見出し画像

遊びの〝動き〟の点と点が結びつくとき

学童保育で一緒に働く職員さんとココミとの間で生まれた遊びの〝動き〟

以前、こちらのブログにまとめた「ゆーだいを笑わせろ!ミッション」の続編的なエピソードを紹介します。

先日、同じ学童保育で働く職員さんと、それぞれが捉えた遊びの様子を共有しました(私が外遊び、彼が中遊びを見ていたため、それぞれの様子を知りたいと思ったため)。こうして実践やこども観について語り合える時間はとてもわくわくします。

彼はこの日、以前のブログに登場した3年生のココミ(仮名)と一緒に遊んでいたとのこと。

「ミッションが書かれた小さな紙を部屋中に隠して、それを探すという遊びをしていました。それで、クリアしたら、この絵をくれたんですよ✨」

ココミはこのようなミッションカードを部屋中に隠して職員さんに探させ、最終的にミッションを解くと明らかになる暗号を伝えるとクリアになる、という一連の遊びを展開させたようです。彼の話を聴いて、私はピンときました。

私とココミとの間で生まれた遊びの〝動き〟

ブログにまとめた「ゆーだいを笑わせろ!ミッション」以後、私が隔週で担当している土曜保育では、ココミをはじめとしたこどもたちが私に〝スタンプラリー〟(部屋中にペンを隠し、私に探させる。ペンを見つけたら、こどもたちがつくった台紙に見つけたペンで色を塗る)を出題するという遊びが流行?しています。

また2021年1月30日の土曜保育では、こどもたち発案した「うんちフェスティバル」なる遊び?が展開。5年生の女の子が看板を作成し、 ココミはスタッフ役。即席で「うんちフェスティバル」の観客役の3人(私・1年生の女の子・2年生の女の子)に「目をつぶって片脚で30秒立つ」「3人でうんちのポーズ💩をする」などのミッションを出すという役割を担っていました。

↑ココミから出題されたミッションをクリアすべく、お客さんの3人で「うんちポーズ」をする図💩

一緒に働く職員さんの話を聴き、これらの遊びの中でココミが見せた姿(=即興的に遊びやミッションを生み出す力、「何かを隠して探す」という遊びの文脈)が思い起こされたのでした。

点と点だった遊びの〝動き〟が繋がる!

なんだか嬉しい気持ちになり、土曜保育でのココミの様子を彼に伝えました。「おぉ〜…!」点と点が繋がったような気持ちになり、2人で感動を分かち合うことができました。さらに、「これが、ミッションをクリアしたときにココミがくれた絵なんです」と彼が取り出した一枚の絵を見て、また感動…。

「あ…!この絵‼️見たことあるよ‼️」と、私は画像フォルダを遡りました。「ほら!やっぱり‼️」

そうです。「ゆーだいを笑わせろ!ミッション」の時、ココミが「画家になりたい」という夢を語りながら見せてくれたのが、この絵だったのです。頭を垂らしている花、実物と絵画の対比、そして土星…。ココミがあの時描いた絵のモチーフと一致したのでした。「すごいですね…!」ー。なんとも言えない感動に包まれました。

遊びの〝動き〟が拡がるということ

こうして、ある遊びの〝動き〟が別の文脈の中に現れたということは、きっとココミにとって安心して自らを表現できる居場所や拠り所が拡がったということなのだろうと私は感じました。一歩踏み出すことができるのは、次に繰り出そうとする歩みを地面が受け止めてくれると信じるから。踏み出した瞬間に崩れる地面に向かっては、一歩を踏み出そうとはしないはずです。ココミにとって信頼できる場や関係性が拡がったことがとても嬉しかったです。

また、このエピソードからは、こどもたち(に限らず人間誰しも)は過去の経験を含んで越えて未来を創造する力を持っているということも見えてきます。確かに「何かを探す」「ミッションを出す」という文脈や絵のモチーフは私との遊びの時に見られた〝動き〟と重なります。しかしそれは単なる過去の再生産ではありません。異なる状況、異なる関係性と、それまでに培ってきた遊びの〝動き〟とが混ざり合うことにより「含んで越えて」新たな〝動き〟を生み出すという現象が起こったのです。過去と現在を二項対立を越えて様々な要素を結びつけながら未知に向かって新たな〝動き〟を生み出す力を、こどもたちは既に持っている…。このように捉えると、何気ない遊びの場面って、実はとてもすごいことなのだろうと思います。もはやこどもたちは未熟で庇護の対象というわけではなく、〝動き〟の創り手であると言えるでしょう。

遊びの〝動き〟の点と点とが繋がる瞬間を体験し、対話しながら新たな協働・共創造の〝動き〟を生み出す場や機会の大切さを改めて感じることができました。まずは大人たちが、お互いのアプローチを黙視・否定し自分のフィールドの中だけでこどもたちを抱え込んで「点」にしてしまう「境界」を越えていくことが重要であるように思います。こどもたちから学ばせていただくべきことは、まだまだたくさんありそうです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?