R&R Never 自粛

2019年4月30日のTwitter @peasun428 連続投稿に加筆修正したものです。

平成とは、こんな俺にとって勿体無いほど素晴らしい経験に満ち溢れた30年間でした。そんな感謝の念と共に過ごす大型連休。

そして2019年4月30日、ついに平成最後の一日を迎えました。

思いおこせば俺が「自粛」という言葉を初めて知ったのは昭和最後の、そして平成が幕を開けた あの日の事であります。

あの30年前、1月7日の朝…

その日、早起きをした18歳の俺。土曜日ではあるが早朝に目を覚まし自室のベッドを出て居間へ。
そして何気なくTVを点けると全てのチャンネルがニュース速報でした。寝ぼけ眼の俺はそんな異様な光景に戸惑ってしまいましたが、それは各局が「昭和天皇崩御」のニュースを報じている瞬間だったのです。

崩御を受け、通常の番組は全て放送自粛~つまり中止となり、CMも一切なし。
俺はそんな事態に驚愕すると同時に、その日が「昭和最後の一日」となる事を悟ったのでした。

ニュースによれば崩御を悼む企業や商店による休業も相次いでいるとの事。ニュースではそれを営業「中止」とは云わず「自粛」と表現されていて、その奥ゆかしい日本語を俺は初めて知りました。

激動の時代…60年以上に亘る昭和の終焉を迎えたその日。
さすがバブル絶頂期の列島も利益追求の手を休めるかの様でした。

そして多くの国民が喪に服する…そんな一日の始まり。
俺はTVを消し、バンドのメンバーに電話しました
「今日のライブどうなんの?」

当時高校3年生だった俺はバンドを組んでおり、高校最後の冬休みに念願だった自主企画によるライブを計画し、準備を進めていました。そして気合いを入れて迎えた本番当日に天皇崩御のニュースが日本中を駆け巡ったのです
(営業自粛か…ライブハウスも自粛するのかな?)

自宅近くの商店街も全て臨時休業でした。レストランも洋服屋さんもみーんなお休み。

大人達からは「今日はどこもやってないよ」と諭されましたが、俺は沈みゆく気持ちを散らす様にギターを担いでバンド仲間らと合流しました。

果たして今日「ライブハウス」はオープンするのか?

メンバーの間にも様々な憶測が飛び交いましたが「取り敢えず現場へ行ってみよう」と言うことで一致し、俺達はライブハウスがある新潟市きっての繁華街~古町通り~へと向かいました。

ところが驚くことに、普段は人通りも多くお洒落で華やかな街並みが週末にもかかわらず閑散としていてまるでシャッター街のよう

そんな異様な光景に思わず「こりゃあ中止かな~」と嘆くメンバー。

ライブハウスまであと少し…の道のりですが足取りは軽やか という訳にはいきませんでした。

(天皇の件もあるけど、ライブやりたいな…)
俺がトボトボと歩いていると「あ、やってるよ」と肩を叩いてくれたのは対バンのボーカルの女の子でした。

見れば、ライブハウス「WOODY」の黄色いネオンサインが煌々と灯って、まるで俺達を待っててくれてるみたいに。

お店の入り口にはオーナーのKPさんの姿が。
駆け寄った俺達が「あの…今日やりますか?」と恐る恐る尋ねるとKPさんはニッコリと「ウン、やろやろ!」と言ってくださいました。

街中の灯りが消え、日本国民にとって重大なその日にこっそりとガッツポーズをキメていた俺達。

平成元日、新潟WOODYのようす↓
https://twitter.com/peasun428/status/1123139609339109384

果してライブは熱狂に包まれました。こんな日に集まってくれたお客さんも中々のモノですが、俺達はまるで共犯者のような連帯感でその一瞬を共にしました。

高校生のくせに打ち上げ~仲間の家で朝までやらかしている間に、時代はいつしか昭和から平成へと変わっていたのでした…。

今でも忘れられない、神対応を見せてくれた新潟WOODY。

シーナ&ザ・ロケッツをはじめ、XやJUN SKY WALKER(S)…時代を彩る数多くのバンドがそのステージに立ち、シーンを切り開いてきた由緒あるライブハウスであり

※平成元年の記事です↓ https://twitter.com/peasun428/status/1123162134102171648

記事によればX時代の松本秀人(HIDE)氏もステージに立ち、一番感動したライブだったとする聖地。

その扉を俺達のようなキッズにも開いてくれたオーナーKPさんの心意気には今でも感謝/脱帽しております。

わざわざ出勤してビデオを撮ってくれたスタッフのお姉さん達にも感謝。

平成元日の出来事です。

さよなら平成

R&R Never 自粛/完

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