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「やちおん」生ごみコンポスト化計画

ギリギリ毎月書けてそうな感じ?(ダメでした)
もろもろあって、今回は音楽フェス「やちおん2023」の生ごみコンポストについて書いてみます。

なんとなくの内容は、前回の記事にも書いてますが、もうちょい詳しく書いてみます。

八千代町の音楽フェス

私の住む茨城県結城郡八千代町というところは、白菜の生産量が日本一らしく、ハクサイ駅伝なるものがあるくらいであります。
とはいえ(というかだからこそ)、農村地帯=田舎ですので、イベントといえば町の夏祭り、秋祭りとか、JAの収穫祭があるくらいのもんであります。(先日、まちの秋祭りに行きましたが、それはそれはものすごい人出でありました、ほんとに。)

そんなおり、八千代町のワコウドたちが「このままではいかん!」(となったかどうかは知らないが・・・)、八千代町で音楽フェスをやることになった。それが2022年から始まった「やちおん」というフェスであります。

2023年は第2回ということで、ステージを増やしたり、お笑い芸人が出演したりと、新たな試みをしました。そのひとつが「やちおん」で出た生ごみを堆肥化する「やちおん生ごみコンポスト化計画」。まだまだひよっこですが、堆肥化を少し齧ったこともあって、主催からご依頼をいただきました。
「やちおん」の飲食店出店は3〜40店舗、来場者5000人(昨年の主催発表)となると、食べ残しや、店舗で余る食材が少なからず出るだろう。ただ捨てるのではなく、少しでも有効に使いたい。農業の盛んな八千代町らしく、堆肥にすることで町に還元しよう!というテーマもありつつ、まずはお試しということで、会場にブースを構えることになりました。

コンポストの準備

ともかく、生ごみを受け入れる準備をせねばなりません。そのまま袋に入れて持って帰ってくるのでは、クセぇしびちゃびちゃです。自宅をびちゃびちゃにしたくないので(それだけじゃないが)、何か別の方法を考えねばなりません。
そこで、「床材(とこざい)」という資材を用意しました。そのままでは腐りやすい生ごみを、腐らせずに保管でき、匂いも防ぐことができる(!)夢のようなシロモノであります(とはいえ、まぁいろんな条件はある)。堆肥の学校、森道コンポストで学んだ技術と知識が早速活きました!

床材を仕込んでいる様子。900L。ブルーシートの上で混ぜると、片付けがしやすい。右にあるスタンドバッグに入れて発酵を進める。


床材ってなんや!?大丈夫、説明します。具体的には、モミガラ・米糠・落ち葉・壁土(場合により畑の土でも可)を組み合わせたもの。堆肥よりも、やや水分を少なめに仕込みます。
堆肥の発酵を担うのは微生物。一般的に、堆肥は養分と水分があれば発酵し続ける(=微生物の分解活動が続く)が、床材は水分と養分が比較的少ないので、発酵はすぐに止まります。ニンゲンでいえば、はらぺこ状態でハンバーガーとコーラを一口だけ食わされて、放置された感じ。喉は乾くし、ちょっと飯食うと余計腹へるやつですね。そこへ、水分と養分の多い生ごみ(=微生物のエサ)が入ると、すぐに食べる=生ごみの分解が始まるという仕組みです。床材は乾いているので、水分もある程度吸収されるし、発酵熱でちょっと蒸発もするというわけであります。すげ〜。


床材を仕込んだ翌日の温度。やや低い(54度)が微生物の活動により熱がでている。

条件にもよるが、床材:生ごみ=1:1〜2くらいは保管できる。
「やちおん」でどのくらい生ごみが出るのか想像がつかなかったので、やや多めの900L。梨収穫のクソ忙しい中、2日おきに切り返し・・・。汗でやや水分が補給されたかもしれないが、順調に発酵・乾燥が進み、仕込みが完了しました。次はもっと計画的に仕込みたい。

やちおんコンポストブーーーース!

