森博嗣本、色々
一番好きな作家は?と言われたら、それは森博嗣さん。
今日現在で読了68冊でした。
読み終わったシリーズ
◆ S&Mシリーズ
一番有名な処女作『すべてがFになる』で始まる犀川先生と西之園萌絵のシリーズ。
すべてがFになる読了時は、そんなにハマらない作家でしたが、3作目の『笑わない数学者』を読んだら、面白い!と感じて、そこからずぶずぶと今に至ります。
1作目で出てくる真賀田四季が、最後10作目の『有限と微小のパン』でも出てきて、綺麗に締まって終わります。
犀川先生と真賀田四季が会話をするシーン。
確か砂浜だったような。
この会話シーンを読むために、9冊読んで来たような感慨がありました。
シリーズ内で一番好みなのは『今はもうない』
タイトルが秀逸です。
◆ 四季シリーズ
本来、S&Mシリーズの次はVシリーズですが、読みたさに負けて先に読んでしまった四季シリーズ。
Vシリーズのネタバレが色々ありましたが、四季シリーズを読んでいるときは、それがネタバレであることを知らないまま読んでいました。
S&Mシリーズを読み終えると、四季という天才が非常に気になってくるので、その当人が主人公のシリーズと知ると、読まずにはいられませんでした。
四季は森さんの様々なシリーズを通して最も謎で魅力的な人物ですが、その四季が一人称の小説となると、それはもうやっぱり面白いし読みたい。
ただ、結構分からないところも多かったですね。
それもまた、魅惑的。
◆ ヴォイド・シェイパ シリーズ
時代ものストーリーで、主人公はサムライのゼン。
全体を通して静かな空気感が流れているシリーズです。時代小説ですが、文体は現代的なので、時代小説の文体があまり得意じゃない自分でも気楽に手に取ることができました。
ワクワクして面白い、続きが気になる、といったシリーズではありませんが、旅するゼンの静けさの味わい、それが心地よいと感じれれば大好きになれるシリーズです。
他の小説ではあまり見れない、森さんの描くアクションシーンが読めるのも本シリーズの魅力のひとつ。
なんとなくですが、井上雄彦の『バガボンド』に近い雰囲気があるんですよね。
◆ Mシリーズ
Mは水柿(みずがき)助教授のM。
シリーズと言っても3冊しかありませんが、シリーズ物の中では、これが一番好きかもしれない。
ダダダダダっと書き連ねるような癖のある文章が独特で、個人的にはそれが面白くて。
でも、好き嫌いは分かれそうです。
名言されてませんが、水柿助教授のモデルは森博嗣自身で、半自伝的なストーリーになっています。
水柿助教授と須磨子さん(奥さん)との会話がとても面白い。実際、森さんと奥さんはこんな会話しているんだろうか?少なくとも、普段の会話が、この小説内の会話のヒントになっているんじゃないか?と勝手な想像を巡らせています。
◆ Wシリーズ
ウォーカロン(Walk-Alone)という人造人間が出てくるSFシリーズ。ウォーカロンは見た目は完全に人間で、行動や会話も人間と全く変わらない機械。
主人公のハギリ博士は、人間とウォーカロンの違いは何なのか?は研究している研究者です。
この〈違い〉は、人間は何をもって人間と言えるのか?という点に集約していくので、その答えはどう書かれるんだろうと考えたり期待しながら読んだシリーズ。
SFやミステリーの味付けをイメージして読み始めたはずでしたが、読み終えてみると、いやこれはまさかの恋愛ものだったな…、というのが感想です。
森さんの未来予想的なSF世界が描かれるので、そういう意味でも面白い。
この世界では、子どもは極端にいなくなり、人は移動をしなくなり、長命が当たり前になっています。
このシリーズが発刊されたのは2015年。それからまだ10年経っていませんが、少しずつ近づいているよな。
最近読んだ『妻のオンパレード』の中で、AIは答えることしかできない、というエッセイがあり、その中でAIはまだ上手く質問は出来ないとありました。質問するには理解した上で疑問を発想する能力が必要であり、まだAIはそこまで難しいとのこと。
確かに、ChatGPTなんかでも、基本はこちら側主導で、向こうから質問されることはない。今後、発展すれば、双方向になってくるのかもしれないと思うと、面白いような、ちょっと怖いような。
