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根絶やしにしたいぜ

親の遺伝子を半分引き継いでいるという事実がとてつもなく苦しい
自分が半分背負うことは甘んじて受け入れよう。
自分がその業を背負うことはかろうじて受け入れよう。
ただ、将来的に子供を授かるという場合、その子には父親の4分の1の遺伝子が入り込むことになるのだ。
地獄か何かなのか? 

ああなんと恐ろしいのだろう。

父親は自身の父親、私の祖父にそれはそれは厳しく育てられ、理不尽なしつけを受けてきたそうだ。
それを受けて自分の息子、娘にはそういったことはしない様につとめてきたという。
それがこの結果だ。身体的暴力を抑えた結果、間接的な暴力、精神的な暴力が繰り広げられた。
まったく抑えられていないではないか。遺伝子強すぎるだろ。
小さい頃からの精神攻撃。
自己肯定感は育たず、うじうじと自分の傷口を広げるなんとも惨めな成人男性が完成した。

しかし、それが言いたいのではない。
このなよなよした人間も所詮はあの人の息子。
時折、父親に似た片鱗が見え隠れする。
他人を無意識的に卑下するその精神性。どこか自分勝手で自己中心的な考え方。

それらが見え隠れするとき、とてつもなく恐ろしく感じるのだ。
ああ、結局の所、私も人の子だ。
科学が、文化が、発展したところで人間は所詮は遺伝子の箱舟。
遺伝子に刻まれたルールには抗えないのだ。
人と会話をしている時にハッと我に返る。
あれだけ嫌っていた態度を言動を自分もなぞっている。
震える手を見てギョッとする。

将来愛すると決めた人に私は、今の父親が母親に向ける態度を取ってしまうのだろう。いくら細心の注意を払っていても。
無下に扱い、見下し、蔑む。

ああ、なんて恐ろしいんだろう。

そんなことになるのなら、誰も愛さないでいたほうがいいのではないだろうか。
人間が遺伝子の箱舟なら、その舟に誰も載せなければいいのだ。
そうだ、そうしよう。
箱舟があることも誰にも悟られてはいけない。
こっそりとそれが朽ち果てていくのをただじっと、ただただじっと1人で待ち望もう。

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