やちおんのコンポストブース。雑然としていて恐縮である。

はてさて、いよいよ当日であります。悠々と2トントラックを乗り付け設営。晴天に恵まれるどころか、暑すぎてぶっ倒れるかと思われるほどの気温。加えて朝イチでバンド演奏・・・!暑い!というか熱い!関東の9月半ばってこんなんだっけ?こんなところで梨を作り続けられるのか・・・!!?

・・・とりあえず、床材をブースに用意して、生ごみが来るのを待つ。だけでは流石にアレなので、興味のありそうな人に声をかけたりする。意外?に興味のある変態(褒め言葉)の方々がおられて、暑い中汗だくで1時間くらい話していたりする。変態である。お互いに。近くのクラインガルテンの方が色々と聞いてくださった。そういえば、あったなクラインガルテン。後々行ってみたら堆肥舎もあった。これは可能性あるな・・・!
一方、飲食店の残渣は、定期的に回って回収する。「やちおん」は1日開催のイベント。仕込みもそんなにしないし、生ごみはあんまり出ないかな、と思っていたが、こちらも意外と量があった。炊きかたをミスった米や、焦げちゃった焼きそば、店頭で受け取った食べ残し等々・・・。知り合いの出店者は、「うちは生ごみなんか出ないね!」と啖呵を切っていたが、イベント終盤に余ってしまった大量の食材を引き取った。お疲れ様です。人出が読めないと、食材の用意もなかなかむずかしいっすよね。

記念すべき?最初の生ごみ。私のバンドのボーカルの子供が落としてしまったパン。
生ごみは、ざるで水を切っておく。炊き方を間違えてしまったコメ。売り物にはならないし、個人で食べるのもしんどい量である。

結局受け取った生ごみは50kgくらい。多いか少ないかはよくわからんですが、生ごみの利活用の一つの手段として、堆肥化が認知されることが目的であります。少なくとも、数少ない変態たちには認知されたようで、何よりです。

やちおんは音楽フェス。涼しくなった夕方に、音楽を聴きながら、カレーを食う。最高であります。

生ごみを堆肥化する

さて、楽しかったイベントも終わり。生ごみも集めたし、よかったね〜。と言いたいところですが、集めて終わりではありません。むしろここからが本番であります。


堆肥化に向けて仕込み。米糠と畑の土を加え、水分調整をして切り返す。

床材は生ごみを保管できるが、堆肥化はできない。よくあるコンポストバッグや、バケツをひっくり返したやつで完熟堆肥を作るのは、ほとんど無理です(と聞きました)。水分、養分のバランスを整える、空気をしっかり供給する、ある程度の量を仕込む(最低でも300Lくらい)などの条件が整って、質の良い堆肥を作ることができます。今回は300Lで仕込むので、3〜4ヶ月ほどかけて完熟堆肥を目指して行きます。床材は優れた資材ですが、万能というわけではない。堆肥もまた然りであります。

回収したチュロス。米糠を纏ってちょっとうまそうである。食べるのは僕ではなく微生物。

仕込んでからは、1週間ごとに水分調整・切り返しをする。発酵によって温度が上がり、水分もどんどん使われたり蒸発したりする。水がないと発酵が進まないので水分調整は大切。牛乳がないとパンが食えないのと一緒である(ちょっと違うかもしれない)。加えて、切り返しには空気を供給する役割もある。空気がない=嫌気的になると、腐敗する。

切り返し1回目。糸状菌という微生物の菌糸で、大きな塊がたくさんできている。近くで見るとちょっと須恵器っぽい(伝わらない)。

堆肥化、する・・・?

切り返しの翌日には、60度以上になる。はずであるが、実は50度後半にしかならなかった。なんでや?
水分が多すぎるのか、測る位置が悪いのか・・・。「農家はミスを資材のせいにしたがる」=「自分の技術的ミスにしたがらない」というが・・・。後者である(あった)ことを願うばかりである。


2回目の切り返し。ほとんど生ごみの原型はない。温度はやはり60度いくか行かないかくらい。納豆や醤油のような匂いがしている。生ごみ特有の臭さはない。
4回目の切り返し後になぜか67度。なぜなのか。


途中までダラダラと60度前後だったが、4回目の切り返し翌日になぜか67度に急上昇。数日後にガクッと下がってしまった。本来なら緩やかに温度が下がるフェーズのはずだが・・・。水分がなくなって発酵が止まる「発酵乾燥」の場合に、ガクッと温度が下がる場合がある。また、逆に水分が多すぎると腐敗に傾いて温度が下がる。が、堆肥を触ってみると、多すぎでも少なすぎでもない・・・。なんでや・・・?