◆ クリームシリーズ
毎年12月に出る100のエッセイシリーズ。
森さんの日常だったり、考えたことだったり、ニュースに基づいての意見や考えだったりと多岐にわたって読めるのが面白い。
日記のようなものは、実際おきたこと、思案したこと、気付いたこと、を書くと良いんだなと、このシリーズを読んでいる中で考えたりしました。
シリーズが始まって数冊は特に意識せず、新しいの出てるなぁ、ぐらいで買ってましたが、今は12月に発売するとわかっているので、年末の楽しみのひとつになっています。
クリームシリーズと言いながら、タイトルは一応最初に「つ」が付くのは同じですが、あとはバラバラです。8冊目『ツベルクリンムーチョ』の語感がなんか好きですね。
野放しのシリーズ
◆ Vシリーズ
5作目の『魔剣天翔』で止まっていて残り5作。
止まっているものの出てくるキャラクター、紅子・保呂草・小鳥遊練無・香具山紫子は、4人とも濃くって覚えています。
RPGのパーティみたいな4人。
練無紫子コンビのやり取りが好きです。
以前、すべてがFになるがアニメ化していましたが、アニメにするならこちらのシリーズが合ってるのにと思っていました。
◆ 百年シリーズ
『女王の百年密室』だけ読んでいて、残りは2作。
本シリーズでもウォーカロンが出てくる。というか、Wシリーズよりこちらで出たのが先になります。
今から100年後ぐらいが舞台のSF&ミステリーで、ちょっと幻想的。
Wシリーズで描かれるウォーカロンは人間との違いがほぼないですが、百年シリーズに出てくるウォーカロンのロイディはまだロボット味があります。
3作目の『赤目姫の潮解』が森小説の中でも難解らしいので読むのに勇気がいるのですが、いずれ漬かりたい小説です。
◆ スカイ・クロラ シリーズ
空を駆ける戦闘機パイロット〈キルドレ〉たちのはなし。
森博嗣さんは工作が趣味で、飛行機のラジコンも自作したことがあるらしい。それ以外にも、汽車やらヘリやらと並々ならない数の模型を作られています。
なので、空を飛ぶ動作や仕組みに非常に詳しい。
だからなのか、このシリーズの空戦シーンは読み応え抜群です。戦闘機での空戦なんて見たことも体験したこともありませんが、読んでいて何となく状況や戦況が分かってくるのが面白いところです。
2冊目の『ナ・バ・テア』までしか読んでませんが、3冊目も買ってはあるので、読み進めていきたい。
他の読みかけシリーズは、いつ再開するのかはきまぐれに任せているので、いつになるかは不明ですが、スカイクロラは手を付けていくつもり。
単品
・喜嶋先生の静かな世界
・相田家のグッドバイ
・神様が殺してくれる
・銀河不動産の超越
・少し変わった子あります
・カクレカラクリ
・探偵伯爵と僕
・僕は秋子に借りがある 森博嗣自選短編集
・ほかに新書数冊
『喜嶋先生の静かな世界』は最も好きな小説。森博嗣小説の中でではなく、今まで読んだ小説の中でになります。
バイブルのような1冊です。
タイトル通り、とても静かな小説で、誰も怒鳴らないし、走るシーンもないし、もちろん爆発するシーンもない。
森博嗣さんはミステリー小説家として知られていますが、本書は特にミステリーでもなく、淡々とある大学生の日常がつづられています。その大学生の日常の中にいるのが喜嶋先生で、彼から見る先生は至高の存在です。
本書はとても読みやすく、突っかかりも全くなく読んでいける文体なのですが、何とも表せない深みがあり、研いだ精神みたいなものを感じれます。
3回ほど再読しているものの、まだまだ見えていない底がありそうです。
森博嗣さん自身、とても静かな雰囲気の方ですが、内面的には実はとても熱のある方なんじゃないかと。会った時も話した時もないので、今まで読んだ本からの想像です。
喜嶋先生の静かな世界からは、森博嗣さんが持っている雰囲気をそのまま味わえるような、そんな気がします。
小説の中で喜嶋先生は47歳で大学を退職します。そして現実の森博嗣さんは48歳で大学を退職されました。
小説を通して何かしら予期していたのか、それともただの偶然か、いつか森さんに伺ってみたい質問です。
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