など、それぞれの財務データの意義と内容を理解し、自社の数値を解説できるようになることが重要です。

また、前年度との比較や競合他社との比較で、企業の財務的な立場を相対化することも有効です。

さらに重要なのは、財務諸表を使って自分たちのストーリーを語ることです。数字だけでなく、その背後にある事業戦略や市場の動き、投資計画等を合わせて説明することで、銀行との対話をより理解しやすいものとすることができます。

銀行の信用判断の理解

信用判断において銀行が重視するのは、企業の財務健全性だけでなく、リスク管理能力やビジネスモデルの持続可能性など多様な視点から企業を見ることです。

これらの要素を具体的な数値に基づいて示し、銀行に説明できる能力が求められます。財務諸表で示される数字の背後にある経営理念やビジネス戦略、市場環境の変化や将来のビジョン等、様々な情報を交渉の場に活かしましょう。

信用判断は一種のコミュニケーションであり、銀行との信頼関係の構築を通じて成功するものだと考えると良いでしょう。

資金調達は企業の成長ステップの一部であり、その行程を共有するパートナーシップとして銀行との関係を捉えることが重要です。

財務諸表を読む上での注意点

財務諸表には、企業の経済状況や収益性の指標を明確に視覚化するための重要な情報が詰まっています。

しかしながら、これらの情報だけで企業を評価するのは間違いです。

なぜなら、財務諸表には表示されない情報も多々存在し、それらを補完するための補足的な情報を見逃すことなく理解することも大切であるからです。

財務諸表だけでなく、補足情報の重要性

財務諸表を見る際に、決算書や損益計算書だけを注視する人が多いのですが、それだけでは全体像を掴むことは不可能です。

事業の詳細や取引先との関係、役員の報酬など、補足情報によって企業の本質や財務の健全さを掴むためのヒントが隠されているのです。

たとえば、経済状況の変化に伴うリスクや、製品開発の進捗具合、特許などの無形資産の状況なども判断材料となります。

これらの情報は財務諸表中には明記されていないため、注目すべき補足情報であると言えるでしょう。

季節要因などの影響を理解する

企業の業績は、季節要因にも影響されます。例えば、冬期には暖房器具の需要が高まり、夏期にはクーラーの販売が増えます。

このような季節による需要の変動は、一年を通じての業績にも影響を与えます。これを理解するためには、季節ごとの売上動向を見ることが必要となります。

四半期決算などの短期の財務諸表を活用することで、季節ごとの業績変動を把握することができるでしょう。

会計方針の影響を理解する

財務諸表は企業が自社の業績を示すツールであり、その作成に当たっては会社ごとに定められた会計方針が影響を与えます。

それらの方針には償却方法や在庫評価方法などが含まれ、これらは財務諸表にどのように反映されるかを理解することが大切です。

会計方針の違いにより、同じ業績でも他社との比較が難しくなる場合があります。そのため、会計方針を把握し、適切に解釈することでより精緻な企業評価が可能となるでしょう。

財務諸表の作成基準と法令遵守

企業が実態を示すためのバロメーターとも言える財務諸表。
その作成には、一定の基準と法令遵守が求められます。

ここでは、財務諸表の作成基準にまつわる理解とその評価方向性、さらに法令遵守の観点から財務諸表を読み解くポイントについて解説します。

日本の財務諸表作成基準の理解

企業が財務諸表を作成する際には、基準となるルールが存在します。
日本も例外ではなく、企業会計の基準と認識されるのが「企業会計基準」という制度です。

企業の経済的な活動や結果を一定の指標によって計測し、投資家やクレジット評価機関へ情報提供することを目的としたものです。

基本的には、収益性や資本の安全性、流動性などを示す経済指標としての役割を持ちます。また、対外的に公正で透明性のある経営を行っているという証明ともなります。

他方、作成基準やその適用範囲、解釈については企業会計基準検討会が検討を重ねて公表しており、企業や会計士はこれに従うことが求められます。
このように、企業会計基準を理解することは、財務諸表の読み解きやその評価に重要なポイントとなるのです。