うまく堆肥化を進めるポイントの一つに、仕込みの量がある。
ある程度の量を仕込むことで、全体の状態や水分が均質になりやすく、発酵もゆっくり進む。逆に少ないと、すぐに発酵が終わってしまったり、水分調整・資材の組み合わせバランスがシビアになりやすい。でかい鍋で豚汁を作るとうまくできるのと一緒である(これは多分あってる)。

森道市場の生ごみコンポスト@五段農園。ものにもよるが、10000〜20000L仕込む場合もある。

結局、堆肥化の変態もとい先生、五段農園の高谷氏にもアドバイスを求めて、そのまま切り返して仕上げることとした。仕込みの量が温度変化の原因かどうかはなんともいえないが、結局のところ完全に理想的な発酵とはならなかった。だが、生ごみは分解され、跡形もない。改めて、堆肥化の難しさと面白さを感じた(それっぽくまとめてすみません・・・)。

2023.12.4追記
やはり、スタンドバッグ300Lで安定して100点の完熟堆肥を作るのは難しい(ほぼ無理)らしい。スタンドバッグで草質堆肥を作っている方に聞くと、3回目切り返し直後くらいに温度が最も上がり、その後2・3日でガクッと下がるらしい。一方で、スタンドバッグで生ごみ堆肥を7〜8回も切り返して、まだまだ温度が上がるという例も聞く。やはり堆肥化、よくわからんです。

熟成を経て完熟堆肥へ

60度くらい(笑)の温度の高いフェーズは終わって、やちおんコンポストは、ほぼ外気温と同じ温度になっている(12/1現在)。温度が下がったからといって、分解が完全に止まったわけではない。微生物にも色々あって、温度がある程度高い状態で活動するものもあれば、低い状態で分解を進めるものもいる。それぞれに分解する物質が違ったりする。例えば、キノコのような木質不朽菌は、比較的低い温度とある程度の湿度の中で活動し、リグニンという物質をゆっくりと分解する。微生物もニンゲンも適材適所、過ごしやすい環境で自分のすべきことをすれば良いのであります。

完熟堆肥の使い道

できた堆肥をどう使うか。見切り発車的にスタートした計画でありまして、なんとなくのイメージはあったものの、堆肥の活用方法についてはまだ考えてます。
「やちおん」という音楽フェスで生まれた生ごみを堆肥化したので、フェスに何かを返す形がいいかなと思っています。堆肥を使った花の苗とか、ハーブの苗とか、堆肥をそのまま売るとか・・・?
音楽フェスに来てまで堆肥を買う変態などいるのだろうか、うーーむ。

毎年自宅の敷地で出る落ち葉。昨年までは厄介者だったが、今年は宝の山に見える。

終わりに・・・?

終わりにしていいのだろうか、いや、終わりにしましょう。詳しく書く、と書いたが詳しく書けているのだろうか。まあこんなもんでしょう!堆肥化はまだ進んでいますが、今回の記事はこのくらいにしといてやる!
全体像を作ってから文章をつくらないのでまとまらないのだと思った。計画は大事だ。前回の記事が10月。この記事も11月30日になって、「やばい、1ヶ月に1記事書かなきゃ!」と焦って遅い時間までPCに向かっている、とここで12時。12月1日だ。まだ風呂に入っていない。ああ、計画性がない・・・ッ!!
明日は岐阜へ。前泊して翌日は堆肥の学校、最後の講座。午前中の講座は5カ年「計画」の発表・・・ッ!!!!
・・・大丈夫。それを乗り切れば打ち上げであります。打ち上げで飲むお酒だけはしっかり用意しております。緩衝材までしっかり巻いて、計画はばっちりです。大丈夫、適材適所(?)で良いのであります。それではまた。



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