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狐と鶴のごちそう

タイトルの「狐と鶴のごちそう」は、子供の頃に読んで好きだった童話だ。

「ごちそうを振る舞いますよ」と鶴が狐を招待するが、出されたごちそうは口の細長い壺の中に入った魚。
鶴は長いクチバシで壺の中の魚を器用に食べるが、狐は口が入らずに食べることができなかった。

先日のお礼にと、今度は狐が鶴を招待する。
出てきたごちそうは平たい皿に盛られたスープ。
狐は長い舌で器用に飲むが、鶴は長いクチバシが邪魔をして飲むことができない。

この童話は鶴と狐がお互いにいじわるをしている側面があり、「人に嫌なことをするといずれ自分に返ってくる」という教訓がある。

しかしこの童話は価値観の話でもある。

自分がやりたくないこと、できないことに付き合うのは非常にストレスだ。

酒を飲めない人、飲み会が苦手な人が飲み会に参加させられたら、ストレスにしかならない。
普段運動をしない人が、マラソンを強要されたら苦痛でしかない。

たとえ嫌がらせの意図がなくても、狐に壺を、鶴に皿を差し出すのは失礼な行為だ。相手を見ておらず、自分の価値観を押し付けているだけの迷惑行為は誰でもやってしまいがちだ。

だから自分が好きなことをやり続けることは難しい。だから嫌なことを断る勇気は大切なことだ。

私は皿のスープだけを飲み続けようと思う。

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