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ブルース名盤紹介31 The Complete Recordings/Henry Thomas

ブルース録音史における最古参。

ヘンリートーマスは、
1874年、テキサス生まれます。

10代の頃家を出て、
その後「ホーボー」と呼ばれる、
放浪生活を送り、
歌を歌って生計を立てていました。

ブルースの録音が多く行われた
1927年に初録音。
その頃、彼はすでに50代。

当時ブルースの録音をした
ミュージシャンの中では
最年長でした。

彼はブルース以前のフォークソングも
多く録音しています。

その点で、
アメリカの黒人音楽だけでなく、
ポップミュージックのルーツを探るのに、
彼の録音は聴いておきたいですね。

彼の演奏スタイルは、
クイルという、パイプ状の木を
何本かつなげて作った笛で、
相の手を入れながらギターを弾き語る
というもので、これもまた貴重です。

それでは、曲を聴いていきましょう。

”Cottonfield Blues”

ブルースでありながらも、
みずみずしく、キレイなコードの響きに、
野太く、ヒネリや強弱のきいた
味わい深い歌声。

この不思議なバランス感が、
今聴くと新鮮で、また心地よいです。


”The Little Red Caboose”

小学校の音楽の授業で習っていそうな、
のどかなフォークソング。

アングロ系民族(いわゆる白人)に
ルーツがありそうな歌ですが、
歌いっぷりはまさにアフロ・アメリカン。

ロックンロールにも見られる、
この折衷感が、魅力。

クイルの音色も味があって良いですね。

”Honey, Won’t You Allow Me One More Chance”

ボブディランが、セカンドアルバム
”Freewheelin’”でカバーした曲として有名。

スピーディで激しい
ディランのバージョンと比べると、
大分歌い回しが違います。


いかがでしたでしょうか?

彼のようにブルースだけでなく、
あらゆる歌を歌ったアーティストを
「ソングスター」と呼びますが、

その他ソングスターとして有名な
レッドベリーのアクの強い歌と比べ、
聴きやすいと個人的には感じました。

今回紹介したヘンリートーマス。

ボブディランなど
60年代発のアーティストから、
ルーツをたどっていく旅の、
一つの到達点といえるのではないでしょうか。

今日は以上です。

ありがとうございました。

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