公正な財務諸表作成とその評価方法

公正な財務諸表とは、企業の実態を正確に反映したものであるべきです。
そのためには、根拠となる取引や事象を公平に計測し、表示することが不可欠です。

そして、その評価方法としては、取引や事象が起こったタイミングでの価値をもとに計算を行います。
具体的には、取引や事象が起こった際の金額や数量を直接用いる歴史的なコストに基づく方法や、将来のキャッシュフローを現在価値に換算する割引現在価値法などがあります。

また、公正な評価を保証するためには第三者による監査も重要となります。これにより、企業の本来の実態が公平に投資家や取引先、株主などに伝えられるのです。

法令遵守の観点から財務諸表を読む

法令遵守は企業活動の基幹となり、その観点から財務諸表を読むことは非常に重要です。

特に、会社法や金融商品取引法などによって、財務諸表作成のルールが定められています。この法令を遵守することで、公正で信頼性のある情報が提供されます。

法令遵守を確認するためには、財務諸表に記載されている諸数字が適正に算出され、表示される様子をチェックしましょう。

また、連結財務諸表においては、子会社との関係性や取引状況についても確認が必要です。
一方、法令遵守だけでなく、企業倫理やCSRも財務諸表に影響を与えます。企業としての社会的責任を果たすためには、法令だけでなく社会的なルールも意識することが求められるのです。

財務諸表分析の具体的な手順

財務諸表分析は企業の健全性や働きぶりを診断するための重要な手段です。具体的には、会社のデータ収集と整理、分析手法の選択と実行、結果の評価と活用の一連の流れで行われます。

これらの手順はそれぞれ重要性をもち、一つ一つ確実に遂行することで企業の「真実の姿」を掴み取ることができます。

データの収集と整理の手順

財務諸表分析の出発点は、正確なデータの収集と整理です。まず、対象となる企業のデータを公式なものから非公式なものまで幅広く集めます。

公式なデータとは会社の財務三表(損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書)や上場企業場合は有価証券報告書など、非公式なデータとはインタビューやニュース、業界情報などです。

データを集め終わったら次にそれを整理します。
具体的には、特に重要な指標を抽出し、その数値の推移を時系列で見ることです。
また、需要が高まる業界の企業、財政状況が良好な企業、負債率の低い企業など、特定の観点からデータをグループ化することも重要ではないでしょうか。これにより、その企業の動向が一目でわかるようになります。

分析手法とその実行方法

集めて整理したデータを用いて分析を行います。
一般的には、水平分析、垂直分析、比率分析などの手法が用いられます。
水平分析は、会計期間にわたる項目の絶対的な変化を計る手法で、垂直分析は、各項目が全体に占める割合やその変動を見る手法です。

そして比率分析は、財務諸表の各項目間の関係性を数値化して比較することが出来る手法です。

これらの分析手法を用いて、企業の強さや弱さ、潜在的なリスクなどを見つけ出すことが可能です。
また、これらの手法は単独ではなく、相互補完的に用いることでより深い分析が可能になります。

分析結果の評価と活用方法

分析結果は必ずしも絶対的なものではありません。そのため、結果の解釈と評価は慎重に行うべきです。経営者や投資家などが裁量を持って解釈することで、結果の精度を高めることが可能となります。

分析結果は投資判断や経営戦略の策定などさまざまな場面で活用します。
たとえば、財務状況が良好な企業を見つけ、それを投資先として選ぶこともあるでしょう。

逆に、財務諸表が示す結果から企業の問題点を洗い出し、改善策を講じることも可能です。ですから、分析結果の活用はその人の視点や目的によってさまざまな形で行われます。

さいごに

「財務諸表の基本的な読み方」から「財務諸表分析の具体的な手順」まで、財務諸表の理解と分析に関してお伝えしました。

財務諸表は企業の健全性や将来の展望を探るための貴重なツールであり、銀行との交渉から投資判断まで、幅広いシーンで活用されます。
ですが、最後にお伝えしたいのは、あくまで財務諸表は事業運営の結果であり、数字だけでなく事業の背後あるストーリーや状況を理解してもらう動きが大切です。

財務諸表を有効に活用して、ビジネスの成功に一歩近づく手助けにしてください。質問があれば、どうぞお気軽にお尋ねください。

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